【内定取り消しが認められる理由8選】違法なケースや対処法を徹底解説!

【内定取り消しが認められる理由8選】違法なケースや対処法を徹底解説!

ここでは内定取り消しには違法にならないのかについて解説していきます。また、取り消されてしまった時の対処法も紹介します。

内定取り消しは、事実上「解雇」と同じ扱いなので、日本において解雇は「労働契約法」に基づき規制されています。

しかし「正当な理由がある」場合は内定を取り消すことに違法性が無いとして認められます。

つまり、正当な理由なく内定取り消しをした場合は、解雇権濫用法理(労働契約法16条)により違法と判断される可能性が高いです。

また、企業側は正当な理由であっても、十分な説明や対応が求められます。

内定取り消しは企業側にも大きなリスクを伴う決断になるので、そこまで不安視することはありませんが、万が一の取り消しになった場合は冷静に対応しましょう。

以下の項目で、内定取り消しが認められる理由を紹介していくのでご覧ください。

先述した通り、労働契約上で正当な理由もなく解雇することは認められていません。

しかし、合理的な理由であれば内定取り消しが認められるケースがあります。

自分の状況をより詳しく知りたいのであれば、専門家に相談することをお勧めします。

1.単位が足りない
2.病気やケガにより働けない状態になった
3.犯罪行為があった場合
4.SNSで不適切な投稿をした
5.手続きや期限を忘れた
6.経歴査証
7.内定後の妊娠
8.企業の業績悪化

それぞれの条件を確認していきましょう。

※これから解説していくことは、あくまで例なので必ず内定取り消しされるわけではないです。

1.単位が足りない

新卒入社予定として内定したのにもかかわらず、卒業できなかった場合は内定取り消しの正当な理由になります。

入社条件を満たせないのは、学生の落ち度になるからです。

しっかり卒業できるように頑張りましょう。


2.病気やケガにより働けない状態になった

内定通知後に「交通事故などのケガや病気で働けなくなった」場合や「長時間出勤ができない」など業務が行えない状況になってしまった場合、内定取り消しが可能です。

しかし、ケガや病気を、内定を出す段階で知っていたのにも関わらず、内定を取り消した場合は取り消しが認められない可能性が高いです。

3.犯罪行為があった場合

内定者が入社前に犯罪行為を行っていた場合には、内定取り消しが認められる可能性が高いです。

詐欺や窃盗、暴行などの犯罪行為をして刑事処分が確定していれば間違いなく、取り消しが認められます。

また、犯罪に関わらず企業のイメージに悪影響を及ぼすような振る舞いをした場合も、取り消しが可能になる可能性が高いです。

入社前に羽目を外しすぎないよう、社会人になるという自覚をもって気を付けてください。


4.SNSで不適切な投稿をした

上述したように、企業のイメージを下げるようなことをすると内定取り消しされる可能性があります。

Twitterやインスタグラムなど今では大半の人が利用しているので、人事がチェックを行っている可能性があります。

そのため、不適切な投稿や差別発言、誹謗中傷、周りに迷惑をかけるような行動をSNSにアップすると内定取り消しになる場合があります。

過去の発言でも取り消しの理由になるので、発言しないことが一番良いですが、心配な方は鍵アカウントや投稿の削除をお勧めします。

5.手続きや期限を忘れた

手続きや期限を忘れて内定が取り消しになる場合がありますが、ほとんどないです。

ただ、企業からのメールをずっと無視して「何日までに連絡がこなければ内定を取り消します。」などのメールが来ていた場合は、就活生の落ち度になるので取り消されてしまう可能性が高いです。

しかし、企業側は「手続きミスや期限忘れ」などのことでは、内定を取り消しするのはためらいます。

まだ間に合うかもしれないので、連絡してみましょう。

稀にブラック企業などの労基法違反を全く気にしない企業は怖いものがないので、すぐに内定を取り消す傾向があります。

もし、早々に取り消すような企業であればブラック企業の可能性が高いので気を付けてください。


6.経歴詐称

履歴書や経歴に大きな虚偽があることが発覚し、労働者として不適合とみなされた場合は、内定取り消しが認められることがあります。

特に資格や免許など(医師免許、弁護士資格、免許に関する虚偽は、業務への直接的な悪影響を及ぼすので、内定取り消しは正当な理由です。

自分自身をよく見せようとすることは大事ですが、嘘は確実にバレます。

企業によっては、証明書の提出を求める場合もあるからです。

また、学歴詐称やTOEICの点数を偽るなども内定取り消しの理由になるので、嘘をつくのは絶対にやめましょう。

内定を取り消されなかったとしても、嘘をついたことで信頼関係が壊れ、後々自分が働きにくくなります。

7.内定後の妊娠

妊娠発覚で内定が取り消されてしまうことがあります。

しかし、内定を出した後に妊娠を理由に採用を取りやめるのは、違法の可能性があります。

内定を取り消すということは解雇同然なので、妊娠を理由とした内定取り消しは、不当解雇と同意義になるのです。

また、妊娠や出産を理由とする内定取り消しや(解雇)は男女雇用機会均等法により禁止されているので、もし内定を取り消されてしまった方は、専門家やキャリアセンターに相談してみましょう。

男女雇用機会均等法
(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)
第九条 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
2 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
4 妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。

8.企業の業績悪化

最後に企業側の理由として内定取り消しがあります。

企業での業績が悪化し「人件費の削減のために内定者の契約を取り消す」というものです。

ただし、就活生は企業の経営難を知ることができないので、不当な内定取り消しとして扱われる場合があります。

長期間にわたって採用募集をする新卒採用において、積極的に人材を確保しようとしながら短期間で経営が悪化することは考えにくいからです。FFFCB9

また、本当に経営が悪化したとしても、そのことを予見できなかった会社側に問題があります。

そのため、会社が破産した場合でない限り、不当と訴えることはできるでしょう。

ここでは内定を取り消された時の対処法を紹介していきます。

1.内定取り消し理由の文書回答を求める
2.内定取り消し後の補償の確認
3.法的な手段を視野に入れる
4.内定取り消しの撤回
5.大学や就活エージェントに報告する

それでは解説していきます。

1.内定取り消し理由の文書回答を求める

企業側は、内定取り消しの理由を伝えなければいけない義務があるので、申し入れを拒否することはできません。

そのため、不当に内定が取り消されたと感じた場合は、すぐに企業へ内定取り消しの理由を問い合わせてください。

その際に気を付けてほしいことは、理由を口頭で求めるのではなく、文書で求めるようにしましょう。

もし万が一何かあった時の証拠になります。

電話で連絡があった場合も文書での連絡をお願いしましょう。

2.内定取り消し後の補償の確認

内定取り消し者に金銭の補償をする企業があります。

内定通知書に詳細が書かれていることが多いので、読み返してみてください。

内定通知書に書かれていない場合は、補償内容は企業によって異なるので、直接問い合わせてみましょう。

3.法的な手段を視野に入れる

内定取り消し理由や補償内容を確認することができたら、労働基準監督署や労働局の相談窓口、弁護士に相談してみてください。

内定取り消しが法的に不正なのかを判断してもらいましょう。

もし、違法性があると判断されると、内定取り消しや損害賠償を請求することができます。


4.内定取り消しの撤回

どうしても納得がいかない場合は、内定取り消しの撤回や慰謝料損害賠償を請求することができます。

ただ、しっかり証拠をそろえ弁護士を雇わなくてはなりません。

また、労働審判であれば数か月から訴訟を起こせば一年以上の時間を必要とするので金銭やメンタル的にも大きな負担をかけることになります。

今後の自分のことも考えながらどのような対応で行くか考える必要があります。

5.大学や就活エージェントに報告する

内定を取り消されたら大学や就活エージェントに報告しましょう。

大学のキャリアセンターや就活エージェントでは、内定取り消しなどのトラブル解決の知識や経験が豊富なので、具体的なアドバイスを教えてくれます。

内定取り消しをされてしまうと早急な対応が必要なので、できるだけ早めに協力してもらいましょう。

また、就活エージェントは企業との繋がりも強いため、交渉を代行してくれる可能性があります。

様々な影響を及ぼしたコロナウイルスですが、就活にはどのような影響をもたらしているのでしょうか。

2020年卒から内定取り消しは増えている
2021年卒の就活生への影響

それぞれ紹介していきます。


2020年卒から内定取り消しは増えている

新型コロナウィルスの影響で2020年卒から内定取り消しが増えています。

これは厚生労働省のデータでも裏付けされており、内定取り消しは80事業所で、取り消しにあった大学生、短期大学生、専修学校生など164人(2019年卒は109人)に上りました。

内定取り消し増加の背景には、新型コロナウイルス感染拡大による業績悪化があります。

特に、航空業界や飲食・旅行・ホテル・アパレル・小売業界など、影響を大きく受けた業界では、採用予定人数の変更(減少)や採用中止といったケースも出ています。

しかし、内定取り消しの理由が企業都合であっても、法律で定められた要件を満たす必要があるため、不当な内定取り消しを受けた場合は、労働基準監督署や弁護士に相談するなどして、自分の権利を守ることが大切です。


2021年卒の就活生への影響

2021年卒の就活生は、新型コロナウイルスの流行により「採用活動の遅延」や「オンライン化」といった影響を受けています。

ただ、2023年では、大卒求人倍率は1.58で、2022年より0.8ポイント回復しているので、緩やかではありますが回復している様子が見られます。

ただ、就活の早期化が年々進んでおり、例年よりも多くのインターンシップが夏前に開催されるでしょう。

以下に詳しく解説記事があるので、気になる方はご覧ください。

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▶26卒の就活がやばい?原因や有利に進める対策を徹底解説!

ここでは内定取り消しに関するよくある質問について紹介していきます。

内定取り消しされないか不安です…
内々定をを取り消される確率は?
内定取り消しの賠償相場は?

内定取り消しされないか不安です…

先述してきたように、学生側の問題があれば内定を取り消される可能性はありますが、問題になるような行動を取らなければ基本的に取り消されることはありません。

企業側も内定を取り消すということはリスクがあるので、些細なことで取り消すことはないのです。

ただ、もし学生側の少しのミスで気軽に内定を取り消すような企業であれば、ブラック企業の可能性が高いです。

辛いと思いますが「入らなくて済んだ」と考えましょう。

どうしても納得できない場合や理不尽な内定取り消しと感じた場合は、弁護士や厚生労働省に相談しましょう。

内定取り消しの賠償相場は?

実際に損害賠償金額は、具体的な状況によって変わってくるので断言できませんが、それほど大きな金額とならないことが一般的になります。

多くの場合は50〜100万円程度と言われています。

内々定を取り消される確率は?

内定同様に内々定も学生側に大きな問題が無い限り取り消されることはありません。

ただ、会社の都合で取り消されることが少なからずあるのも事実です。

企業によっては、訴えても契約違反ではないので、損害賠償を取ることができないようです。

内々定を取り消されないか不安な方は複数の企業の内々定を持っておくと安心かもしれません。

ここでは内定取り消しが企業にもたらすリスクを紹介していきます。

企業のイメージ低下
内定者から訴訟を起こされる可能性がある
厚生労働省に公表される恐れがある

それでは解説していきます。

企業のイメージ低下

内定取り消しは、不公平に見えてしまうことで企業のイメージが悪くなる可能性があります。

また、経歴詐称している学生に内定を出したという情報がメディアに露出すれば、企業の魅力や信頼度が低下するリスクがあるのです。

内定者から訴訟を起こされる可能性がある

内定取り消しでは法的なトラブルが生じることが多いです。

内定取り消しが不適切な理由であれば違法解雇として訴訟を起こされる可能性があります。

厚生労働省に公表される恐れがある

内定取り消し自体に違法性はありませんが、企業側の不当な理由での内定取り消しは、ペナルティとして厚生労働省のウェブサイトに企業名が公表される恐れがあります。

内定取り消しが認められるケースや訴えられるケースなどを紹介しました。

もし、不当な内定取り消しされていると感じたら早めに弁護士に相談しましょう。

ただ、企業側にも内定取り消しはリスクになるので、めったに起こることはありません。

どうしても心配な方は厚生労働省の内定取り消した企業の一覧をご覧ください。

厚生労働省