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タレントマネジメントシステムとは? 今さら聞けない基本をおさらい
「タレントマネジメントシステム」という言葉を耳にしたことのある人は多いでしょう。しかし、実際に何ができるのか、どんなメリットをもたらしてくれるのかまで説明できるという人はそう多くありません。そこで今回はタレントマネジメントシステムの導入を考えている企業向けに、その中身と導入のメリット・デメリット、導入の際の注意点をご紹介します。
タレントマネジメントシステムとは?
タレントマネジメントシステムとは、自社に所属する人材の「タレント=才能」を正しく把握し、適材適所の配置や最適な育成、評価を実現できるようにするための人材管理システムです。マイナンバーと同じように、社員1人ずつの個人情報や経歴、受けた研修などを把握できるため、人事戦略や目標設定が立てやすくなります。また今までは担当者によって変わっていた評価も、データから判断することが可能となるため、より正確に、平等に行うことができます。労働力人口が年々減少傾向にある日本において、いかに効率的に人材を生かし企業運営をしていくかが、企業の存続にとって非常に重要なこととなります。自社にいる人材が一体どんな特徴を持っているのか、どんなキャリアを望んでいるのかを知ることで、離職率の改善にもつなげられるでしょう。
タレントマネジメントシステム導入のメリット・デメリット
タレントマネジメントシステムを導入する際には、もちろんメリットとデメリットがあります。自社にとってそのメリット・デメリットがどのような結果をもたらすのかを想定し、導入をするべきかどうかの判断材料にしてみてください。
タレントマネジメントシステム導入のメリット
導入のメリットは4点あります。
- 次世代リーダーの発掘
研修やキャリアなどの個人データを管理していくことで、次世代のリーダーとなれる可能性のある人をいち早く発掘し、育成をしていくことができます。上司との相性であまりタレントが発揮できていない人もいるかもしれませんし、逆に能力があまりないのにもかかわらず抜てきされるなど、企業成長を阻害するようなことが発生しかねません。その可能性を排除し、一定の基準を越えた人材をきちんと登用できるようにすることで、次世代リーダーの発掘という大きなメリットにつなげられます。 - スター人材の抜擢
マネジメントやリーダー職にはつかなくても、プロフェッショナルとして革新的な仕事を実現するスター人材を新規事業の要職に就けるような起用も、タレントマネジメントシステムを活用することで可能になります。その企業の人材登用の仕組みによって、登用されやすい人材が決まってしまうような事態を避けるため、情報をしっかりシステムに集約しておくことで、スター人材を抜てきできるようになるはずです。 - 人材育成の効率化
社員の経歴や実績、受けた研修などを総合し、人材育成を効率的に行うことが可能です。どのように育てていくかを早期に方針づけしておくことで、育成に関する無駄をなくしていくことが可能です。 - 適材適所で成長を促進
社員1人1人の特徴を理解したうえで適材適所の配置ができるため、業務がスムーズに進むだけでなく、社員のモチベーションをキープできます。システムに集約さえしておけば属人的な管理にならないため、半永久的に継続が可能です。
タレントマネジメントシステム導入のデメリット
次に、導入のデメリットをご紹介します。
- 費用がかかる
まずはシステムを使うための初期費用とランニングコストがかかります。給与計算ソフトや人事考課システムとの連動など、カスタマイズした場合は初期費用も跳ね上がる場合がほとんどです。カスタマイズしない場合はコストを安く抑えられますが、連動性がないと使うメリット半減してしまうため、費用感とのバランスを見ながらの判断が必要です。 - 組織横断の基準設定に時間がかかる
求められる能力がまったく違う組織間でも同じ基準で見ていく必要があるため、組織横断の基準を設定するのに時間がかかります。それぞれの組織で重視したいポイントがあるため、かなり時間を費やさなければ合意に至らないケースも多いのです。適切な基準設定のために、全社で重視するポイントを決めていきましょう。
タレントマネジメントシステム導入時の注意点
タレントマネジメントシステム導入時の注意点としては、下記の3つがあります。
全社で基準の意思統一の必要性がある
全社基準で意思統一をしようとしても反対意見もあり、なかなか議論が進まないということが多々あります。タレントマネジメントシステムを導入したとしても、基準が設定されていなければ適性を判断することができず、せっかく導入した意味がなくなってしまいます。導入前に基準について、しっかりと方向性を決めてからスタートするようにしましょう。
既存のシステムとの連動を確認しておく
タレントマネジメントシステム自体にはまったく問題がなかったとしても、既存のシステムと連動が行えない場合は、導入自体を断念せざるを得ないケースもあります。まずは導入を検討しているシステム販売会社に相談をし、現在使用しているシステムとの互換性を確認しましょう。
社内への周知を忘れない
タレントマネジメントシステムの目的や重要性について説いても、実際の運用が浸透していかないことも多いものです。情報を集約できなければ機能しないので、きちんとタレントマネジメントシステムを導入する背景と必要性についての理解を促し、運用まで設計してから導入するようにしましょう。
タレントマネジメントシステムで社員の能力をストレッチしよう
タレントマネジメントシステムをうまく活用できれば、企業側は社員全員の持てる才能を生かしきることができ、社員自身も自信を持って仕事ができるようになるはずです。何を実現したいのか企業としてしっかり定めた上で、うまく活用していきましょう。