
株式会社三菱UFJ銀行
エンジニアとしてのキャリアチェンジに、システム監査という新たな選択肢がある。
このストーリーのポイント
- 大手コンサルティングファームでITスキルを磨く
- 30代後半で新たなキャリアを開くべく、未知の金融業界へ
- システム監査の専門性を磨き、自分の価値を高める
セキュリティエンジニアとしてキャリアを重ねた後、専門性に磨きをかけることを目指してMUFGに転職。充実の研修のもと、すぐに第一線で活躍する。エンジニアとして大きなステップアップを果たした。家族のために充実のワークライフバランスを実現できたことで、イクメンとしての日々も楽しんでいる。
-profile-
宮尾 紘太
三菱UFJ銀行
監査部 ITチーム
2018年入行/情報工学専攻修了
国内大手コンサルティングファームでセキュリティエンジニアとしてキャリアを積んだ後、自分自身の新たな柱となるスキルを身につけるべくMUFGに入行。監査経験なしで入行したものの、すぐに第一線で活躍する。4歳と0歳の男の子の父親。
コンサルティングファームでセキュリティ監視の経験を積む
高校時代にテレビゲームに夢中になったことが、ITの世界へ飛び込むきっかけとなりました。情報系の学科に進学したのも、自分でゲームをつくってみたいというのが動機です。当時はADSLが普及し始めて、ようやく通信回線の常時接続が可能になった頃。大学でも友人とゲームに没頭しました。その後大学院に進み、暗号技術を研究しました。これが現在の仕事につながる第一歩となりました。
どんな業界でも活躍できるのがIT人材の強みといえます。就職活動ではITベンダーやSIerはもちろんのこと、自動車メーカーやテレビ局など、自分の学んだことを活かせる企業を幅広く見て回りました。その中で選んだのが、国内大手コンサルティングファーム。サイバーセキュリティ関連の部署に配属され、専門的に技術を磨けることが最終的に決めた理由でした。
その国内大手コンサルティングファームには12年間在籍しました。この間ECサイトのセキュリティ担当としてネットワークの設計・監視に始まり、障害対応や開発部門でのコーディング作業、サーバ基盤の整備、さらにはクライアントのセキュリティ面のコンサルティングや新たなセキュリティ施策の導入など、セキュリティ領域の最前線で上流から下流まで一通り経験しました。また自分で機器を設置しケーブルを敷設するなど、現場を実際に経験できたことも大きな財産です。技術者のアサインやプロジェクト管理など、プロジェクトリーダーとしての経験も積みました。
土日も仕事のことが頭から離れないほどハードな環境でしたが、その分、鍛えられたのは確かです。
40歳を前に新たなキャリアの道を社外に求める
国内大手コンサルティングファームではエンジニアとして一貫してセキュリティに携わることができ、大変にやりがいのある日々を送りました。
しかし、同じフィールドで経験を積むにつれて、次第に成長意欲が薄れてきたことも事実でした。駆け出しの頃は上司の背中を必死で追いかけていたものの、いつの間にかそうしたがむしゃらさも自然と失われていったのです。他方で、このままではまずい、と危機感を持つようになり、自分の強みとなる新しい柱を身につけなければという思いにつながっていったのです。
結婚して子どもが生まれたことも、キャリアの見直しにつながりました。休日に子どもと遊んでいるときも仕事のことが頭から離れないし、平日は帰りが遅いので寝顔しか見られません。そうした生活を見直そうと、ワークライフバランスの充実を考えるようになったのです。
MUFG(三菱UFJ銀行)への転職のきっかけは、転職エージェントからのメールがきっかけでした。大手メガバンクがシステム監査の人材を求めているとのことで、ゼロベースで新しい強みを身につけていくチャンスではないかと思ったのです。
それまで監査についての経験はまったくなく、しかも内部監査となると具体的なイメージはわきませんでした。しかし金融業界全体により強いガバナンスが求められる中、経営層の近くで責任ある仕事ができると考え、だからこそ自分の新しい強みを身につけるにはふさわしいと考えました。面接を通じて私のセキュリティ領域の経験が評価され、必要とされているという実感を強く感じたことも、MUFGに入行を決めた理由の一つとなりました。これまでの経験と新たな強みでMUFGのチカラに、そして金融業界全体のチカラになれたらという思いでした。
転職を決めたとき、私は38歳でした。一般的にはキャリアチェンジには遅いタイミングだったと思います。
IT人材の場合、30代半ばともなると部下を抱えてマネジメントの立場となるか、技術的な強みを身につけて特定の分野のプロフェッショナルとして磨きをかけていくか、キャリアの選択を迫られるようになります。40歳という節目の年齢を前に、私はこの選択で後者の道を選ぶことにしました。今振り返ってこの選択は間違っていなかったと確信しています。
給与等、待遇面でも満足提示を頂き、妻も私の決断を応援してくれました。
巨大組織の内部深く入り込んでいくダイナミックさ
長年にわたって経験を重ねてきたセキュリティ領域での仕事には自信がありました。CISA(公認情報システム監査人)の資格も既に前職で取得していました。しかしMUFGに入ると、今度は目の前の技術だけでなく、グループ全体のガバナンスや方針立案、啓蒙活動など、より幅広い視点で携わっていかなくてはなりません。もちろん金融業界についての知識もありませんでした。
こうした点は不安要素ではあったものの、仕事をしながら学んでいけばいいと割り切ることにしました。
ありがたかったのは、非常に充実した研修が用意されていたことです。まず全行的な研修として他部署配属の仲間と銀行の業務やコンプライアンス等について基礎を学び、続いて監査部独自の研修で監査とは何か、MUFGグループの監査のあり方はといった点について学びました。さらに配属されたITチームの研修としてシステム監査の具体的な業務内容について深く教わりました。前職では“習うより慣れろ”という面もあったので、充実の研修体制に“さすがMUFG”と驚いたものでした。
銀行の組織風土になじめるかと心配もしましたが、ITチームには監査法人出身者、ベンダー出身者、SIer出身者と多様な人材が所属し、とてもフラットな雰囲気を感じて、すぐに溶け込めました。
入社2ヵ月目にして早くも監査にアサインされました。銀行、信託、証券など、MUFGグループ全体について横断的にサイバーセキュリティ監査を行うプロジェクトです。内部監査ですので組織の中に深く入り込み、サイバーセキュリティ対策の資料を読み込んだりリスクに対してどのように考えているかを突っ込んで質問したりと、非常に濃い経験ができました。
入社直後であるにも関わらずにこのような大きな案件に携われたことに喜びを覚えたと同時に、MUFGグループという巨大金融組織の内部に切り込んでいくダイナミックさに興奮しました。
変革期のまっただ中で、経営陣の判断に寄与する
システム監査は案件ベースで年間3、4件を担当しています。既に監査の総括責任者も数回務めました。一方で定常的にセキュリティ対策を確認するモニタリングや、次の監査のため組織の強み・弱みをあぶりだすリスクアセスメントなどの仕事も並行して行っています。いずれの業務も、社会基盤である金融機能を健全に保ち、安心・安全な社会を実現するチカラになっていると実感しています。
2年目にはMUFGグループのDX(デジタルトランスフォーメーション)に関わる監査の総括責任者を担当。組織で進めているDXのプロジェクトの推進状況や設計の中身を検証するものでした。当時、私はセキュリティ領域以外の業務経験が無かったため、DX領域での業務経験を持つ監査人とともに監査を実施しました。新しい技術領域での監査を経験でき、業務の幅を広げることが出来たと感じています。これはシステム監査人としての面白みの一つです。
システム監査を核としてDXも視野に入れつつ幅広い領域でスキルを磨いていくには大変に恵まれた環境であると実感しており、転職に際しての“新しい柱を身につけたい”との志が十分かなえられていると感じます。
テクノロジーが進化し、金融業界も変革のまっただ中にある今、MUFGグループでは銀行・信託・証券が一体となったグループガバナンスを強力に推進しています。金融庁からの期待の大きさもひしひしと感じています。そうしたダイナミックな時代のうねりを感じながら、システム監査を通じてグループ全体を俯瞰的に見られることは、まさにMUFGのシステム監査だからこそ味わえるやりがいでしょう。
監査結果について経営トップや監査委員会に直接報告する機会もあります。大変に緊張するのですが、日本を代表する巨大な金融機関の経営陣の判断に寄与できていることに大きな誇りをもっています。まさに世界が進むチカラになれる喜びを感じています。
ワークライフバランスも、転職によって一気に充実しました。私には2人の息子がいて、保育園へのお見送りは私の担当です。入浴も子供たちと一緒で、父親としての喜びを日々感じています。在宅勤務が中心ですので家事にも関わることができ、非常に充実したプライベートを過ごしていると実感します。
仕事の面では、今後も監査部でさらにシステム監査の専門性を高めていきたいと考えています。それは40代、50代と年齢を重ねていっても、常に最前線で活躍できることにつながるでしょう。遅めの転職ではあっても思い切って踏み切ったことで、プロフェッショナルとして長く活躍できる道が開けました。
たとえ金融業界や監査の知識がなくても心配はいりません。サイバーセキュリティやデジタライゼーションなどの分野でエンジニアやコンサルタントとして経験を重ねてきた人材ならば、きっと活躍できるはずです。もし「将来のキャリアが見通せない」という不安をおもちならば、ぜひ挑戦してみませんか。道は開けるはずです。