入社8年目、ロボット開発で挑んだテーマは、何よりも軽さ。それは簡単なようで難しい条件――船体の壁面検査用のロボットの開発ストーリー

入社8年目、ロボット開発で挑んだテーマは、何よりも軽さ。それは簡単なようで難しい条件――船体の壁面検査用のロボットの開発ストーリー

入社8年目、
ロボット開発で挑んだテーマは、
何よりも軽さ。
それは簡単なようで難しい条件

――船体の壁面検査用のロボットの開発ストーリー

このストーリーのポイント

  • 漫画家を目指すも、ライバルの登場により断念。偶然が重なり東京計器の説明会に参加
  • 2年目に電気リーダーに。プロジェクトをこなしながら若手の指導にも奮闘
  • 分野の異なる開発案件に次々と挑む。”まだ世の中にないもの”で世界一への挑戦

多彩な先端技術と総合力を誇る東京計器。その研究開発部門の一員として活躍する。入社当時は、上司から求められるレベルがあまりにも高いことに愕然。初めての回路設計も思うようには進まなかった。こうした様々な壁を乗り越えてきた8年間。現在は、レーザー距離計の設計や、軽さを追求した調査用のロボット開発に携わっている。このような分野の異なる開発案件に携われるのは東京計器ならではのやりがいだと語る。

PROFILE
東京計器株式会社

渡邊 諒馬

研究開発センタ 第3研究課
2014年4月入社/工学研究科電気電子工学専攻修了

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栃木で生まれ育ち、大学・大学院までずっと栃木で過ごしてきた。趣味は漫画を描くこと。休みの日には、同じ趣味の仲間と会ってリフレッシュして過ごしている。東京計器との出会いは、縁から始まった。入社1年目から8年目までの軌跡を題材に、いつかは、東京計器の出会いを面白く綴った漫画作品を自分の手で創り上げてみたいと思っている。

「偶然の出会いを大切に」という言葉に惹かれ、東京計器に入社

もともと、何かをやり始めると熱中するタイプでした。子供の頃から大好きだったのは、絵や漫画を描くこと。4コマ漫画やアニメ・キャラクターの二次創作を頻繁に同人誌に投稿していました。大学ではマンガ研究会に所属し、自分たちの作品をまとめた冊子を印刷して学園祭や同人誌のイベント会場などで販売をしていました。

父親が家電メーカーに勤務していて、基板の話をよく聞かせてくれました。不要になった基板を触らせてもらったこともあり、それがきっかけで電気や電子、”ものづくり”に興味を持つようになりました。大学・大学院に進学し、電気電子工学を専攻したのは自然な流れだったと思います。

就職を本格的に意識し始めたのは、大学院に入ってからです。実は、学部生の頃までは「漫画家として頑張りたい」と思っていました。しかし、マンガ研究会のサークルに絵を描くのがとても速くて、仕上がりも完璧というメンバーがいて、「これはとても敵わないな」と痛感し、漫画家になることを断念したのです。その名残もあり、就活当初は印刷や文具などの業界を志望していました。具体的には、プリンターやタブレット機器のメーカー、印刷会社などに照準を合わせ、父の影響もあって興味を持っていた”ものづくり”の仕事に携わりたいと考えていました。

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東京計器を受けたのは、本当に偶然が重なったという感じでした。同じ研究室の先輩が東京計器に入社すると聞いた際に、どこにある会社かという話題になったんです。よくよく先輩の話を聞いてみると東京計器は、私が同人誌のイベントに荷物を搬入する際に利用している駐車場のすぐそばにある会社だということが分かりました。先輩が気に入った会社なら、自分も受けてみようかなと思い、会社説明会に参加することにしました。それが、東京計器との出会いでしたね。

説明会で人事担当者の中村さんと会うことになったのですが、そこで中村さんは「偶然の出会いを大切にしてほしい」という話をしてくれました。最初から志望先を限定するのではなく、まずはさまざまな業界や会社に興味を持って、行動範囲を広げてみることが就職活動では重要になってくる。そんな想いを持ってコメントされたのだと思います。その話が非常に面白くて、「これも何かの縁かな」ということで本格的に選考を受けてみることにしました。

予想外に面接は上手く進み、良い評価をいただき、いよいよ最終面接となりました。これまでの面接とはガラッと雰囲気が変わり、最終面接には専務が登場しました。周りの学生が明確な志望動機を持って選考へ進んできている中で、自分だけがぼんやりと進んできてしまったことを不安に感じていました。さらに、専務が面接の時間中にぴくりとも笑わず緊張感漂う雰囲気でしたから、「これは落ちたな」と勝手に思い込んでしまったのです。面接後はしょんぼりとへこみ、エレベーター前で待っていてくれた中村さんにも「残念ですが、もうこれでお別れですね」と言うしかありませんでした。それでも、中村さんは落ち込んでいた私をひたすら励ましながら見送ってくれたのです。

失敗に終わったと思い込んでいたので、後日内定をいただけた時はとても嬉しかったですね。他社からも内定をもらっていましたが、やはり、決め手となったのは中村さんの存在と先輩の存在が大きかったです。「偶然の出会い」を大切にしてみようという気持ちもあったので、東京計器への入社を決意しました。

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入社2年目に電気担当のリーダーへ。上司と新人の板挟みで苦労

入社後は、那須工場の第2研究課に配属となりました。社内の各カンパニーに向けた新規製品を研究・開発する部署です。担当した仕事は、回路設計でした。担当といっても、最初は先輩の仕事ぶりを見ながらやり方を学んでいきました。少し慣れてきたところで任せてもらったのが、温度センサーのICチップを使った小型の回路でした。簡単な基板なので自分でもできると思っていたのですが、いざ出来上がってみると正常に動かなかったのです。温度センサーの信号をCPUにつなげる際は、その線が少し短かったりするだけで性能が変わってしまいます。私は基板は作れたものの、接続のところまで考えが及んでおらず、不具合が起きたのです。その時は、先輩に色々とアシストしてもらいながらなんとか仕上げることができ、回路設計担当者としての小さな一歩を踏み出せた瞬間でした。

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入社当時、那須工場の第2研究課の電気担当者は女性の先輩と私の2名のみでした。その先輩はものすごく優秀な方で、何かと頼りにしていました。ただ、私が入社した1年目の終わりに、先輩は結婚を機に退職されることになったのです。そんな状況にもかかわらず、入社2年目を迎えた4月には、新人2名が入ってきました。先輩がいなくなった今、頼れる相手は誰もいないため、自分で頑張るしかありません。こうして私は電気担当のリーダーとなりました。

予想はしていたものの、リーダーの仕事はとても大変でした。プロジェクトをまとめつつ新人の指導も行わねばなりません。さらに、リーダーという立場上、上司とやりとりする機会も数多くあります。その上司は、長年電気を専門に手掛けてこられた方なので、とにかく知識が豊富で優秀な方でした。私とは年齢が親子ほど離れていたこともあって、「このテクニックでできるだろう」と指導をもらっても、何を言っているのかすぐに理解することができない、そんなこともありました。

もっと難しかったのは、上司と新人との板挟みとなることでした。新人は、私以上に上司とジェネレーションギャップがあります。働き方に対する考えも全く異なっていました。双方の言い分・意見を踏まえて上手く説得したり、スケジュールを調整することに非常に苦労しましたね。

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日本一では満足しない。世界一への挑戦、上司が最初にして最後の壁

その後、二つほど印象的なプロジェクトに携わらせていただきました。一つが、保線検査機器の新製品であるレーザー距離計の設計です。これは、レーザーの反射時間によって壁までの距離を算出するというもので、地下鉄や鉄道のトンネル内での保安や崩落確認を行うために使われます。このプロジェクトには、2年目から新人とともに参画し、退社された先輩が設計したものを私が引き継いで改良・試作しました。これもそれなりの苦労がありましたね。実際に私が担当したのは、例えばCPUをFPGAに置き換える作業でした。さらには、レーザーを出す光源装置を発注するにあたり、国内はもちろん世界レベルで良い製品はないか調査し尽くしました。何しろ、上司が目指しているのは、世界一です。日本一では満足しません。「本当に調べきれたのか」と毎回釘を刺されていました。

上司からのOKはなかなかもらえず、「上司が最初にして最後の壁」とよく言っていたものです。それでも試行錯誤を続け、レーザー距離計の設計は3〜4年ほどで落ち着き、社内的な移管を無事に終えることができました。

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挑んだテーマは、まだ世の中にないもの。“『軽さ』の追求 ”

もう一つ大きな仕事となったのが、橋梁や船体の壁面検査用のロボットです。こちらにはゼロから関わりました。入社から4〜5年経って多少は回路がわかってきていたものの、そのレベルを遥かに超えていました。そもそもコンセプト自体が”世の中にないもの”であり、全く新しい分野への挑戦だったからです。挑んだテーマは、何よりも軽さでした。これが簡単なようでいて難しい条件だったのです。中身の部品を分解し、どうしたら軽くなるかをとにかく調べ、原理や理論を理解することに努めました。メーカーさんとの交渉を何度も重ねました。私たちの”まだ世の中にないものを開発する挑戦”への想いを伝えることで、なんとかして協力してもらえないかとお願いをして回りました。

壁面検査用ロボットは、今まさに佳境を迎えています。一度試作したものをさらに改良し、お客様にデモをしている段階です。上司と最後まで試行錯誤を繰り返し、お客様の手に届くまでは決して妥協はしませんでした。

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このように、分野の異なる開発案件に携われるのは、東京計器の研究開発業務のやりがいでもあります。レーザー距離計は、レーザーを使った作業の面白さを味わいました。ロボットではあまり議論の対象にならない軽さにフォーカスしたということもあり、攻めの設計ができました。

もちろん、つらいなと思ったことも何度かありました。そんな時は、「どこがどうつらい」とか「こんなことがあって、こう不満です」と上司にストレートに言うようにしています。これも、もともとは1年目に上司から「渡邊がどう思っているか、私にはわからない。つらいことがあったら言ってくれないと分からないぞ」と言われていたからです。それ以来、自分の本音をぶつけるようにしています。

アピールした時に、上司はサポートをしてくれます。ただし、本当の意味で私にはできないと判断してもらえた場合のみですが。単純に私が解き方を知らないというケースもありますし、世の中に解き方すらないということもあります。そこは、その場その場で上司も対応が変わってきます。

現在、電気チームは後輩の部署異動があったものの、寿退社された先輩が復帰してくださり、入社1年目の時と同じ2名体制となりました。リーダーは先輩にお任せしています。ひとまず後輩育成の役目を終え、以前よりも自分の仕事に専念できるようになりました。やるべきことはまだまだありますが、責任感を持って仕事に取り組んでいます。

小さな目標を確実に。会社もより良くしていきたい

今後の目標は、ミスを少なくするために小さな目標を確実にクリアしていくことです。設計をする際に戻る工程をなくしたり、データの読み間違いをしないようにするといった単純なことです。それらを一つひとつしっかりと積み重ねていきたいです。

「将来的に目指すキャリアは何ですか」と聞かれると、正直なところ悩んでしまいます。どういう役職になりたいかという明確なビジョンはまだ持っていませんが、漠然と「この会社をより良くしていきたい」という気持ちを持っていますね。

心の中のどこかには、いつか上司を越えるエンジニアになりたいという想いがあるのかもしれません。上司も「俺を乗り越えていけ」と言っていますから。できるのかどうかはわかりませんが、私も負けず嫌いなのでトライしてみようと思っています。

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