誰もが陥りやすい「大手病」とは?リスクと対策方法や隠れホワイト中小企業を紹介

誰もが陥りやすい「大手病」とは?リスクと対策方法や隠れホワイト中小企業を紹介

「大手企業・有名企業に入社したい」「大手に入れば安心」と漠然と考えている就活生は少なくありません。
しかし、そのような考え方は危険な状態だと言えます。「大手病」と呼ばれるこの状態のまま就職活動を進めると、失敗してしまう可能性が高いからです。この記事では、大手病の意味、リスク、そして回避方法を解説します。

はじめに、大手病がどのような状態を指すのかを説明します。

大手病の定義
大手病セルフチェックリスト

大手病の定義

大手企業に勤めることがキャリアのゴールになり、本質的に自分がやりたいことや得意なことを見失ってしまう状態です。

この言葉は主に以下の2つの意味で使われます。

就職や転職活動中の人

「大手企業しか興味がない」「大手に入れば無条件で幸せになる」「大手以外は入りたくない」と決めつけ、企業の規模と知名度だけで盲目に判断している状態です。

そのため、本当に自分の適性に合った仕事や、自分に合った企業を見つけられないことがあります。

大手企業に勤務している若手社員

「大手に入社することができた自分は安泰だ」と考え、その後のキャリアプランを立てなかったり、スキルアップや新しい経験を積むことに無関心になっている状態です。

このような状態に陥ると、転職やキャリアアップを考えたときに、社外で通用するスキルがないことに気づき、手遅れになってしまうというリスクがあります。

大手病セルフチェックリスト

以下の項目に1つでも当てはまったら、大手病の可能性があります。

✅就職・転職活動は大手企業だけに応募している
✅大手企業しか自分には合わないと思っている
✅CMやよく聞く有名企業に目が行く
✅大手企業に行けたら成功者だと思っている
✅大手企業に応募する自分はすごいと思っている
✅自己分析や就活の軸はあんまり分かっていないがとりあえず大手を志望
✅自分と企業がマッチしているか分からないがエントリーする
✅ 大手企業の内定が取れないと、「就活がうまくいかない」と焦りを感じる
✅ 企業の知名度やブランド力で優劣を判断してしまう
✅ 中小企業やベンチャーは「ブラック企業」「倒産する」と思っている
✅ 自分のやりたい仕事内容よりも、福利厚生や年収を優先している

もし、少しでも自分に当てはまるかもと感じたなら、まだ間に合います。
多くの人は、自分が大手病だと自覚しにくく、「自分の考えは正しい」と思い込んでしまいがちです。
しかし、「大手病って本当に悪いことなの?」と疑問に感じる方もいるでしょう。その点については、次のセクションで詳しく解説していきます。

大手病では就職活動の失敗だけでなく、入社後のキャリアにも大きなリスクをもたらします。
その主な理由を8つ解説します。

就職や転職活動中の人編
1.大手以外が考えられない
2.内定が1個も取れない
3.志望動機や就活の軸が曖昧になる
4.入社後のミスマッチ
大手企業に勤務している若手社員編
1.挑戦意欲の低下
2.キャリアの選択肢が狭まる
3.転職活動での苦戦
4.働き方の柔軟性が失われる

大手企業に固執してしまう理由は様々です。

たとえば、親に「大手企業に行きなさい」と言われたり、周囲の友人が大手を目指していたりするため、「自分もそうすべきだ」と考えてしまうことがあります。


また、「安泰だから」「大手企業以外自分には合わない」といった、曖昧な理由で漠然と大手を目指してしまうこともあります。

このような思考に陥ると、「もう大手企業以外は考えられない!」と決めつけてしまいがちです。

その結果、ベンチャー企業や中小企業といった自分に合った企業を見つける機会を失ってしまいます。

より満足度の高いキャリアを実現するには、大手企業だけでなく、幅広い視野で企業を見ることが重要なのです。

2.内定が1個も取れない

大手病になると、名前の通り大手企業にしかエントリーしなくなるため、必然的に不合格が続くことになります。

大手企業の内定倍率をご存じでしょうか?

大手企業の内定倍率は、企業や業界によって異なりますが、一般的に、知名度の高い人気企業は100倍を超えることも珍しくありません。


具体的な倍率の例としては、以下のような企業が挙げられます。

雪印メグミルク: 334倍
WOWOW: 331倍
ピジョン: 279倍
味の素冷凍食品: 252倍
ハウス食品: 216倍
J-オイルミルズ: 195倍
※上記の倍率は出典によって変動する可能性がありますが、人気企業の倍率が非常に高いことの参考になります。

以上のような状況では内定を勝ち取ることは非常に困難な状況と言えます。

そのため、最悪の場合、1個も内定が取れないなんて状態になりえるのです。

3.志望動機や就活の軸が曖昧になる

大手企業ばかりにエントリーして不合格が続くと、徐々に自信を失い、就職活動へのモチベーションが低下する就活生が増えます。

その結果、「大手ならどこでもいい」という思考になり、就職活動の軸が曖昧なまま選考を進めてしまいます。

しかし、そのような状態では大手企業から内定をもらうことはできません。

なぜなら、多くの就活生は、企業の規模や知名度から「大手に行きたい」と漠然と考えます。

そのため、「なぜその企業じゃなきゃダメなのか」「その企業で何を成し遂げたいのか」という肝心な部分が抜け落ちている状態です。

その状態で面接に挑むことで、「うちの会社の何が良いと思ったのですか?」と聞かれた際に、本心(福利厚生、安泰、知名度など)を言えず「誰でもいえる志納動機」を答えている可能性が高いです。

もし、このような状態に心当たりがあるなら、今一度、志望動機や就職活動の軸を見直すことを強くお勧めします。

以下に志望動機について紹介している記事があるので、気になる方はぜひご覧ください。

関連記事
▶︎【例文22選】「志望動機なんてねーよ」は解決できます!職業別に例文紹介!

4.入社後のミスマッチ

多くの人は大手の「知名度」や「待遇」の方に目が行ってしまい、「具体的な仕事内容」や「社風」などを深く掘り下げることがありません。

そのため、大手という理由だけで入社してしまうと、入社後にミスマッチが起きてしまうのです。

また、希望の職種や部署があっても意見が通ることはほぼないので、配属ガチャで職種が大きく左右されます。
職種だけでなく勤務する場所すら選べないこともあります。

入社後のミスマッチを防ぐためにも、「本当に大手に入りたいのか?」「入社したら成し遂げたいことはなんなのか」「他にも自分に合った中小企業はないのか」を調べましょう。

1.挑戦意欲の低下

大手企業を目指す多くの人は、安定を求める傾向があります。

そのため、リスクを避けるようになり、新しい挑戦や未経験の分野に飛び込むことをためらいがちです。

その結果、「大手に入れば安心」「会社が守ってくれている」という考えが強まり、受け身になってしまい、与えられた仕事だけをこなすようになります。

これでは、新しいスキルを身につけたり、主体的にキャリアを築くことを怠ってしまい、市場価値が上がらない人材になってしまうリスクがあるのです。

2.キャリアの選択肢が狭まる

「この会社にいればずっと安泰だ」と思い込み、将来のキャリアについて考えるのを辞めてしまう人が多いです。

その結果、未来の自分のキャリアを想像することがないため、明確な目標がないまま、働き続けることになります。

しかし、大手企業内での常識は、他社や市場では通用しないことが少なくありません。

自分の強みや得意分野を理解し、伸ばす努力を怠ると、いざ転職やキャリアアップを考えた際に外の世界で通用する強みがないことに気づき、後悔することになります。

3.働き方の柔軟性が失われる

安定性を重視した大手企業では、未だに年功序列は残っており、非効率的な習慣が残っている場合が多いです。

そのため、実力主義やフラットで風通しの良い会社をイメージしていた若手社員は戸惑うでしょう。

また、単純に実力というよりは社内での根回しや立ち回りも必要になってくるので、飲み会の参加ややりたくない業務なども発生することもあり、純粋に仕事をしたい人にとってはかなり苦痛になると思われます。

4.年功序列・縦割り文化に慣れ、変化に弱くなる

上述したように年功序列の文化が強く根付いた企業では「頑張って仕事をしたことによる成果」よりも「在籍数」「年齢」が昇進や昇給を決定する主な要因になります。

一方でミスは直接的に出世にマイナスな評価として影響するので、新しいことに挑戦し実力を積むことよりも現状維持が最も安全で確実な道となってしまい、変化を避けるようになってしまいます。

また、年月さえ経てば給料が上がるので社外で通用するスキルの習得や将来のキャリアプランについて何も考えないようになってしまいます。

ここでは大手病を回避するための具体的な方法をご紹介します。

就職や転職活動中の人編
1.就活方法を一度見直してみる
2.徹底的な自己分析
3.中小企業・ベンチャー企業も視野に入れる
4.長期的なキャリアプランから逆算して就活を進める

大手企業に勤務している若手社員編
1.主体的に学ぶ姿勢を持つ
2.副業や外部プロジェクトに参加する
3.市場価値を常に意識する

それでは解説していきます。

1.就活方法を一度見直してみる

「とりあえず有名そうだから」「大手で安定していそう」「親が喜ぶから」といったイメージだけで企業を選んでいませんか?その考え方だと、自分の本当にあった企業を見つけることはできません。

代わりに、「やりたいことや挑戦してみたいこと」「将来どんなスキルを身につけたいか」「働く上で譲れない価値観」を考えてみましょう。
以上のことを深く考えられると自己分析や就活での軸、現在の就職活動を見直すきっかけにもなると思います。

2.徹底的な自己分析

「なぜ」を深堀しましょう。
企業のネームバリューや福利厚生ではなく、「なぜここで働きたいのか」「なぜこの会社でならやっていけると思うのか」などを考えていくことで就活の軸が見つかるはずです。

自分の譲れない価値観やどんな時にモチベーションが上がるのかを見極め、自分にとって本当に働きやすい環境を見つけましょう。

以下に自己分析について紹介している記事があるので気になる方はご覧ください。

関連記事
▶︎【自己分析のやり方8選】簡単に志望動機まで作る方法3ステップ!例文付き
▶︎【自己分析ツールおすすめ16選】無料・登録なし・転職でも役に立つツールを一挙公開!

3.中小企業・ベンチャー企業も視野に入れる

大手企業以外でも優良な企業は沢山あります。
OB/OG訪問やインターンシップを通じて、様々な企業を知り、実際の仕事内容や社風を見てみることで、「この会社良いかも?」と思えるようになると思います。

GOODSTORYでは、まだ多くの人には知られていないような「隠れたホワイト企業」が沢山掲載されているので、ぜひ気になる方はご覧ください。

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4.長期的なキャリアプランから逆算して就活を進める

もしゴールが「安定した福利厚生があり、専門的な分野を身に着け、結婚後も子育てがしやすい環境」とするのであれば、大手企業や中小企業の方が合っているかもしれません。

ただ、ここでポイントなのは大手企業以外の中小企業でも福利厚生がしっかりしている企業はあるということです。

また、「若いうちから幅広く様々なことを学び、スピーディーに成長したい」のであれば、中小企業やベンチャー企業が最適な手段になる可能性が高いです。

このように将来的にどうしていきたいのかを考え、企業のネームバリューに惑わされないことが重要です。

企業が提供してくれる価値に本質的な魅力があり、自分の強みが活かせる環境が合致した条件がある企業があなたに合ったベストな企業だと言えるでしょう。

1.主体的に学ぶ姿勢を持つ

会社が提供してくれる勉強会や研修だけでなく、自ら「どんなスキルがあればより仕事に活かせるのか」「どんな知識があればより円滑に物事を進められるか」を考えながら行動しましょう。

そうすることで、会社全体の課題を自分事のように考えられるようになるため受け身がちな大手病になると陥ってしまいがちな「指示待ち人間」を脱することができます。

2.副業や外部プロジェクトに参加する

社外の活動やプロジェクトに参加することによって、大手企業では得られにくいスピード感のある業務を体験することができます。

普段関わらない人々との交流で停滞しがちな思考を刺激することができるのが魅力です。

また、副業や外部のプロジェクトでは自分で1から企画を考え、結果検証まで一貫して担当するので、責任感や自発的に行動し、考えるの能力が身につくのです。

3.市場価値を常に意識する

大手企業のネームバリューを「自分の価値」と混同してしまわないようにしましょう。

安住して、何も考えずになってしまうことが入社後の大手病の最大の危険です。

この会社から出た時に「自分には何ができるのか」「どこでも通用できるスキルはあるか」を考え行動することが重要です。

ここでは大手病を克服し満足のいくキャリアを築くための3つの方法を紹介します。
また、隠れたホワイト企業も紹介しているので気になる方はそちらもご覧ください。

1.大手への先入観を捨て、優良企業を見極める視点を持つ
2.企業規模よりも事業内容で選ぶ
3.自分の市場価値を意識する

それでは紹介していきます。

1.大手への先入観を捨て、優良企業を見極める視点を持つ

まずは「中小企業で働く=不安」という大手病の先入観を捨てる必要があります。

「本当に自分が成長できる環境はどんな場所なのか?」を見つめ直し視野を広く持ちましょう。

そこで、中小企業でも優良な企業の見分け方や見つける為の視点を4つほど紹介します。

専門性:特定の分野で活躍しており、安定した収益基盤を持っている企業

競争相手が少ないジャンルのため、安定した収益基盤を持っている事が多いです。
有名企業ではなくとも、世界でトップクラスの技術を持っていたり、シェア率が高い企業はねらい目です。

成長性:安定した事業を基盤として、新しい分野にも挑戦している企業
この状態は、現代の経営戦略として最も理想的なアプローチと言われています。
両利きの経営といい、環境の変化に強く、どんな状態でも生き残れる可能性が高いと言われているためです。

柔軟性:常に新しいことに挑戦する体制を維持する企業
このタイプの企業は「挑戦停止」「思考停止」を避け、常に新しいチャンスを掴みに行くために常に競争優位性を保てます。
前述したようにこのようなタイプの企業は「両利きの経営」をしているため、常に未来の成長の種を育てています。
そのため、社風としても失敗を恐れずに、様々なことに対して主体的に行動する人が評価されやすい傾向にあります。

財務体制:高い利益率があり、独自の技術やブランド力がある企業
大手病になると売上高を気にする方が多いですが、本質的に重要なのは、「どれだけ手元にお金を残しているか」です。
借金(他人資本)が少ない状態で、財政体制が安定していると倒産のリスクが限りなく低いので、長期的な目で人材育成を行える余裕があります。
このような自己資本比率が50%を超えるような企業は、大手のグループ会社よりもはるかに安定しているケースが多く、まさに「隠れたホワイト企業」だと言えるでしょう。

GOODSTORYでは、まだ多くの人には知られていないような「隠れたホワイト企業」が沢山掲載されているので、ぜひ気になる方はご覧ください。

GOODSTORY
▶︎挑戦できる環境があるから、成長も得られる。自分らしさを大切にした、「鴨川館」でのチャレンジ。
▶︎大きなやりがいと高待遇。高次元でのバランスが【プロジェクトマネジャー】としての魅力。
▶︎相手に寄り添ったソリューション提案で、学校現場を笑顔に。エプソン販売で実感する社会貢献の手応え。

2.企業規模よりも事業内容で選ぶ

事業内容で企業を選ぶことによって、「自分なら何ができるのか?」「自分は仕事をやる中で何を成し遂げたいのか?」のような視点で考えるようになるからです。

長期的に自分の満足するキャリアを築くには、あなた自身がその企業に入る理由を明確にしておく必要があります。

入社前にやりたいことや目指すべきことが分かっていれば入社後のミスマッチを軽減することができます。
大手社員という肩書だけでは、辛い時にモチベーションを維持するのは厳しいですが、自分がやりたいと思ってやる仕事では、困難なことが起きても乗り越えられる原動力が備わっています。

事業内容で選ぶための具体的なアクション

1.情熱を持てるのか?
企業が提供するサービスや商品は誰の問題を解決できているのか?
その物事にやりがいや情熱を持てるか?

2.誰に価値を提供しているの?
BtoC(消費者向け)か、BtoB(企業向け)なのか?
自分はどこに対して提供することでモチベーションになるのか?
消費者の声がダイレクトに聞こえるのがいいのか?
会社を支える仕事に魅力を感じるのか?

3.その事業の将来性はあるのか?
衰退気味なのか、成長軌道にあるのか?
成長している場合はどの分野が成長しているのか?
その事業にどんな魅力を感じているのか?

以上の3つのことを深堀していくことで本当にあなたが働きたいと思える企業が見つかるはずです。

3.自分の市場価値を意識する

「自分の現在地を意識する」または「意識する」ということは大手病を克服するきっかけになります。

「大手勤務」という状態ではなくなった時に、自分にはどんな能力やスキルがあるのかを客観的に把握することで、自分に足りないものや、どんなことを強みにしていけばいいか理解できます。

自分に強みがあればいつでも転職は可能ですし、現在の会社での給料アップの交渉材料にもなります。

大手に合わない人の特徴
✅新しいアイデアをすぐに試したい、柔軟な環境を求める人
✅幅広い業務経験を短期間で積みたい人
✅成果がすぐに評価に反映されることを求める人
✅会社の意思決定に大きく関与したい人
✅形式や規則にとらわれず、自由な働き方を求める人

これらの項目では大手企業の社風に合わないため、中小・ベンチャー企業などの方がフィットしやすいとされています。

中小・ベンチャー企業ではより柔軟でスピード感のある環境のため、の以上の項目を実践したいと考えている方には、本来の能力を発揮し満足のいく企業の行くことができるでしょう。


大手企業は多くの魅力を持っていますが、その魅力には「個人の成長が得られにくい」「倍率が高すぎてそもそも受からない」などのデメリットもあります。

長期的な目線でキャリアプランを考え、自身の主体的な学び働き方の価値観に照らして企業を選ぶことで、大手病を回避し満足度の高いキャリアを築くことができるでしょう。

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