
日本アイ・ビー・エム株式会社
オープンでフェアなカルチャーだからこそ、自分の道は自分で拓いていくことができる。
このストーリーのポイント
- 入社理由は、エンジニアとしてリスペクトできる会社であること
- 新卒1年目ながら大型プロジェクトに要件定義のフェーズから参画する
- 会社内外でも前例の少ないRPA化プロジェクトを2年目で任される
インドで出会ったドイツ人エンジニアに触発され、最先端テクノロジーの世界へ。ビジネス社会の課題を体感するためにITが分かるコンサルタントを志し、エンジニアとしてリスペクトできる企業である日本アイ・ビー・エムに入社する。現在は会社としても前例のないプロジェクトに参画。オープンかつフェアな環境の中、南出聖希はチャレンジを続ける。
-profile-
南出 聖希
日本アイ・ビー・エム株式会社
グローバル・ビジネス・サービス事業本部 NEA(Next-Gen Enterprise Architecture) SAP
環境移行チーム メンバー
2020年入社/国際教養学部卒
学生時代はインドやタイをバックパッカーとして旅する。数あるコンサルティングファームの中でも、特にブロックチェーンやオープンソースのソリューションを持ちあわせている点に惹かれて日本アイ・ビー・エムに入社。コンサルタントとしてお客様のシステム刷新プロジェクトに携わる。
すべての行動の起点は好奇心
思い立ったらすぐに行動に移すのが私の持ち味です。朝起きたときに「ヒッチハイクしよう」と思い立って旅に出たこともありました。ハンブルグで知り合ったアフガニスタン人の家に居候させてもらったこともあります。すべての行動の起点は好奇心だと言えます。
学生時代の長い休みを使い、バックパッカーとして主にアジアをヒッチハイクしてきました。特に印象に残っているのはインドで出会ったドイツ人エンジニア。ノマドワーカーとして仕事をしながら世界を旅している彼と一週間ほど一緒に過ごすうち、プライバシー・バイ・デザインやWeb3.0の考え方に興味を抱くようになりました。そして国家や企業といった権力側と市民や個人が対等なWin・Winの関係を築ける社会に強い共感を覚えたのです。
高校時代にジョージ・オーウェルが全体主義的近未来を描いた『1984年』を読んで以来、「中央集権的な監視社会やプライバシーの侵害」に対して危機感を抱いていました。ドイツ人エンジニアとの出会いや交流を通じて、自分なりの解が見つかった気がします。
2017年、ベルリンに1年間留学をしました。ベルリンの大学を選んだ理由は2つあります。1つはベルリン市民のプライバシー問題に対する非常に高い問題意識とリテラシーを肌で感じたかったから。(ナチス政権時代の教訓から、世代に関わらず市民は権力の監視に非常に敏感であると聞いていました)もう1つは2017年のベルリンには「ネクスト・シリコンバレー」と呼ばれるほど様々なテクノロジー企業が集まっていたから。(当時のベルリンはブロックチェーン関連のスタートアップやVCが集まり、「世界一ホットなクリプトハブ」と言われていました)
ベルリンでは大学で学びつつ、フィンランド人のシリアルアントレプレナー(連続起業家)のもとで1年間、ブロックチェーンエンジニアとしてインターンシップを経験しました。
帰国後はWeb3.0の考え方を普及させるために、ブロックチェーンの課題を解決するプロジェクトに日本アンバサダーとして参画し、技術イベントの企画、登壇や記事の執筆を行いました。また東大ブロックチェーンイノベーション寄付講座に受講生として選ばれ、DAO(自律分散型組織)の社会的決定理論を研究しつつ、マイナンバーカードをIDとして使うガバナンスブロックチェーンアプリを開発しました。
ビジネス社会の多様な課題に触れるために
ガバナンスブロックチェーンアプリを開発したものの、私の中にはまだ現実社会に受け入れてもらうには時期尚早ではないかという思いがありました。まずどこかの市で選挙や住民投票のサービスとして実証実験ができないかと考え、知り合いの市の職員の方や電子投票サービス会社を経営されている方にヒアリングをしたものの、電子投票ですら実現が難しい現状には早すぎる発明だったということに気づかされました。
Web3.0の世界を実現したいという思いと、それをどう実現させられるのかという葛藤の末に、まずは社会インフラや企業基幹システムの実情や課題を深く理解することが必要ではないかと考え、ビジネス社会の多様な課題にダイレクトに触れられるコンサルタントの道を選ぶことにしたのです。
経済産業省が「2025年の崖」と題したレポートを発表したように、このままでは日本のレガシーなシステムがブラックボックス化し、グローバル競争力が失われてしまうという危機に直面しています。そうした時代背景もITの世界で仕事をする追い風になると感じました。
就職活動では、IBMだけを志望しました。理由はいくつかあります。
IBMはこれまでオープンソースコミュニティへの貢献を通じて、現代のソフトウェアエンジニアリングの世界に対して大きな影響を与えてきたこと。その姿勢に共感し、ITを学んできた者としてリスペクトしていたこと。IBMはブロックチェーンやオープンソースの技術ソリューションを持ちあわせていること。だからこそ私の強みを活かせる環境があると感じたこと。これらの理由から、数あるコンサルティングファームの中からIBMを唯一の志望先と決めました。
また、IBMは設立から100年以上経っているにもかかわらず、自ら組織やビジネスを柔軟に変化させることで、時代の変化に適応してきました。そうしたカルチャーや能力を学びたいという思いもありました。
道が決まったらすぐに行動に移すのが私らしさです。いち早く内定を取ろうと考えボストン・キャリア・フォーラムに参加、IBMのブースに足を運び、内定をいただき、これで私の就職活動は終了しました。
道を拓くのは強い意志と確かなケイパビリティ
入社後、研修を経てアサインされたのはお客様のグループ共通会計システム刷新プロジェクトの要件定義フェーズです。
本プロジェクトでは、実際のシステム業務に関わられているお客様とともに、現行システムの課題に取り組む機会が多々ありました。
今回のような大規模プロジェクトの要件定義フェーズに新人として配属いただけたことは幸運でした。私は、システムの先にあるビジネス課題をお客様と一緒に解決したいという思いを強く持っていました。このアサインを通じて、年齢やキャリアに関係なくケイパビリティと強い志があればチャンスを与えてくれるのが日本アイ・ビー・エムのカルチャーなのだと改めて感じました。
もちろん学ぶべきことは多く、自分の未熟さを自覚せざるを得ないことも多々ありました。例えばお客様の課題を把握するためにまず必要なのは業務知識や会計の知識。システムを実際に使われるユーザーの気持ち、業務チーム間や各ステークホルダーの関係性も分かっていなくてはなりません。プロジェクトを円滑に進めていくためにはお客様社内の「力関係」への目配りも必須です。これらの知識や理解は研修や事前資料などでは手に入らない情報だったため、リモートワークの環境下でキャッチアップに苦労しました。
ですが、仲間思いの先輩方に恵まれたことが救いでした。画面越しに私の理解度やケイパビリティに合わせて丁寧にアドバイスいただきました。また、真に課題解決に貢献するには、「お客様のお客様」を知ることの大切さも学びました。
2年目の現在は、同プロジェクトの次フェーズとなる外部設計フェーズを担当しています。その中で私は環境移行チームに属し、世界的なソフトウェアベンダーのRPAツールを活用したシステム設定作業の工数削減や品質の担保を担当しています。
通常、この設定作業は大変な工数を要するのですが、RPAツールを使った自動化により大幅な工数の削減、時間の短縮を図ろうとしています。ツールの技術検証から実際の作業プロセスの作成、中国チームへの作業指示まで任せていただいています。
この取り組みが成功すればお客様にとってメリットがあるのはもちろんのこと、IBMの先進事例のノウハウ、アセットとして、他の案件提案時に活用することもできるかもしれません。こういった重要な役割を入社2年目であるにもかかわらず任されていることに責任と大きなやりがいを感じています。
このプロジェクトを終えたら、次はブロックチェーンやデータプライバシーなど、さまざまなテクノロジーを活用した先進的なプロジェクトにも参画してみたいと考えています。もちろんそのチャンスは自分でつかみ取らなくてはなりません。手を挙げて意志を示すとともに、それにふさわしいケイパビリティを備えていることを自ら示すことが必要です。その意味でも今回のプロジェクトは自分で道を広げていくための挑戦だと考えています。
フェアでオープンなカルチャーのある日本アイ・ビー・エムだからこそ、技術の分かるコンサルタントとして常に進化しながらチャンスをつかみ取っていくことができると思います。自分のケイパビリティとポテンシャルを証明するチャンスが、ここにはいくらでもあるのです。
フルリモートワークで高い生産性を実現
私は2020年4月に入社をしました。世界的なエピデミックのなか、オンラインに切り替え予定通り4月1日に入社式を開催した日本アイ・ビー・エムの姿勢に改めてさすがだと感じたものです。
入社直後に名刺を受け取るために出社したのを含め今まで数えられるほどしか出社しておらず、現在も在宅勤務を続けています。このワークスタイルに不自由を感じるどころか、非常に自分にフィットしているというのが実感です。
特に出勤時間を仕事にあてられるのは、とても快適に感じています。私にとって早朝は最も生産性の上がる時間。早く起きてジムに行き汗を流した後は、朝のうちにその日のうちで最も重要なタスクを片付けてしまいます。この貴重な時間を通勤時間に奪われなくて済むことに、心から感謝しています。
一方でお客様とのリレーションづくりは、やはり簡単ではありません。プロジェクトでは多くのステークホルダーと関わるのですが、顔を合わせることがない日々が続きます。そのような環境下でも、お客様との意思疎通にギャップが生じないよう先輩たちはさまざまな配慮をされています。例えばミーティング前にお客様のキーパーソンと個別にコミュニケーションを取り意識合わせをしておくなど細かな気配りをされています。ウィズコロナの時代で円滑に仕事を進めるために必要なことは何か、大変勉強になっています。
「2025年の崖」も含め、日本企業がこれからグローバルな競争力を高めていくには、多様なレイヤーに多くのステークホルダーがいる組織、意志決定に至るまでに時間がかかるカルチャーを変えていく必要があると感じています。このカルチャーそのものがブラックボックスと言ってもいいかもしれません。
テクノロジーの力でそうしたレガシーなカルチャーを変えていくことができる、そんなコンサルタントになれたらと考えています。
私はITのバックグラウンドを持って日本アイ・ビー・エムに入社しました。しかしこれまでのプロジェクトを通じて感じたのは、コンサルタントが対峙するのは技術やフレームワークではなく、あくまでその先にいる人間であるということです。企業は人の集まりです。技術の先にいる人のことを考えられる方ならば、コンサルタントとして活躍できると思います。たとえITスキル、知見が不足していても、入社してから十分キャッチアップが可能でしょう。
コロナ禍での就職活動は大変でしょうが、ぜひ積極的に企業にリーチアウトし、道を拓いていってください。自ら決めて自らの意志で前へ進んでいく、そんな主体性こそ、人生において最も重要な資質だと信じています。