ミスマッチはお互い不幸 ~就活が無駄にならないようにするためには?~

ミスマッチはお互い不幸 ~就活が無駄にならないようにするためには?~

たくさんのエントリーシートを書き、たくさん面接に落ち、ようやく内定をもらって入社した会社を早々に退職してしまうミスマッチが後を絶ちません。前向きな退職であればいいのですが、今回記載する後ろ向きなミスマッチをどう防げばよいのか。ミスマッチの実態や企業選びのポイント等を記載します。

新卒離職率と退職理由について

厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」の調査(注1)によると、2017年度入社社員(現在3年目社員)の離職率は、1年目で約11%、2年目で約22%、3年目で約32%が退職しています。産業別になると多少ムラはあるものの、概ね上記の数字通り推移しています。退職理由については、Adecco Groupの「新卒入社3年以内離職の理由に関する調査」(注2)によると、下記3点が上位理由とのことでした。

  1. 自身の希望と業務内容のミスマッチ(38%)
  2. 待遇や福利厚生に対する不満(33%)
  3. キャリア形成が望めない(31%)

上記の理由を見ると、あまり前向きな理由ではないことがわかります。では、なぜこのようなミスマッチが起きてしまうのでしょうか。次章ではミスマッチを引き起こす就活の実態について考察します。

【データ参照】
(注1)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137940.html
(注2)https://www.adeccogroup.jp/power-of-work/061

ミスマッチの実態 ~なぜミスマッチが起こるのか~

皆さんが就活をする際、どういった基準で会社を選んでいますか?会社の規模でしょうか?業界でしょうか?選び方は人それぞれなので間違いはありません。ただ一番危険な選び方は、「とりあえず聞いたことのある会社にしよう」という選び方です。周りからの目やステータスに目が行き、ネームバリューだけで就活をしてしまうことです。そういった就活の着地点は概ね下記2ケースに分かれると思っています。

  1. とりあえず聞いたことある会社に運よく内定が出て、あまり調べず就活を終えてしまうケース
  2. 知名度ばかり気にした就活を展開して全落ち、とりあえず受験しよくわからないまま内定が出た会社に入社してしまうケース

超売り手市場の昨今と言えど、大手の求人はそこまで増加していません。故に、大手狙いで失敗した先輩も周りにいるかもしれません。

ケース①の例は、とりあえず内定が出たからと、本当に大事な福利厚生やキャリアパス、仕事の内容を深く確認しないまま就活を終えてしまい、入社後聞いていた話と違うとなるわけです。(ケース②もパターンは違えど結果は同じですね。)私から言わせれば、聞いていないのはあなた自身ですよと思います。少し厳しいようですが、福利厚生や仕事内容は、自分で調べれば答えはわかります。他社との比較も十分可能ですし、昔と違い情報ならいくらでも手に入ります。

キャリアパス等はなかなか外部に出ていないかもしれませんが、リクルーターを通じた社員面談等自分から行動を起こせば答えは得られるはずです。まずにお伝えしたいのは、自分でしっかり情報を集めて、他社と比較をすることです。企業の会社説明会では、聞こえの良いことしか話されないことが多いです。その中で本当に知りたいこと、働くうえで重要なことを聞き漏らさず、不明点があれば聞けるような準備をしておくことが大切です。

ミスマッチを防ぐためには? ~会社のどこをみればよい?~

先ほども記載しましたが、会社説明会等の「人事」が話す内容は、基本的にいいことしか話しません。弱み等も語る人事もいますが、よくよく聞いてみると「その反面弊社の強みは・・・」等、強みを強調したいがためのアクセントにしか利用していないものが多いかと思います。(言葉のテクニックですね)

会社の見るべきポイントは、もちろん自分が行きたい業界等が定まっている前提ですが、やはり働いている社員と福利厚生は見た方がいいと思います。

現場で働いている社員が自分のイメージに合っているのかと、最低限働く上での福利厚生と自分が譲れないゾーン(休日は完全週休2日制がいい等)見ておく必要があります。福利厚生を聞くのはダメなのでは?という先入観を持っている方も稀にいますが全く問題ありません。逆に福利厚生の質問をして悪い印象を持つ会社は、自分の会社の福利厚生が良くないと言っているようなものです。

さて、先ほど人事は良いことしか言わないと言いましたが、ある程度選考が進んだりすると、現場社員と会話できる機会が増えますよね。現場社員こそ会社の正体が見える格好の場だと思います。つまり、「人事の人はああいう風に言っていたけど、実際どうなのか」を確認できるということです。

例えば、「若手から成長できると説明会で言っていたが、実際どうなのか」や、「残業が少なく有休が取りやすいと言っていたが実際どうなのか」等です。抽象的な回答ではなく、イメージできる具体的な回答が出てくるかがポイントです。

また、できれば現場社員の面談は、1回で終わりにせず何度も組んでもらってください。地道な作業ですが、ミスマッチが起きづらくなる一番の近道だと思います。ただし、面談を組んでもらうのは人事が仲介人として入るケースが多いと思いますので、面談の目的等はしっかり伝えた上でお願いしましょう。

もし、説明会等の人事の話と、現場社員の話とでギャップが出た際は、人事にしっかり話を聞いてみましょう。ここで記載した内容は、入社前の学生の皆さんのミスマッチを防ぐ方法の一例ですが、企業側にとっても学生のこのような動きは歓迎してもらいたいと願います。なぜなら、3年以内で退職をされてしまうことは、中長期の人事戦略上非常にダメージの大きいことだからです。

新卒採用はいわゆるポテンシャル採用という位置づけで、短期で退職することを想定していません。(野球に例えると高卒ルーキー(一部のすごい選手を除き)にいきなり一軍のレギュラーで活躍してもらおうとは思わないですよね、ゆっくり2軍で育ててゆくゆくは1軍で・・と考え方は同じです。)新卒社員は中途社員と比較して、初期の研修や人材育成は手厚くなる傾向があり、その投資も退職されると無に帰してしまいます。「新卒学生と会社との会話量」が、ミスマッチを防ぐ一番のポイントなのではないかと思います。

まとめ:
今回は、ミスマッチをどう防ぐのかについて私見を綴りました。この方法でミスマッチが100%防げるとは言い切れません。ただし、ミスマッチを防ぐ効果はあると思っています。大学生活はほとんどの方は4年ですが、社会人生活は30年、40年と続いていきます。その中での会社選びは、皆さんの人生を左右する重要な決断だと思います。ミスマッチはお互い不幸です。皆さんの就活、並びにその後の社会人生活が実りあるものとなるよう切に願います。