
アイシン・ソフトウェア株式会社
「知らないことを、知る」のが技術者の楽しさ。好奇心でCASE領域の頂きへ登る!
このストーリーのポイント
- 1day就業体験中に、隣の会議室からこぼれる社員たちの笑い声。いい雰囲気を肌で感じる
- 開発はチーム力。教えるだけではなく、一緒に悩んでくれた一つ年上の先輩
- 技術者だから分かる。知らないことを知る喜びが、自分を成長させる
1day就業体験中に隣の会議室から漏れる笑い声、入社テストの時に駅で声をかけてくれた先輩…。「いい雰囲気だな」と肌で感じられるアイシン・ソフトウェアに入社。社内に知見の少ないCASE(※)領域のセキュリティ分野を担当。悩んだ時はいつも周囲が共に悩み、共に解決してくれた。技術者としての好奇心とチーム力を武器にして、今、先行技術開発という高い頂きへ、仲間と一歩一歩、登っていく。
※CASE:車の概念を大きく変える技術領域。Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared&Service(シェアリング・サービス)、Electric(電動化)の頭文字を組み合わせたもの
-profile-
櫻井 雅也(さくらい・まさや)
アイシン・ソフトウェア株式会社
基盤技術開発部 第2基盤開発室 第1G
2019年新卒入社/高等専門学校 電気情報工学科
高等専門学校 電気情報工学科を卒業後、2019年4月新卒入社。『基盤技術開発部 第2基盤開発室 第1G』に所属。ECUのリプログラミング(ソフト書き換え)とそれに付随するセキュリティを担当。『OTA(Over The Air)(※)』の要素技術開発という社内知見の少ない分野を切り開く。
※OTA:データの送受信を無線通信で行うための技術。OTAを活用することで、スマートフォンなどに対する、アプリやファームウェアのアップデートが無線経由で可能になる。
岩手、緑、音楽、洋服、車、野球、新技術。好きなものに囲まれた暮らし
私は岩手出身で、中学時代は野球一筋。高専ではバトミントン部に入り、一生懸命に取り組んでいました。最近、アイシン・ソフトウェアにできた草野球チームのひとつから加入を誘われているので、どうしようか迷っています。趣味は、高専時代から音楽と洋服、旅行。古着屋を巡るのも好きです。仕事着は個性を抑えたファッションにしていますが、今日もさりげなく足元に秋感のあるコーディネートをしました。
この業界に進むきっかけは、小学生の時に観たソフトウェア開発に関するフジテレビのドラマ『リッチマン、プアウーマン』です。ドラマで描かれていたソフトウェア開発が暮らしを豊かにしているのを見て、カッコイイなと思い、中学の頃にはこの道に進むことを決めていました。
高専4年生で、企業説明会に参加しました。アイシン・ソフトウェアは車載ソフトウェア業界の中で、地元岩手に拠点を持っており、それが大きな決め手になりました。自然に囲まれて育ったので、自然のあるところで暮らしたかったのです。
車は、自分でモノに触れて、自分の手で操作ができる。そして色々な旅に自分を連れていってくれます。地元の岩手では叔父さんも兄も、内装を変えたり、サスペンションを交換したりして車を快適にしたり、ペイントを変えたりしていました。昔から、そんな車の改造風景をワクワクと眺めていたものです。
就職活動をするにあたって、空調業界やWeb業界も迷いましたが、「なにが好きか」と自分に問いかけた時の答えは「車が好き」でした。
就職が決まった後、高専5年生では『ETロボコン』というロボットコンテストに出場し、ソフト設計から実装まで開発の流れを経験したことが記憶に残っています。『ライントレース』といって、ロボットに線上を走らせて、時間や課題克服の合計ポイントを競うのですが、苦労することもあり、いいこともあり…、やはり、自分の作ったモノが動くのを見るのは楽しかったですね。
入社テストの日は、駅で「頑張ってね」と声援が…。研修で同期との友情も
アイシン・ソフトウェアの1day就業体験に参加した時に、担当者が分かりやすく会社説明をしてくれて、ここなら楽しく仕事ができそうな気がしました。また、隣の部屋が会議室になっていて、明るい笑い声が漏れ聞こえてきたのです。「いい雰囲気の会社だな」と肩の力が抜けました。入社テストの朝も印象に残っていることがあります。1day就業体験の時に出会った社員の人が、駅で私の姿を見ると声をかけてくれました。「あ!今日、がんばってね」。「どうも」と挨拶しつつ、「あの1日だけで、私の顔を覚えてくれていたんだなぁ」と足取りが軽くなりました。
研修期間は、愛知での一人暮らしから始まったのですが、地方から集まってきた約40名の同期と仲良くなれたのが一番良かったです。私のような高専卒業生だけでなく、学歴も大卒、院卒とさまざま。学んできた専門領域もそれぞれで、「自分が知らないことをたくさん知っていて、スゴイな」と感心しました。車好きな同期も多く、話しが弾むし、休みの日は複数台でドライブしたり、山登りしたり、リフレッシュしました。今でも、困ったら相談に乗ってもらう同期は、なくてはならない存在です。
高専では広く浅く学んできましたが、実際に仕事で使うためには、深い専門知識が必要とされます。研修では『MBD(※)』を用いたソフト開発や『組み込みプログラミング』、『C言語』などを学びました。MBDについては初めてで、新しいことを覚えるのはなかなか大変でしたが、同期にも助けてもらいながら進めました。研修を振り返ると、その時はさほど意識していませんでしたが、〝マイコンを使用した組み込み実験で、マニュアルの見方や使い方を学んだこと〟が今の業務に役に立っています。実際の現場では大量のマニュアルを確認していく必要があったのです。
※MBD:モデルベース開発。自動車業界を中心に注目を集める開発手法。コンピュータの中で、ブロックを組み立てていくような考え方で、複雑な組込みシステム開発の効率化・短時間化を図る。
好奇心が私を引っ張っていく、先人のいない先取技術。『OTA(Over The Air)要素技術開発』
研修を経た後、車載ソフトの中のプラットフォームと呼ばれるマイコンに依存する部分を開発する『基盤技術開発部 第2基盤開発室』に配属されました。第2基盤開発室は、マイコンにおけるセキュリティ関連とソフトの書き換え『リプログラミング』機能を開発しています。当初1年半ほどはリプログラミングの主にセキュリティ部分を担当しました。2021年からはさらに専門的なセキュリティチームが編成されました。セキュリティ対策は最近急速にニーズが高まっている分野で、マイコン機能としても順次新たなセキュリティに関するハードウェア機能が追加されるため、対応の必要があります。社内でもこの分野を知る人は少なく、私もソフト書き換え領域から選ばれたスペシャリストの一人として、通信関係から異動してきた先輩と、もともと同じ部署にいた先輩とでチームを組んで、セキュリティチームに参加しています。異なるジャンルの出身者が顔を突き合わせていますが、我ながら良いチームだと思います。
私たちがやっている業務を具体的に説明すると〝受信したデータが改ざんされていないか〟〝意図した相手からのデータなのか〟を確認するセキュリティ領域です。数年後は、車の一部がネットにつながっていく世の中になります。スマホのソフトがアップデートされていくように、車も徐々にそのように変わっていくのです。私たちのチームはそんな未来に向けて働いています。
この分野で面白いところは、先人の少ない〝先取の技術開発〟である点です。未知のことに対して、私の背中を押すのは、技術者の多くが同じように持っている「知らないことを知りたい」という気持ちです。「知らないことを、知りたいという好奇心」は私をその先へ導いてくれます。
もう一つ、私を前へと進めてくれるのはチームワークです。まだ知識が少なかった時に4カ月間担当した某車の開発プロジェクトがあったのですが、その時は周囲にずいぶん助けてもらいました。印象的だったのは同じグループの先輩が、〝教える〟のではなく、「これって、何のためにあるのだろう」と〝一緒に悩み抜いてくれた〟ことです。手探りで、今ある知識を足掛かりに一つずつ課題を分解して目的を明確化。「おそらく、こうではないか」と仮説を立てて、ひとつまたひとつと解決していきました。思っていることを気軽に意見できる雰囲気や、部署を越えたスピード感のある知見の提供に助けられ、無事に困難な開発を完遂することができました。このプロジェクト中はいつも仕事が頭を離れなかったので、終わった時はホッとしました。一段落すると「大変だったね」なんて言いながら、チームでひたすら呑み明かしたことが記憶に残っています。
セキュリティ技術スペシャリストとして、いつか社内を引っ張っていきたい
新しいソフトウェアの技術が生まれると、外部からの不正アクセスによる攻撃などの脅威も生まれます。現在では、量子コンピュータの利用も始まってきており、これに対する攻撃なども想定されるので、更に知識を蓄えて、車の安全性を脅かす多くの問題に立ち向かっていきたいと思います。
将来は車載ソフトウェアにおけるセキュリティ技術のスペシャリストとして、社内を引っ張っていく人間になりたいと思います。今、自動車業界は、100年に1度の変革期を迎えていると言われおり、自動運転技術も自動車業界の重要なトピックです。センサーが人の目の代わりとなって、走行に必要な情報を取得します。人間が行っていることを、機械が代行するようになりました。今携わっているセキュリティ開発の延長線上ではありませんが、いつか憧れだった自動運転領域にも関わりたいですね。
プライベートの夢は世界の国を旅することです。コロナ禍では、休みの日をドライブや登山で過ごしています。これまで登山で登った一番高い山は、会社の仲間と目指した富山にある3千メートル級の『薬師岳』。仲間と声をかけあい、一歩一歩、と頂きに登るのは、まさに開発と同じですね。