内部からイノベーションを起こすイントレプレナーとして 自分の好きなことをやり続け、 自分の仮説を社会に問うていきたい

内部からイノベーションを起こすイントレプレナーとして 自分の好きなことをやり続け、 自分の仮説を社会に問うていきたい

このストーリーのポイント

  • イノベーションを起こさなければ、企業は存続できない
  • 自らが動くことで、「ライフワークといえる仕事」に出会える
  • ライフスタイルを変えるには、人を巻き込む力が不可欠

新卒で入社したコンサルファームで培ってきたのは、WHY思考。「なぜ」を徹底的に追求した。だが、どんなにその思考を駆使してサポートしても顧客企業に外部からイノベーションを起こすことはできなかった。意を決して、事業会社に転職。自分とは思考スタイルを異にする経営者から託されたミッションに挑むことになる。それを成功へと導くだけでなく、新たなソリューションをも創出していく。だが、本人からすれば「まだまだイノベーションと呼べる領域ではない」とのこと。やりたいことは、まだまだ多い。

-profile-

井上 一鷹

株式会社ジンズホールディングス

事業戦略本部 エグゼクティブディレクター
株式会社Think Lab 取締役
2012年入社/理工学部 応用化学科

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大学卒業後、戦略コンサルティングファームにて大手製造業を中心とした事業戦略、技術経営戦略、人事組織戦略の立案に従事。その後、2012年JINSに入社。社長室、商品企画グループマネージャー、R&D室マネージャー、MEME事業部統括部長を経て現職。JINS MEMEのプロジェクトリーダーとして、Think Labにも関わる。算数オリンピックアジア4位、数学オリンピック日本最終選考に進んだ経験あり。著書に「集中力 パフォーマンスを300倍にする働き方」。

外部からイノベーションを起こすのは難しいと痛感、新たなフィールドに立つ

前職の経営コンサルティングファームでは、コンサルタントとして5年ほど在籍しました。大手製造業を顧客として、イノベ―ティブを成すサポートを外部から取り組んでいました。色々な会社をサポートしたものの、本当にイノベ―ティブな商品やサービスを開発できたことはありませんでした。そこで、「内部からイノベーションを起こすしかない」と考えたのです。わたしは、イノベーションを起こす組織の条件を、マーケティングセンスがあり、技術の目利きができ、投資判断ができることと定義しています。JINSはこれらの条件に適っていました。それに、眼鏡という手に持てる商品を扱っていましたし、“Why”を軸とするわたしとは違い、“So what”と“Why not”で考え、答えを最短距離で導き出す田中CEOの考え方に惹かれ、「ここだ!」と思い入社を決意しました。

入社後は、社長室で二カ月ほど経営企画に近い業務に従事をしたものの、「せっかく事業会社にいるのに、コンサル出身で経営企画みたいな仕事はもったいない」と言われ、その後は商品企画グループ、R&D室、MEME事業部などを経験しました。部署が変われど、ずっと取り組み続けたプロジェクトが、集中の度合いを測定できるウエアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」の事業開発でした。わたしが入社した時に基礎特許は下りていました。それをどの様にすれば、市場に提供できるか、技術的に眼鏡の中に組み込むことができるかということを協業先と一緒に検討を進めました。

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JINS MEMEを自分のライフワークと位置づけ、取り組む

JINS MEMEのアイデアのきっかけは、東北大学の川島隆太先生です。彼は認知症の方の症状を軽減する研究をしていた唯一の学者でした。彼が考えたのは、目の動きと姿勢を測ることで、認知症になる前の先行指標が見えるのではないかということ。認知症になる前の予防的アプローチができるのではないかと、生み出されたのがJINS MEMEだったのです。川島先生から話を聞いた時に、「これは自分のライフワークだな」と思いました。

実のところ、わたしの母方の祖父母は二人とも認知症を患っています。母がそれで苦しんでいる姿を見ていました。わたしが高校生の頃です。当時は認知症の研究医を目指そうと思い、医学部を受験したこともありました。結局、別の道を選び、コンサルファームを経て、JINSに入社をした訳ですが、JINS MEMEをきっかけに約10年振りに再び「認知症」という言葉と出会いました。わたしの母親が認知症になる前に、JINS MEMEで認知症の早期診断ができる社会を創りたい。そう思ったのです。実際には簡単な話ではありませんでした。認知症の早期診断を行おうと、傾向値を分析する段階で、JINS MEMEから得られる膨大な量のデータを集める必要がありました。そのためには、JINS MEMEが社会インフラにならなければなりません。

JINS MEMEは、商品化されトレンドにもなりましたが、まだまだチャレンジの道半ばといったところです。自分の状態を測ると言う行為そのものが、一般的とは言えません。そのような方は、世の中でもほんの一部ではないかと思うのです。一部の方だけに向けた市場ではなく、測った結果や得られたデータを基にもっと多くの方々にソリューションを届けられないかと考えました。JINS MEMEの一番の価値は何かというと、眼鏡という下着の次に身に付けている時間が長いことに依拠しています。JINSは眼鏡の販売本数日本一の会社なので、眼鏡にセンサーを組み込むことで、膨大な量のデータを集めることができます。その結果、どういったソリューションを提供していくかという枝葉の事業へ広がりを見せることもできますし、根幹となるデータが行く行くは認知症やロコモティブシンドロームといった整形外科の領域の生活習慣病にアプローチできる可能性を持っています。

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内部から働きかけ、周りを巻き込んで実行しないとイノベーションは起きないと学ぶ

そのJINS MEMEのデータを基に生まれた新たなソリューションが、Think Lab(シンク・ラボ)でした。Think Labとは、一人で深い集中とともに上質な時間を過ごせるワーキングスペースです。

きっかけは、当社が、2015年日本経済新聞が選ぶニューオフィス大賞に選ばれたことでした。それを受け、お取引先などからは「JINSの社員さんは集中できているのですか」と質問をされることも増えました。そこで、実際にJINS MEMEを使って数名の社員の集中度合いを測ってみることにしました。結果は、全く集中ができていませんでした。その原因がどこにあるのか。色々な先生とデータを読み解いていったところ、当社のオフィスは、コミュニケーションを主体に設計されたことが理由と分かりました。コミュニケーションを重視するのためのオフィス設計をしていたのです。わたしたちは、深い集中に入るまでに23分もの時間を要しますが、コミュニケーションを重視していたために、10分に1回程度の割合で話しかけられてしまうことがわかったのです。

良いアイデアにはコミュニケーションだけでなく、集中も重要です。そこで、田中CEOと協議しThink Labを作ることにしました。「せっかくなら、世界で一番集中できるワークプレイスを作ろう!」このプロジェクトが動き始めます。ここは、JINSの強みだと思っているのですが、田中CEOは経営の世界で様々な勝負をしてきた方なので、こういう空間を作れば、人々の生活をより豊かなものにできるという答えに一瞬で辿り着くことができるのです。

Think Labを設計するにあたり、わたしたちは東京に高野山を作ろうと考えました。実際に、高野山へ三度ほど合宿にも行きました。そこで空海の「如実自心」という言葉に触れました。集中できる人は、自分が何をしたいかを知っている人だというのです。この言葉と田中CEOの「努力は夢中に勝てない」という言葉からヒントを得て、「Live Your Life」をThink Labにおけるブランドコンセプトにしました。自分の人生に集中しよう、あなたの人生を生きなさい。そういう人が結果的に集中できるということを、この言葉を通じて伝えたかったのです。

Think Labの基本構想自体は、監修者である予防医学研究者・石川善樹さんの考えがベースになっています。また、どうすれば人が集中できるかについては、JINS MEMEで様々なデータを集めてきました。どのように植物を配置すれば良いか、どのような音環境にすれば良いかなど、深い集中を実現するための25種類もの方法をすべて盛り込み、Think Labをカタチにしていきました。

当初は、社内利用の目的でThink Labを作るだけでしたので、トレードオフも発生しませんでした。ところが、実際に完成すると非常に多くの企業から見学の依頼があり、「うちの社内にも作って欲しい」というオーダーをいただく機会も増え、徐々にではありますが、ビジネス化していきました。わたしたちから仕掛けていったというよりも、自然とニーズが創出されていったので、この段階での悩みはまだ深くはありませんでした。

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しかし、2018年末に株式会社化したことで状況は一変します。当然ですが、事業計画があり、事業の収益性が明確になります。さらに、店舗を構え、空間の時間貸しを始めようとしたのが、2020年2月でした。

汐留にオープンさせたものの、入居先のオーナー企業で新型コロナウイルスが発生してしまったのです。以後、オフィス街である汐留には人がおらず、今後どのように運営をしていくべきかを模索しています。また、2020年7月30日には、スターバックスコーヒーCIRCLES 銀座店の店内にもThink Labを出店しました。カフェのなかにラウンジとして集中できる場所があれば、需要があるのではと考えたからです。徐々にご利用者様は増えているものの、コロナ禍の影響が決してないとは言えません。

新型コロナウイルスによる働き方の変化は短期的には、店舗を作っているわたしたちにとっては、かなりの向かい風です。しかし、中長期的には追い風だと思っています。何故かと言えば、ウイルスはいつかワクチンができます。そして今後、会社でも自宅でもない、外で働くと言う選択肢が増えます。Think Labとして店舗を構えていることで、世の中に新たなサービスや価値を提供できると思うのです。

店舗以外にも、コロナ禍における新たなアイテム(ツール)として自宅用のブース型書斎「Think Lab Home」を開発しました。これは、「Think Labを在宅勤務用のプロダクトとしてテイクアウトできたら面白いのでは」という発想から生み出されたものです。2020年9月中旬から発売を開始しました。このように働き方が大きく変わるタイミングで、上手くピボットしながら世の中のニーズに応えようと取り組んでいます。

わたしがThink Labを成功に導くためにこだわってきたことは、社内外関係なく世界観が同じ人としか仕事をしないということです。「Live Your Life」というコンセプトを掲げている限り、一人でもやらされ仕事をしていると思ってしまったら終わりです。でも、現在のメンバーはわたしよりもThink Labが好きなメンバーばかり。わたしが少しでも間違った方向に舵を切ろうとすると率直に意見をぶつけてきてくれます。これは新規事業において、とても大切なことだと思います。

Think Labはまだイノベーションになる手前と言った状態です。わたしたちは「ここにも市場がある」ということを提示しました。きちんとした科学的なエビデンスに裏付けられているということも、その価値を証明していると思っています。とは言え、まだ新しいカテゴリーを開拓しただけ。これから数年をかけて、どのタイプのお店をどの立地でお客様に提供したら、ビジネスとして成り立つのかという事業的な検証をしています。まだ今はインベンションでしかないですが、フィージビリティをしっかり見て、産業まで作って初めてイノベーションと言えると考えています。

わたし自身、JINSでのさまざまなチャレンジを通じて、あるテーマを深く考え抜いている人にすぐアプローチできるようになりました。色々な場所へ足を運び、面白い話を聞いています。そこで大事なことは、フットワークの軽さと面白いことに取り組んでいる人にお土産を持っていくということ。お土産とは、自分の取り組みの面白さを語ることができるということです。活き活きと面白そうに話している人がいると、ついついその話に引き込まれてしまったなんて経験はありませんか?その積み重ねから人を巻き込む力を学べた気がしています。

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ストレスなく直線的に動ける職場環境を満喫

JINSで働く魅力は、時価総額2000億円ぐらいもの企業規模があるにも関わらず、自分がやりたいことに対して直線的に動けるということではないでしょうか。東証一部上場企業であり、それなりの階層があり、小売りという比較的オーセンティックな産業であるのに、やりたいことに対してストレスを感じません。むしろ、田中CEOは、眼鏡という今の形での産業は5年後にはないかもしれないという危機感を常に公言しており、既存の事業を守ろうとした瞬間に会社は終わると従前から言い続けています。そうした経営者の思いは、できない理由を探すのではなく、「どうすればできるのか」という、わたしたちのマインドセットに色濃く表れていると思います。

わたし自身は、企業内から革新・変革を起こすイントレプレナーとして活躍したいと思っています。会社の資金で自分のやりたいことに対して思い切り向き合えるということは、正しいことであると思います。実際、わたしがJINSで働いているのも、自分の好きなことをやり続け、自分の仮説を社会に問うことができるからです。とても幸せなことだと思います。

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