多くのステークホルダーと向き合い、悩んで考えて正しいことをやり抜く。事業投資の奥深さを知る。

多くのステークホルダーと向き合い、悩んで考えて正しいことをやり抜く。事業投資の奥深さを知る。

Profile

髙山 匠

オリックス株式会社
社長室
シニアヴァイスプレジデント
2008年中途入社

オリックスを新たな活躍の場として選択。一貫して事業投資を手掛ける

髙山が新卒で入社したのは人材サービス会社だった。1年目の冬に経営企画部門に異動。そこでM&Aを担当していたが、その会社が他社に譲渡されたことをきっかけに、「M&Aのキャリアをさらに深めたい」と思い転職することを決意した。

「オリックスに転職を決めた理由は二つあります。一つは、前職からオリックスでM&Aに携わっている方たちと接点があり、人となりや職場の雰囲気をある程度知っていたことです。専門性が高く発想が前向きだという印象を持っていました。もう一つは、面接を通じてM&Aに対するオリックスの考え方、業務の進め方が自分に合っていると思えたことです。M&Aは「投資実行」自体が華やかなイメージがありますが、より大事なポイントは投資した後、どうやって投資先企業の価値を高めていくかということです。オリックスでは投資先候補となる企業を発掘した人が投資実行の担当をして、その後のPMI(※1)まで一貫して携わるのが基本です。それは、私がやりたいことに合致していました」

(※1)Post Merger Integration:M&A成立後に、新しい組織体制の下で統合効果を最大化するための統合プロセス

オリックスで最初に所属したのは事業投資グループ。企業に投資し、企業価値向上をサポートする部署だ。入社後まもなくリーマンショックが起こり新たな投資のできる環境ではなくなってしまったが、既存投資先の管理やベンチャー企業の経営支援を担い、企業価値向上の経験を積んだ。2010年に髙山は、経営企画部門に異動。経営企画部門でも事業投資を担当し、一貫してオリックスの戦略的M&Aの検討や実行、グループ会社の戦略策定の支援、新規事業開発などに携わっている。

髙山が担当する業務の1つが、グループ会社である「弥生株式会社(以下、弥生)」(※2)に関する業務だ。過去に弥生へ出向した経験もあり、現在も弥生の監査役を務める。「監査役」という立場と、オリックスの「株主」という2つの異なる立場から弥生の経営をモニタリングし、経営課題を把握して解決策を提案している。

(※2)業務ソフトウェアおよび関連サービスの開発・販売を行う会社。2014年にオリックスグループ入りした。

オリックスで初めて主体的に関わったM&A案件で、経験不足を痛感する

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「弥生は私がオリックスで初めてプロジェクトマネージャー(主担当者)としてM&A案件に関わり、投資実行に至った企業でした。リーマンショックで少なからず影響を受けたオリックスは経営課題として、事業ポートフォリオ戦略において、より安定的に収益を生み続けるビジネスを拡大していきたいと考えていました。その手段のひとつとしてM&Aの活用も検討していたのですが、その候補としてリストアップしていた企業のうちの一社が弥生だったのです」

弥生は小規模事業者向けの会計ソフトなどを開発・販売しており、その分野では、シェア6割を誇るリーディングカンパニーだ。170万以上の登録ユーザーと50万超のサポート会員を持ち収益基盤は非常に安定している。さらに、オリックスと弥生の顧客基盤を合わせることで相乗効果があると期待できた。弥生は従業員数十名以下の企業がメインユーザー。一方、オリックスの取引企業は中堅企業以上がメインとなるので、相互補完関係になれるということだ。弥生ユーザーのニーズに合う商材をオリックスの知見を生かして開発していけたら、オリックスと弥生の両社がともに事業を広げていけるのではと考えた。まさに、オリックスのM&A候補として最適な企業であった。

「当時の弥生の株主は投資ファンドでした。原則的に投資ファンドはどこかのタイミングで投資を回収する必要があります。その機会には、オリックスがぜひ弥生を譲り受けたいと思っていました」

実は2011年秋にも、投資ファンドが弥生の譲渡を検討したことがあり、オリックスも入札に参加していた。髙山もそのチームの一員だった。一次入札、二次入札を経て最終契約の合意直前まで進んだが、最終局面で条件が折り合わず不成立になってしまった。

「私自身としては、多くの時間と労力を費やした案件だったので非常に残念でしたが、総合的な経営判断としての結論でしたので受け入れるほかありませんでした。」

しかしそれから3年後にまた弥生への投資機会が復活した。株主の投資ファンドは、2011年の交渉時から、オリックスの描いた弥生の成長戦略を高く評価していた。彼らは弥生の譲渡を改めて模索するなかで、今度は入札では無く独占的な交渉を前提に、オリックスに声を掛けてくれたのだ。

「実は、弥生は並行してIPO(新規上場)も検討していました。もし、またこのM&A案件が実行できずに弥生がIPOをするとなると、上場企業のM&Aは手続きや価格の面から難易度が一段と高くなるため、これがラストチャンスだという思いで臨みました。この案件で私はプロジェクトマネージャー(主担当者)というポジションを与えられたのです」

一度2011年に検討した案件だったので、論点は整理されていた。加えて、当時のチームに参画していた先輩社員も部内に在籍していたこともあってサポート体制は整っていた。

「これだけバックアップしてもらっているなかで、ミスをして案件を壊すことは絶対に許されません。それだけに、案件の細部のひとつひとつを全て把握するように努めました。M&Aには欠かせない財務モデリングと呼ばれる業務では、さまざまな前提条件を想定し、丁寧に精査していきました。数十ページにおよぶ契約書もその一言一句まで確認しました。検討の開始から契約締結まで約4カ月間と短い期間で進み、体力的にはかなりハードでしたが、案件を成功させたいという思いで集中して乗り切りました」

しかし、それ以上に髙山にとって苦労が多かったのは、ステークホルダー(利害関係者)との調整であった。M&Aでは、自社、相手方、それぞれのアドバイザー、そして行政(公正取引委員会)に至るまで、非常に多くの人が関係し、各人がそれぞれの立場での意向や意見を持っている。それらに適切に対応しながら進めなければM&Aは実行できない。各ステークホルダーの企図や言葉の裏にある真意を測りながら、ゴールに近付けるために注意深くコントロールして最適な対応をしていくことを求められた。

「限られた時間の中で、多くの業務をこなしながらそうした対応を行うには、全体のM&Aプロセスとスケジュールを俯瞰した上で、案件の詳細を把握し、かつ各人の立場や観点を想像して事前に布石を打っておくことが必要です。ただ、当時の私にはプロジェクトマネジメントの経験が不足しており、そのような準備が十分にできていませんでした。特に案件終盤においては、関係者が自分の想像以上に増え、対応が後手に回ってしまったこともありました」

M&Aの実行後も弥生の企業価値向上に取り組み続ける

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【写真】弥生の社員総会で、社員全員に向かって挨拶する髙山

それでも、髙山は着手から半年後の2014年12月末に弥生への投資を実行し、M&Aプロジェクトを遂行させた。

「オリックスと弥生とでは企業文化が違うのでビジネスにおける言語がかみ合わないことがあります。そこで私が間に入り「通訳」をすることで、お互い共通認識を持って物事を進めるようにしています。M&Aでは管理体制の都合上、買収企業が投資先企業を自分色に染めていこうとすることが往々にしてありますが、私たちは弥生をそのようにしたくありません。弥生をオリックス色に染めることで弥生の良さを損なってしまっては本末転倒ですし、むしろ、弥生のようにカルチャーの異なる存在があることでオリックスグループとしての多様性や新たな可能性を広げていけると思っています」

髙山は弥生に関わったことで得られたことがあるという。それは、複数の視座から同時に物事を考えられるようになったことだ。

「弥生に関わる上では、オリックスグループ、株主、弥生のマネジメント層、マネージャー層、一般社員層といった観点からそれぞれ考えるようにしておかないと、本質を見誤ってベストではない判断をしてしまうかも知れません。いろいろな視座を持つためには、多種多様な経験をして、それを血肉にしておくことが必要です。他の人にはない観点から物事を見て考えられる、という能力は、時代や仕事の内容に関わらず有益であり、個人の市場価値を高めることができるのではと考えています」

あくまでも、髙山のミッションは弥生をいかにバリューアップしていくかだ。弥生自身が、ないしはオリックスが弥生とともに成長していくために、何ができるかを考えていかなくてはならない。

「もちろん、絶対的な正解なんてありません、何かやってみて違うと感じたら、別の施策を打つ。そうした試行錯誤の繰り返しです。といって、自分がやった成果が目に見えて返ってくるわけではありません。そうした悩ましさ、もどかしさがあるのですが、むしろそういうところが私としてはすごく面白さを感じます。自分が試行錯誤を繰り返した結果、数年前の弥生よりも、今の弥生の方がいい会社だな、と感じられる事がこの仕事の楽しさであり、醍醐味です」

自由で裁量があるオリックスの投資に携わることで、より大きく成長する

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髙山はオリックスの事業投資の特長や優位性として、意思決定の早さと成長戦略の柔軟さを挙げる。一般論として日本の事業会社は、物事を決めるのに時間がかかる。だが、髙山のチームは日頃から管掌役員と直接コミュニケーションをとることができるので、案件の進捗に応じたタイムリーな意思決定ができる。また、オリックスグループは多岐に渡る分野で事業を展開しているので、さまざまな分野の専門家と連携して、投資先企業の成長を後押ししていけるのも魅力だという。グループ内でいろいろな発想を持ち寄ってシナジーを創出していけるわけだ。

「個人的にオリックスの投資事業において一番良いと思っているところは投資予算を設定していないことです。例えば何年で100億円、200億円を投資する、と決めてしまうと、投資自体が目的となり、するべきではない投資をしてしまう可能性が高まると思います。オリックスは投資機会を適切に見極めるべきという発想から予算を決めていないので、良い案件があれば積極的に投資しますし、そうでなければ無理にはしません。やるべきか、やめるべきかを正しく判断できる土壌があります」

自身の成長という観点から見ても、オリックスで投資業務に携わることにはメリットが多くあると髙山は指摘する。オリックスには30年以上に渡る投資事業の実績があり、また経験値の高い社員が数多くいるので、蓄積されたノウハウを学べるからだ。何しろ、法務、会計税務、企業価値評価、ビジネスプラン策定など、それぞれの分野に精通した人材が多数揃っている。加えて、オリックスはデューデリジェンス(※3)などの時に会計事務所やコンサルティングファームに全てを任せきりにせず、自分たちでも手を動かすことを原則としている。おのずと業務量は多くなるが、その分成長できるということだ。

(※3)デューデリジェンス:M&Aの際に、企業の資産価値を適正に評価する手続き

「若手に積極的に責任あるポジションを任せるのもオリックスならではです。私もプロジェクトのメンバーを指名する時には、それぞれの経験やスキルを考えながらチームを構成します。当然育成の観点もあるので、やったことのないことにもできる限り挑戦してもらうようにしています。同じことばかり担当していたのでは成長しませんから。私自身も上司からはそういった形でチャンスを与えてもらったことで、大きく成長できたのだと思います」

今後の目標、キャリアビジョンについて髙山は、あまり明確に決めていない。

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「就職活動の頃には、自分が事業投資やM&Aの仕事に就くとは想像もしていませんでした。たまたま最初の会社で投資業務に携わることとなり、今ではそれが自分の専門になっています。今後自分がどのような役割を担うことになるのか分かりませんが、どんな状況でも自分の価値を提供できるようになりたいと考えています。そのためにもいろいろな異なる経験をして、引き出しを沢山持っていたいです。事業投資も弥生のPMIも経営も、正解がないのでこうすれば大丈夫ということはない。自分の持つ全てを使って悩んで考えて、正しいだろうと思ったことをやってみる。仕事とはそういうことの繰り返しなのかなと思っています」

「キャリアを考える軸は、自分がやったことがない経験ができるか。また、それを受け止められるような器の大きさを自分が持っているかということです。それを軸に次に何をやるか、何をやりたいかを考えるようにしています。器の大きさは自分の心の余裕のようなものです。視野が狭まってしまうといけないので、仕事とは直接関係のない物事も含めて幅広く興味を持つようにしています。今後も引き続き新しいことにチャレンジできる環境に身を置き、実際にチャレンジしていきたいと思います」

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