背中を押してくれた人たちのためにも、世界トップレベルの獣医療を日本に持ち帰る。

背中を押してくれた人たちのためにも、世界トップレベルの獣医療を日本に持ち帰る。

背中を押してくれた人たちのためにも、
世界トップレベルの獣医療を日本に持ち帰る。

このストーリーのポイント

  • 獣医師として勤務しながらスキルアップを求めて社会人大学院生に
  • さらなる成長を求め、リサーチ・フェローとして米国の獣医学部へ
  • 日本の獣医療の発展に貢献するため、高い目標と志を掲げる

都内の動物病院にて約7年間勤務後、イオンペットに転職。獣医学部に在学中から現在に至るまで、獣医整形外科の分野で知識と技術を高め続けてきた。その結果、イオンペットのフェローシップ制度を利用して、米国で獣医学の研究に取り組む機会を得る。現在はカリフォルニア大学デービス校で、整形外科分野の重要課題のひとつである合併症をいかに削減していくかをテーマとして研究に取り組んでいる。

PROFILE
イオンペット株式会社

室井 謙宏

カリフォルニア大学デービス校 リサーチ・フェロー
2020年入社/日本獣医生命科学大学卒業

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同じことをやり続けるよりも、常に新しいことに挑戦していたいという思いから獣医師と勤務する傍ら日本獣医生命科学大学に社会人大学院生として通う。イオンペットに入社後はフェローシップ制度を利用し、獣医学において全米トップクラスの評価を誇るカリフォルニア大学デービス校にてリサーチ・フェローとして獣医整形外科分野の研究に従事する。

整形外科領域で獣医療に貢献していくことを決意

私は子どものころから獣医を目指していたわけではありませんでした。獣医師になった理由は「一般的な企業に勤めて会社員生活を送るイメージが持てなかった」という背景によるものです。漠然としたビジョンで「手に職がつく仕事に就きたい」と考えていたので、高校時代は医師を目指していましたが、希望していた大学への入学がかなわず獣医学部に進学することにしました。自分が思い描いていた未来図とは違う道へと進むことにはなりましたが、在学中は獣医学にどんどんのめり込んでいきました。特に、私を担当してくださった教授は獣医整形外科の分野で深い知見と高い技術を持っていらっしゃったので、在学中は多くのことを学ばせていただき、私自身が整形外分野に強い興味を持つきっかけにもなりました。教授は大変厳しい方だったので、指導についていくのに必死でしたね(笑)。

卒業後は都内の動物病院に就職し、ワクチン接種や健康診断などの1次診療から、専門的な技術が必要とされるような診療にも従事していました。ご多聞に漏れず、激務といって差し支えない日々を送っていましたが、臨床の経験を多く積むことで獣医師としての基礎を創り上げていくことができたと思います。しかし、就職から数年後、相変わらず忙しい日々を送ってはいたもののふと物足りなさを感じることが多くなってきました。「獣医師として、整形外科の技術を磨くためにもっとできることがあるのではないだろうか?」という思いが、私の感じる物足りなさの原因だったのです。整形外科の分野をもっと突き詰めていくためには何をするべきだろうかと職場に相談したところ「社会人大学院生として、研究室に戻ってみてはどうだろうか?」というアドバイスをいただいたので、獣医師として勤務する傍ら社会人大学院生として研究を行っていました。今にして思えば、体力のある若い頃だったからこそ可能な挑戦だったと思います。

そんな生活を過ごす中、研究室で交流を持った同級生の獣医師から「イオンペットで働いてみないか?」と誘っていただくことがありました。実は、お誘いをいただいた当初はイオンペットに対して興味を持っていなかったので、かなり長い間返事を保留にしていました。しかし、自身が年齢を重ねて体力が衰えていく中でいまのような無理を自分自身に強いることができるかどうか不安に感じ始めていたこともあり、一度話を聞いてみることにしたのです。

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「挑戦したい」という気持ちを全力で支援してくれるイオンペットの風土

イオンペットで実際に話を聞いてみると、働く環境の充実ぶりにまずは驚きました。獣医師の多くは臨床業務に追われ、スキルアップを望むなら業務外で時間を捻出して自助努力を行うことを求められがちですが、イオンペットでは教育が制度化されていることに加え、獣医師が過度な無理をしない働き方が実現できていました。また、社会人大学院生として研究室に通っていた私に対して「それならば週4日勤務という働き方はどうですか?」と提案していただけるなど、個々の背景に則したワークスタイルが受け入れられる柔軟性も、私の目には魅力的に映りました。実際にイオンペットから話を聞き「自身のキャリア形成にとって良い選択になる」という確信を持てたので、転職を決意するに至りました。気のない返事をし続けた私を根気よく誘ってくれた同級生には申し訳ないと思うと同時に、今でも感謝しています。

転職当初はペテモ動物病院亀戸(現:ペテモどうぶつ医療センターひがし東京)に勤務しながら、社会人大学院生として研究室に通うという充実した日々を送っていました。やがて社会人大学院生を修了する年度を迎え、次はどのような目標を立てようかと考えていたところでイオンペットのフェローシップ制度を思い出しました。フェローシップ制度とは、社内外および国内外への派遣や留学を通じ、獣医療技術の習得を支援するという制度です。派遣先は国内の獣医大学のほか、国外の獣医大学も派遣先候補として含まれていましたが、当時はまだイオンペットに国外獣医大学へリサーチ・フェローを送った実績はありません。特に国外大学に受け入れてもらうためにはコネクションが重要となるため、応募した当人の私ですら「本当に国外大学に行けるのだろうか?」と半信半疑な状態でした。そこで、動物病院事業本部長に「派遣先は国外大学を希望しているのですが、実現できそうでしょうか?」と率直に聞いてみたところ「その挑戦したいというその気持ちを、こちらも全力で応援します。実現に向けて最大限の力で取り組みましょう!」という力強い返事をいただきました。

複数回の面接を経て希望がかなってフェローシップ制度を利用することになり、派遣先はアメリカのカリフォルニア大学デービス校に決定しました。その名前を聞いたときにはあまりピンとこなかったのですが、調べてみると全米で1、2位を争う獣医学の名門中の名門だということを知り、驚きを隠しきれませんでした。相談させていただいた事業本部長は、きっと全力以上の努力をしてくださったに違いありません。リサーチ・フェローとして派遣されるからには「イオンペットの将来につながる技術や知識を必ず持ち帰ろう」と改めて決意を固めました。

世界トップレベルの獣医学部で実感した基礎力の高さ

一般的に、アメリカの獣医療は世界トップレベルの水準だと言われていますが、それは最先端の獣医療に取り組んでいるという意味ではありません。先進的であるからトップレベルだと評価されているのではなく、むしろ“基礎に対する理解の深さ”に対する評価だということが実際に学んでみることで分かりました。特にカリフォルニア大学デービス校の獣医師は、獣医療の基礎知識をとてつもない深度で習得していると思います。その結果、たとえば新しい術式を検討するために議論を交わすとなった場合も、きちんと互いの意見がかみ合って意義のある結果を生み出すことができています。一方、基礎知識に対する理解に差があると議論がかみ合わなかったり、平行線をたどってしまうことがあるため、基礎力の高さはとても重要なのだと再認識しました。また、手術においても予後の回復を視野に入れた術式や、合併症を防ぐという観点では手技と同等以上に基礎知識は重要なものだと考えています。カリフォルニア大学デービス校に来て、獣医師個々が基礎を高いレベルで積み上げていくことこそ、獣医療の発展につながるのだとあらためて実感することができました。

リサーチ・フェローとしての取り組みは、臨床よりも研究がメインではありますが、整形外科のカンファレンスに参加したり、手術の助手に入らせてもらったりもしています。現在取り組んでいる主な研究テーマは『脛骨の粉砕骨折モデルに対する最適な固定方法の機械試験』、『股関節全置換術後の合併症である再脱臼の防止方法について』、『股関節全置換術後の合併症に関する有限要素解析を用いた研究』の3つです。それぞれの詳細について割愛させていただきますが、各テーマに共通していることは「いかにして合併症を減らすか」という点です。整形外科の分野で合併症を減らすことは重要なテーマの一つで、自分の研究の成果で獣医生外科医療における合併症を減らしていくことができれば、これほどうれしいことはありません。全力で私を支援してくれているイオンペットに報いるためにも、私も成果を出すことにこだわって研究に取り組んでいます。

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獣医療の発展に資する生涯を歩んでいきたい

フェローシップ制度の目的は、獣医療に関する知識と技術を高いレベルで習得して持ち帰ることにありますが、私が個人として掲げる目標としてはアメリカの獣医外科専門医の資格を取得することです。獣医外科専門医資格が取得できればイオンペットだけでなく、日本の獣医療界に持ち帰れるものは大きいと考えています。世界的に通用する高い水準の獣医療を提供できることを証明するものでもありますし、何よりその知識と技術を国内に還元するという使命を果たしたいです。かなり高いハードルを課していると自覚していますが、現地で私を指導してくれている台湾人の先生からは「ネバーギブアップ!」と励ましの言葉をいただいています。やる気を引き出してくれる魔法の言葉ですね(笑)。

また、合併症を減らしていくことは獣医師として人生を歩んでいく中で生涯のテーマになるものだと思っています。せっかく手術してもふたたび骨折や脱臼をして再手術となってしまえば、ペットにとっても飼い主さんにとっても大きな負担になってしまいます。「本当に必要な手術は何なのか?」をしっかり検討して実行できる、そんな獣医療を国内に広めていきたいです。

獣医師の皆さんの中には、ひょっとしたら思い描いていたスキルアップや成長曲線を描けずに悩んでいらっしゃる方がいるかもしれません。そんな方にこそ、ぜひイオンペットに話を聞きにきてほしいと思います。「スキルアップしたい」、「成長したい」というその思いを、イオンペットは全力で応援してくれるはずです。日本最大規模を誇る企業立動物病院なので、専門的な知識を有する獣医師が多数在籍していますから、皆さんが目指したいと思えるようなロールモデルもきっと見つかると思います。私が日本に戻ったら、一緒に「イオンペットなら高度な治療を受けられる」というブランドイメージをさらに高めていきましょう。

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