新入社員の離職率を下げる「3つの採用プロセス」

少子高齢化が進むなか、各企業における採用活動は年々難しくなっています。特に地方の中小企業では、人材不足による倒産が相次ぎ、深刻な問題となっています。

そうした状況において、せっかく採用した新入社員が早々に離職してしまうのは、どの企業にとっても大きな損失です。さらに時間とコストをかけて育てた大事な人材が、例えばライバル企業に流れてしまったりしたら、戦力ダウンだけでなく、技術・ノウハウの流出にもつながりかねません。

では、どうすれば新入社員の離職を防ぐことができるのでしょうか。そもそも、なぜそうした事態に陥るのか、根本的な要因の洗い出しと対策について考えていきましょう。

新入社員の離職率ってどのくらい?

多くの企業が、新たな人材の確保に頭を悩ませています。今や完全な売り手市場であることや、さらに終身雇用制度の崩壊や働き方改革などの影響により、転職は多くの人にとって身近な存在となっています。つまり採用しても安心はできない、ということです。

もちろん、雇用条件や労働環境を見直すことで離職の防止を図る企業も増えてきましたが、全体でみれば離職率の改善には至っていません。むしろ厚生労働省が発表したデータからは、平成21年を境に悪化しているのが見て取れます。

turnover離職率推移

最も離職率の低い大卒者でも3割以上(約3人に1人)が3年以内に辞めているという計算になります。

下のグラフは厚生労働省が発表した「平成27年3月新規学卒就職者の離職率」ですが、学歴に関係なく入社後1年目の離職率が高いことも分かります。今後のキャリアを見据えて、というよりは入社後のミスマッチに耐えられなかった結果とも取れます。卒業時の年齢が下がるほど離職率が高くなるのも、社会での経験が浅い分、現実とのギャップをイメージしづらくなるからではないでしょうか。

いずれにしても、これが離職に関する実態です。

new-employee-turnover新卒就職者の離職率

「ポジティブな離職」と「ネガティブな離職」

慢性的な人手不足を解消するには、積極的に採用を進めるしかありません。しかし採用そのものが厳しい状況であれば他社への流出、つまり離職者を減らすことにも意識を向ける必要があります。そのためにも、まずは離職の本質を見極めたいところです。

離職には、大きく分けて二種類あります。結婚などによる環境の変化や自己実現を目的としたポジティブな離職、そして入社後のミスマッチを主な理由とするネガティブな離職です。

ポジティブな離職に関しては、残念ながら打つ手はありません。雇用条件などの見直しで解決できないのであれば、快く見送るしかないでしょう。

問題は、ネガティブな離職です。それまでの採用・教育コストが無駄になるだけでなく、技術や内部情報の流出、場合によっては企業のイメージダウンにもつながります。穴埋め的な採用をすれば済むという話でもありません。

これを防ぐには、やはり根本的な原因を探り当てて対処するしかなさそうです。厚生労働省の調べによると、新入社員世代における離職の理由には

  • 収入が少なかった
  • 労働時間や休日等の労働条件が悪かった
  • 能力や個性を生かせなかった

など、入社後のミスマッチに起因するものが上位に挙げられています。もちろんこれらは、本人にも多少の責任はあります。十分に下調べができていれば、避けられた問題もあるからです。

しかし企業側としては、そうしたことも含め「ミスマッチは起こるもの」と考えなければなりません。転ばぬ先の杖、ではないですが、覚悟ができていれば準備もできます。

離職を防ぐ3つの採用プロセス

採用時において、ミスマッチが起こる可能性をどれだけ排除できるかは、離職者の増減に大きく影響します。ここからは、離職を防ぐために取り入れるべき「3つの採用プロセス」をご紹介します。

プロセス①:「何をしてもらうか」を明確にする

具体的にどんな仕事をするのかは、応募者からすれば大事なことですが、明確に伝えている企業はどれくらいあるでしょうか。もちろん多くの部署や役割が存在するなかで、一つひとつの仕事内容を伝えるのは難しいかもしれません。しかし認識しておかなければならないのは、「新卒者は社会経験がない」という点です。

例えば、会社によっては管理部門が営業のフォローをすることもあるでしょう。2〜3年も社会人を経験すれば、そこに違和感を覚えることはありません。しかし新卒者の中には、部門を超えて仕事をすることがまったくイメージできない人もいます。

「私は事務職で入社したのに、営業のフォローをするなんて聞いていない」

といった理由で離職するケースもありますが、ここでの問題は事務職に営業のフォローを頼んだことではなく、そうした仕事もあると伝えていなかったことです。

人間とは、基本的に変化を嫌う生き物です。前もって知らせておいたことは受け入れられますが、突然のお願いや提案には拒否反応を示します。部門を超えて取り組む仕事があるなら、それを伝えておく、あるいは雑用に思えるような仕事も存在するなら事実として知らせておく、という単純な情報伝達が及ぼす影響は大きいと言えます。「こんな仕事をするなんて聞いていない」というミスマッチが減るのは確かです。

プロセス②:2年目・3年目の社員と交流する場を提供する

今の新卒者世代は、良くも悪くも「口コミ」という文化の中で育ってきています。物を買うにしても、食事に行くのも、遊びに行く場所さえ「口コミ」で決めるようなところがあります。とはいえ、第三者の評価が気になる気持ちもよく分かります。

世代の近い社員との交流を持つことで、面接官には質問できないようなことや、社員の本音を聞く機会があるのは安心材料にもなりますし、そうしたオープンな環境は企業に対する信用にも繋がります。

さらに、一緒に働く仲間の顔を多く見せておくことで、実際に働くイメージを強く持ってもらう効果も期待できます。やはり「どんな人達と働くか」は世代に関係なく心配な点だからです。

プロセス③:面接官が定期的にフォローする

これは実際に採用した後の話になりますが、面接官が定期的にフォローするのはとても重要なプロセスです。慣れない環境のなかで働く新卒者にとって、面接官は数少ない理解者です。実際に聞いてみると分かりますが、顔を見せるだけでも安心すると言います。

ミスマッチというものは、ある日突然に起こるものではありません。「こんなはずじゃなかった」が積もりに積もった結果です。つまり、フォロー次第で回避できる可能性もあるのです。月に一度、15分程度話すだけでも結果は違ってきます。気軽に相談できる手段を確保しておけば、それが相手の逃げ場となり、離職の防波堤となるでしょう。

まずはミスマッチは「起こり得るもの」で、社会経験のない新卒者が仕事の内容を理解するのは難しいと認識しましょう。その上で離職を防ぐ3つの採用プロセスを取り入れることは、大きなコストもかからず、新たな設備が必要になるわけでもありません。試してみる価値は、十分にあります。

参考:

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