「あたらしいより、わたしらしい。」 ブランディングCMができるまでのプロジェクトストーリー

「あたらしいより、わたしらしい。」 ブランディングCMができるまでのプロジェクトストーリー

「あたらしいより、わたしらしい。」ブランディングCMができるまでのプロジェクトストーリー

このストーリーのポイント

  • これまではファッション商品の訴求と販売促進目的でのブランディングが多く、それ以外の価値や「ベルーナらしさ」を伝えられていないことが課題
  • 「お客様にとって、そもそものベルーナの価値とは何なのか」を考え続け、様々な部門を巻き込んで動いたCM制作
  • 一人ひとりに向き合い、等身大を大切にするベルーナが誇らしい。だからこそまだまだ伝え切れていない価値を伝えるべく、挑戦を続けていきたい

プロジェクトの概要
2021年5月から放映されたベルーナの新ブランディングTVCM「あたらしいより、わたしらしい。」。このCMの制作に至るまでの背景と、そこにかけた想いについて語る。

PROFILE
株式会社ベルーナ

高橋 頼将さん

2008年入社

マーケティング本部所属

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東京都大田区生まれ。趣味はゴルフ、フットサル、映画鑑賞、読書、ラーメン、お酒など。その中でもビールが大好きで将来は世界初のビールを無料で提供できるお店を開き、人生でお世話になった人を招いて恩返しすることが夢だった。それを叶えるためには商売の本質を知り、経営・マーケティング・企画・CF・人脈・営業・お金・・・たくさん身につけなければならないことがあると気づき、20代を雑用やルーティン業務を行って無駄にすることだけは絶対に避けたく、年次を問わず、新人のうちから経営企画やマーケティングといった様々な経験ができるベルーナに出会った。現在はマーケティング担当として、いちマーケターから商売人・企業家への自己変革を行い、自らプロフィットとして価値創造の機会を作り、会社全体に明るい成功のニュースを届けることが目標。

ブランディングに至るまでとベルーナの課題

ベルーナと言えば、「ミセスのファッションブランドを手掛ける会社」、そう思われる方が多いと思います。実際に、カタログ通販売上日本No.1という実績もあり、65~69歳女性の約3人に1人はベルーナの会員様という実績もあります。そのことから「ご年配向け」というイメージを持たれているのですが、実はファッション以外にも化粧品や健康食品、ワインや看護師向けの通販など多岐にわたる事業を手掛けているのです。これまでベルーナの商品を知ってもらうためのブランディングは行ってきましたが、ベルーナが何の会社でどのような価値を社会に提供しているのかについてのブランディングはしてこなかったため、その部分を課題に感じていました。

そこで「お客様の生活と幸せの向上に貢献する」というベルーナの経営理念に立ち返り、お客様にベルーナで買い物をすることの価値を感じていただけるような企業としてのブランディングCMを製作しようと動き出しました。

これまで放映していたCMはブランディングよりも商品訴求・販売促進目的のものが多かったため、折込チラシ連動CMといった静止画をメインに繋ぎ合わせたパッケージ型の広告を展開していました。
しかし商品訴求のみのCMですと、販促した単品商品のみ目的購入のお客様が増え、リピートに繋がりにくい、という課題がありました。また、お客様にベルーナの会社・事業・ブランドの価値まで伝えきれておらず、ベルーナが何の会社で何を提供しているのか、お客様からイメージの輪郭や人格がよくわからないといった課題も上がっていました。

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ブランディングの難しさ。ベルーナの価値は何なのか。


商品訴求CMとは違い、ブランディングCMはシンプルな費用対効果としての結果が見えにくいことが難点です。社内からも「今の商品訴求のCMで十分成果が出ているのだからいいじゃないか」「コストをたくさんかけて結果が見えづらいものに投資するべきなのか」という反対意見もありました。さらには訴求するスケールが大きくなればなるほどクリエイティブの制作難易度は跳ね上がります。例えば、商品訴求・ブランド訴求・事業訴求・企業訴求では、伝える対象とメッセージの幅も広がり、ぼやけてまとまりづらくなっていきます。

そこでパートナーのお取引先様とも密にコミュニケーションを取りつつ、ブランディングに関わる本を自発的に20冊以上読み漁り、情報収集を欠かさずに行いました。

そうして、たどりついたブランディングCMのゴールイメージは、通信販売ベルーナを利用することで、お客様の生活に役立っていることが、実感・共感されて、見られたお客様が思わずほっこりする、そんなCMを製作しようという方向性が決まりました。結果として、経営理念の「幸せの向上」が図れて、ファンが増え、リピートアップにも繋がるのではないかと考えました。

そこで出てきた疑問が「お客様にとって、そもそものベルーナの価値とは何なのか」というものです。
その疑問を解消し、発信するメッセージを統一すべく、私の所属しているマーケティング本部だけでなく、役員の方々や商品企画、コールセンター、物流センター、EC、経営企画室、情報システムといった様々な部門の皆様にこのプロジェクトに入っていただき、ベルーナの価値は何なのか、他社にはない強みは何なのか、何度も議論を重ねていきました。ここは専務が大きく協力してくださり、社内だけでなくお取引先様も巻き込んで、『他部門も巻き込んでこのプロジェクトを社員が自分事として誇れるようにしていこう』と発信してくださったので、本当に多くの部署、社員に協力いただきました。さらにはお客様にもアンケートを取り、意見を出して頂いたりもしました。

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最終的に各部門のメンバーやお客様から出てきたものとしては、ベルーナの価値は「身近で気取らない、ちょっとした暮らしの幸せをいつも提案してくれる」こと。それを実現できる強みは「通販ならではの圧倒的なお客様に関するデータから導かれる本音にとことん寄り添う」ことでした。
そして、「大人の本音にとことん寄り添い、ちょっとした幸せを提案し続ける事業」とまとまりました。「大人」とは「長い人生の中で自分の中にスタイルを持っている人」と定義づけ、流行よりも自分に似合うものを追求する人、一人一人の尺度で商品を選んで購入する人、そんな自分らしさに寄り添って応援するブランドでありたいと方針を定めました。

抽象的な未来より「今」を背伸びせず描く、そんな「ベルーナらしさ」を表現したい


大きな定義がまとまったことで、いよいよブランディングCMの構築です。そもそもブランディングとは社会的存在意義を継続的に発信し、そのイメージを世間に蓄積させていく作業です。一人一人の尺度で自分に合った商品が欲しいお客様、それを叶える商品をつくるベルーナを結びつけるメッセージとして以下のものが候補で上がりました。

・ヒットより、フィットを。
・ちょうど、いいね。
・わかってるな、ベルーナ
・いいより、ちょうどいい。
・ずっと、もっと、フィット。
・あたらしいより、わたしらしい

どれも自分は良いなと思ったのですが、社員にアンケートを取ったところ、新しいに飛びつかない自分を確立したお客様に響くメッセージは最終的に「あたらしいより、わたしらしい」でした。

たくさんのディスカッションを通じてこの言葉にたどり着きました。その経緯を振り返って改めて感じたことは、「とても等身大で良いなぁ」ということです。

この言葉が選ばれたことも、未来ではなく「今」のベルーナを表現することにしたことも、「すごい幸せ」でなく「ちょっとした幸せ」の共通認識も、どの決定も他部門の社員同士で「ベルーナらしさ」をしっかりと踏まえて議論されているように思いました。社員が「新しいことより、ベルーナらしいこと」を吟味している。だからこそ、CMも抽象的な未来より「今」を背伸びせず描き、感情に訴えかけるものが良い。そう考えました。

このCMを通して、既にベルーナで購入してくれているお客様が肯定された気持ちになること。まだベルーナを知らないお客様がその価値に気づいてくださること。お取引先様や株主の方が会社に期待と将来性を感じてくれること。そして、ベルーナで働く社員が自分たちの会社や仕事に誇りを感じること。お客様へ事業価値を形にしてお届けすることで、ベルーナに関わるステークホルダーの方が自分事として捉えて肯定された気持ちになり、ポジティブに、ワクワクと喜べるものを作ることを目指しました。

ブランディング広告は、その理念や価値を表現するために抽象的なものになりがちです。理念を元に語られるストーリーは壮大で、企業の器の大きさを感じさせてくれます。でもベルーナはそういう企業ではありません。一人ひとりに向き合い、等身大を大切にしています。だから私たちも、CMでは「大人の通信販売」を真正面から捉えることにしました。メッセージは壮大ではなく、パーソナルに。普遍的で、大人の誰もが共感するようなものを。「通信販売」が価値あるものに見えること。それが「今のベルーナ」の価値を高めることになるはずです。

その先にあるのが、あたらしいより、わたしらしい。

これからも、お客様に寄り添ってフィットする商材を提供し続けていきたいと考えております。
CMの中では、登場する2名の夫婦役の方たちのこんなセリフが組み込まれています。

夫「それ、流行ってんの?」
妻「ううん、似合ってんの。」

この掛け合いこそがベルーナをきっかけに日常にささやかな「良い変化」を生む、そんな姿を現しているのではないかと感じています。

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人に誇れるブランドとして価値をしっかりと伝達・提供し続けることが目標


結果としては、コロナの状況もあり、正直図りづらい部分はありました。しかし思ったよりも良かったという印象は抱いています。お客様だけでなく、他部門の従業員の方やお取引先様や株主の方から感謝やお褒めの言葉をたくさんいただけたからです。

今後も形は変えながらも、ブランディング戦略は継続していきます。ベルーナの商品は良いものがある、ベルーナを利用していることを人に誇れる、薦めたいブランドだと、もっともっと認知を広げていく必要があると思っています。まだ社内ではどうしても売れるものだけが正義という文化も根強く残っています。これは否定だけされるものではなく、むしろ自社の強みの一つでもあると思っておりますが、お客様とのコミュニケーションの質を上げていくためにも、社内のインナーブランディングも同時並行で行っていかなければいけないですね。

現在のベルーナは通販の特性や広告の価格訴求からのイメージも強く、まだまだ「安かろう、悪かろう」「あまり人に知られたくない」といったものが先行しています。しかし実際にベルーナの商品を使用したことがある方に聞いてみると「意外と良かった」というお声も頂いています。ここに最大のヒントとお客様とのイメージのギャップの課題があると思っています。手前みそですが、まだまだ伝わり切れていない良い商品は間違いなく持っているので、人に誇れるブランドとしてその価値をしっかりと伝達・提供できるよう、挑戦を続けていきます。そしてステークホルダーの満足度向上と結果として最終的に売上・利益の拡大と会社・事業の存続・拡大に貢献していく、これが目標です。

ただ、あくまでも社会課題解決企業としてベルーナがある、ここはブレずに主軸として掲げていきます。例えば看護師さん向け通販一つとっても、ただ商品の提供をしているわけではありません。商品の提供をすることで看護師さんが笑顔になったり働きやすくなったり、看護師さんの人材紹介を通じて人手不足や不平不満を解消していく。こういう循環をすべての事業・ブランドで叶えていくのが主軸としてあります。

それ以外にも同じ埼玉を応援する意味でも西武のネーミングライツを取得し、「ベルーナドーム」として認知拡大させる等の動きは活発です。短期的には数字が出ずに厳しい局面もありますが、耐え凌いで結果を出し、ゆくゆくはより大きな組織を動かしていけるよう、挑戦を続けていきます!

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