経験や知見を整理・履歴化して、 後進達に手渡していきたい。

経験や知見を整理・履歴化して、 後進達に手渡していきたい。

経験や知見を整理・履歴化して、後進達に手渡していきたい。

このストーリーのポイント

  • 技術者として仕事を愛するマインドを大切に
  • 周囲を巻き込みながら、成長を加速させる
  • 開発履歴や成果をアーカイブして顕在知化しておく

先進開発には、常に他律背反的なトレ-ドオフ問題がつきまとう。その中で、先人達の開発資産を活用。さらに機能性や経済効率、使い勝手やメンテナンス性などをトータルにとらえた視点で鳥瞰し、各要件を満足させる最適解を探る眼差しが大切だ。

PROFILE
株式会社IHI原動機

小成 俊介

技術センター RE製品開発部 GE開発グループ

2018年入社

理工学研究科 機械システム工学専攻課程修了

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学生時代はサッカーやフットサルに熱中していました。忙しいウイークデーを支えるのは、充実したオフの過ごし方です。現在もフットサルの社会人チームに参加して、良い汗を流し、オン/オフの切り替えを図っています。

仕事への愛情や熱意、誇りに感銘

子供の時から乗り物に興味があり、良くプラモデルを作っていました。とはいっても、組み立てるプロセスそのものが好きで、完成してしまうとプラモデルを飾ったり、眺めたりすることにはあまり興味が湧かなかったことを覚えています。その意味では、当時から「ものづくり指向」が強かったのかも知れません(笑)。

乗り物好きは学生になっても止まず、クルマや飛行機の展示会や博覧会には何度も足を運びました。一方、発電事業にも興味を抱き、就職活動では発電関係、その中でも火力発電の要となる動力機関に関わっていくことができる会社を目指しました。

IHI原動機を会社訪問した時、社員の皆さんにお会いして話を聞くと本当にエンジンが好きな人が多いことを実感しました。どんな質問にも快く応えてくれ、熱く語る姿勢を通じて、仕事や製品への愛情の深さやプライドが伝わってきました。そんな姿に自己の将来を重ね合わせることができた…。それが入社意欲を後押ししてくれました。

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学生時代以上に高密度の学習を重ねる

入社以来、ディーゼルエンジンの試験研究や新規開発、開発試験などを担ってきました。そして入社4年目の2021年、ガスエンジンの開発試験を担当。さらに、2022年には現部署に異動し、目下、ガスエンジンの設計開発に携わっています。

しかし、ガスエンジンの開発部門に移った当初は、「ガスエンジンとはどういったもので、どのように制御するのか?」、「性能を出していくためには、何が必要なのか?」という基本的な部分からスタート。それまで携わってきたディーゼルエンジンとは異なる部分が多い中、ゼロベースで知識やノウハウを蓄積し、開発試験や試験のデータ整理・まとめを行わなければならない、といった状況でした。

まず、基礎的な部分をキッチリ覚え、理解することが重要だと考え、その中で開発性能を出すことを心掛けました。綿密な学習計画を立てて、通勤時間や帰宅後にも勉強の日々。都度、理解度を確認しながら「性能を出すために大事なパラメータや項目は何であるのか」を把握することに努めました。学生時代以上に密度の濃い学びの時期を過ごした、と実感しています。

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真摯に学ぶ姿勢を貫く

懸命な学習や実際の試験結果などを通じて、エンジンの性能に影響を及ぼす各項目やパラメータが何であるのかについて、徐々に理解することができました。しかし「何故そうなるのか?」、「期待する性能に近づけるにはどんなアプローチ法があるのか?」など、まだまだ不明な点が多く、自分の知識不足を痛感しました。しかも、各項目のパラメータは、複雑に関連しあいながら、相互に背反する要素を孕んでおり、まさに「あちら立てればこちらが立たぬ」、トレードオフな関係にあるのです。

幸い社内には、各分野のエキスパート達が揃っています。先輩たちの経験や知見、ノウハウから学ぼうと考えましたが、それらは潜在知として個々人の中に蓄積されているものも、少なくありません。そこで、逆に経験の浅さを最大限に活用。「ガスエンジン1年生で、分からないのですが…」を武器に、疑問点や不明点について、片っ端から教えを請う姿勢を貫きました。もちろん、この戦術は2年目からは通用しません。この1年間でより多くのものを獲得しよう、と必死の思いでした。

今までは「自分で調べれば、何とか理解できるはずだ」、と安易にたかを括っていた部分もあります。しかし、実際に先輩や上司の話を聞くことで、それぞれの経緯や事情、状況等、データだけでは分からない背景やリアルな対応、空気感などを理解することができました。

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周辺技術にも眼を向けて

ガスエンジンについては、全くのゼロベースでスタートしましたが、上の「1年生の特権」を活かしたヒヤリング経験が、自分を成長させる大きな栄養になりました。以来、まず「何が分からないのか」を自分の中で再吟味すること。そして、自分で調べてみること。それでも分からないことがあった場合に、周囲の助けを求める姿勢がモットーになりました。

目下、既存エンジンの改良開発を行っています。過去に起こった問題や部品の改良の経緯などを理解しながら、設計開発を進める必要があります。転用や改良には、性能面だけではないさまざまな問題があり、制御ロジックや現場での運用方法に至るまで、製品がお客様に納入された後を含めたストーリーを考えなければなりません。そうなると、周辺技術分野への理解も不可欠。勉強すべき課題が、益々拡大しています。

自分が先輩たちに助けられたように、これから入社してくる後輩達のために、過去のエンジンの部品変更や変更点など、開発履歴の資料を自分なりにまとめています。過去のエンジンの制御と、現在の最新機種のエンジンの制御の異なる部分をピックアップして、既存エンジンも改造を加えることで、最新エンジン並に昇華できるように、これからも努力を重ねていきたいと思います。

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