カメラマンは翻訳者。しかも、正解のない仕事だけに奥が深い

カメラマンは翻訳者。しかも、正解のない仕事だけに奥が深い

このストーリーのポイント

  • より多くの人を感動させたいとテレビ番組の制作会社へ
  • 番組作りはチームプレイ。スポーツの経験が活きた
  • あるがままでなく、プロは自分なりに翻訳して撮影しなければならない

念願のテレビ映像制作の世界に入り、プロカメラマンとして日々現場での撮影に従事。ディレクターの意図を汲みながらも、自分なりにどう撮れば良いかを常に考えながら仕事に臨んでいる。最近は、自社のインターンシップの企画にも関わり、「映像の楽しさを知ってもらい映像沼にハマってもらいたい」という想いを学生に伝えることにしている。

-profile-

岩瀬 裕紀

株式会社共同テレビジョン

映像制作部 カメラマン
2017年入社/マネジメント創造学専攻

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兵庫県出身。子供の頃からスポーツが大好き。しかも、野球やラグビーなどのチームスポーツに夢中になっていた。大学では学業と、アルバイトでブライダルカメラマンの下積みを両立させた。共同テレビジョン入社後は、ビデオエンジニアを経てカメラマンに。多くの現場で経験を積んでいる。

バイトで600組ものブライダルを撮影。面白さを知る

子供の頃からスポーツ一筋でした。小・中学は野球。ポジションは、ピッチャーやファーストでした。高校で夢中になったのはラグビーです。「一緒に花園を目指そう」と声を掛けられての入部。県の公立高校ではNo.1の強さを誇っていたので、練習はもちろん、上下関係もかなり厳しかったです。それでも頑張り抜いて、3年生の時にはチームの副キャプテンを務めたほか、県代表にも選ばれました。ただ、最後の試合で膝の怪我をしてしまい続けることを断念しました。

その代わりに、大学ではアルバイトに没頭していました。ブライダル映像のカメラマンをしていたんです。撮影に興味を持ったのは、高校1年生の時。ラグビーの練習で怪我をしてしまい、一時ビデオ係になった際、ミーティング中にキャプテンから「今日は誰が撮影したのか。ムチャクチャ上手いじゃないか」と褒められたのがきっかけでした。

撮影のバイトを始めたのは高校卒業後。何の目的もなく大学に進みたくなかったので、映像系の大学に進むか、取りあえず映像系の会社で働いてみようと思ったんです。応募したのが、ブライダル撮影の会社でした。「未経験歓迎」と謳っていただけに快く迎えてもらい、半年間の研修を経て正式にカメラマンとして働くことになりました。以来、ブライダルの撮影を週末中心に2、3件こなし、大学での4年を含め5年間で600件くらいは手掛けました。

僕としては、撮影の仕事ができるのであれば、大学に行かなくても良いのではと思っていたのですが、バイト先の上司に「18歳でこの世界に来てしまうと、将来つぶしが利かなくなってしまう。大学だけは行っておけ」とアドバイスされました。結局、映像系の大学には行けませんでしたが1年間浪人した格好で勉強とバイトを両立させながら、翌年第一志望ではなかったものの地元の大学に合格することができました。そのキャンパスには一つの学部しかなく、1学年で200人くらいしかいないので誰もが顔見知りでした。そんな環境なこともあり、写真や映像を撮る機会があれば必ず僕に相談が来ていました。今、思い返しても、大学ではいつもカメラを携えて撮影技術の勉強していた気がします。

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自分のやりたいことを優先。映像制作の世界に入る

就職を意識し始めたのは、大学3年の夏でした。東京の映像制作会社のインターンシップに参加したんです。テレビ番組がどう制作されるのか、番組作りのイロハを学ぶことができました。

この頃から就職するならテレビ番組の映像制作会社と決めていました。しかも、僕がやりたかったのは撮影でしたから、技術職として働ける会社をターゲットとしていたんです。何しろ、数百人規模の参列者に喜んでいただくブライダル撮影と違って、テレビなら何千万人もの人々を映像を通じて感動させられます。ただ、親は当初、「専門的な放送技術を学んでいないのに仕事ができるのか」「労働環境が厳しいのではないか」と心配していました。

最終的には、映像制作会社4社を含む7社から内定をもらうことができました。そのなかで自分が選んだのが、共同テレビジョンでした。僕が関西出身ということもあって、当初は社名も制作している番組も知りませんでした。でも、調べていくうちにフジサンケイグループで会社の規模が大きいだけでなく、福利厚生も充実していることが分かりました。その上、面接での雰囲気もとても良かったんです。フランクというか、オープンというか。僕が書いたESに沿って、「どんな理由からこういう行動をしたのか」「その時どんなことを学んだか」など、僕の人間性を少しでも理解しようとしてくれている姿勢が伝わってきました。本当は地元で働きたい気持ちもあったのですが、「東京に出たい」という好奇心もあり上京を決心しました。親も最後は、「これから40年働いていくのだから、自分のやりたいことを優先しなさい」と背中を押してくれました。生半可な気持ちでなく、本気でやろうとしていると理解してくれたようです。

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登用試験に合格。3年目に念願のプロカメラマン・デビュー

共同テレビジョンは部署別採用でした。当然、映像制作部を志望し、無事配属となりました。映像制作部は、主にフジテレビ系の情報番組や報道番組、バラエティ番組に関わる映像を制作している部署で、100人以上のスタッフが在籍しています。

入社後は、まずビデオエンジニア(VE)として働きました。一般的に、VEとはビデオカメラや各種映像機器の調整・設定をする技術者を意味しますが、共同テレビジョン映像制作部では音声とカメラマン・アシスタントを兼ねた仕事。先輩カメラマンに同行して現場に出向き、先輩の動きを見ながらカメラの操作法やカメラマンとしての立ち回り方を習得していきます。僕はこの仕事を2年務めました。

映像制作部では、一定の経験を積めば自ずとカメラマンになれるという流れではありません。カメラマンになるための登用試験(通称「カメテス」)に合格しなければいけないのです。対象者は、映像制作部で実務にあたっている全スタッフ。年齢・経験年数に関わらず誰でも受けることはできます。流れとしては、毎月のテーマ撮影、作品テスト、実技テスト。これらを数カ月のスパンで実施していきます。僕は試験のコツを掴むために入社1年目からすぐに受け、2年目に合格することができました。半年近くの研修期間を経てこれで、念願のプロカメラマン・デビューを果たすことになったのです。

その後、さまざまな現場に出向き撮影を行いました。最も印象に残っているのは、FNS(フジネットワーク。全国のフジテレビ系列各局のテレビネットワーク)チャリティキャンペーンでアフリカのウガンダ共和国に1カ月ほど出張したことです。これは、キャンペーンを通じて視聴者から募金を集め、そのお金を国際連合児童基金(UNICEF)を通じて、児童婚やエイズで苦しむウガンダ共和国の子どもたちの支援に使ってもらおうという企画。僕は、現地の子どもたちの撮影にVEとして参加しました。

海外旅行が好きな人であっても、ウガンダ共和国にはなかなか行きません。内政が乱れており、危険なエリアが数多くあるからです。そんな場所にも、UNICEFのスタッフと一緒に入り込み、恵まれない子どもたちの姿を自分の目で見ることができました。本当に言葉では言い尽くせないほどの衝撃でした。そうした貴重な経験を20代でさせてもらえたのは、感謝するしかありません。

また、昔から自分でも良く視ていたテレビ番組『逃走中』で逃走者カメラを担当した際に、高校時代からの憧れの的であった元ラグビー日本代表選手をすぐ傍で撮影できたことも僕にとっては、一生忘れられない想い出となりました。「今あの選手と同じ場所に立っている」と思っただけで足が震えてしまいました。

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テレビ制作はチームプレイ。自分が撮った映像の持つ意味合いを実感

こうしたエピソードを語ると、仕事の楽しさばかりがクローズアップされてしまいますが、最初の頃は先輩カメラマンから厳しいことも相当言われました。映像撮影は、もともと正解のない仕事です。どう撮るか、どう見せるかは自分次第となるだけに、現場での撮影意図を厳しく追及されました。すべては、僕を育てたいと思ってくれているからこそのアドバイス。「直すところがあるんだな」と前向きに捉え、自分にとってプラスになる意見を積極的に取り入れていきました。

それでも、苦労は続きました。何が大変であったかというと、自分が撮りたいものを撮るのではなく、視聴者が視たいものを撮らなければいけないということ。僕は、カメラマンは翻訳者であると思っています。そこにあるものを映像で翻訳しないといけないのですが、それが難しいんです。

もちろん、プロのカメラマンになって成長できた点は数々あります。例えば、一人で撮っているわけではないと気付くことができたことです。バイト時代に撮っていたブライダルは、視聴者も限られているためその視聴者の考えに沿って綺麗なものを綺麗に撮影するものでした。撮影も僕一人でした。でも、テレビは多くの受け手がいますし、見せる側も多くの人が関わりながら映像が成り立っています。僕が撮った映像の持つ意味合いがいかに大きいかを教えられました。

まずは、もっともっとカメラマンとしてのキャリアを積んでいきたいです。でも、そればかりに固執するつもりはありません。将来は、スタッフのマネジメントにも興味があるので、デスクや営業の仕事を通じて成長して行ければと思っています。

それに、共同テレビジョンは総合制作会社なのでドラマや、バラエティなど多様な番組を手掛けています。個人的には、面白おかしいバラエティやドキュメンタリーでの感動大作も事件報道も興味があるので、どのジャンルで自分のキャリアを切り開いていくかは、今の段階では決められません。現在は、東京オリンピックの取材メンバーに選ばれているので、一流の選手たちの感動シーンを是非撮影したいと思っています。その日が今から楽しみです。

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共同テレビジョンについてもっと知りたい方はこちらもご覧ください

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