さまざまな省エネ技術の粋を集めて、  環境負荷を低減するエコシップを生み出す。

さまざまな省エネ技術の粋を集めて、 環境負荷を低減するエコシップを生み出す。

さまざまな省エネ技術の粋を集めて、
環境負荷を低減するエコシップを生み出す。

このストーリーのポイント

  • 海や地球全体の課題を科学で解決したい
  • 国際間連携の下で船舶の電気化を推進
  • 全技術領域を鳥瞰したコンダクターを目指す

いま、企業には地球市民の一員として環境に貢献しながら、経済価値をも生み出すイノベーションが求められている。その中で、宗村はCO2、NOx、SOx、煤煙など、環境に影響を与える地球温暖化ガスを排出しないゼロエミッション船の創出に取り組んでいる。

PROFILE
株式会社IHI原動機

宗村 宏晃

舶用事業部 デジタルグリーン推進部技術グループ

2019年入社

海事科学研究科マリンエンジニアリング専攻課程修了

ihi-st02-2.png

勤務地が群馬県太田市なので、ちょっと足を延ばせばアウトドアが楽しめます。赤城山に登ったりキャンプをしたり、冬にはワカサギ釣りを楽しんだり……。オフタイムには、妻と共通の趣味の時間を過ごしています。

海の課題を科学で解決する

新潟県の海辺の町で育った私は、祖父がクルーザーを持っていたことなどもあり、子供の頃から海に親しみ、船も大好きでした。そんな生い立ちも影響して、進学時にも港町に立地し、乗船実習があることに惹かれて、大学選びをしました。大学では合唱部に所属し、関西の複数の大学が参加するインターカレッジな大会を企画運営するなど、まとめ役を担うこともありました。
 
私が学んだ海事科学とは、理工学を基盤としながら社会科学をも動員した総合的な視点で、海事に関する諸問題の解決を図る学際的な分野です。学部卒業後は研究科に進み、熱や材料、流体、環境などマリンエンジニアリングの要素技術的学理を追求する研究をさらに継続。特に、流体の画像解析の研究に打ち込みました。

就職に際しては、「いままで学んだことを活かしたい」と、関東圏の船舶機器メーカーを中心に活動を開始。その中でIHI原動機を、最有力候補として絞り込んでいきました。以前大学に原子動力学科が設置されていた関係で、学内に蒸気タービンやタンデム加速器などがあり、原子力推進船など化石燃料に依存しない船への興味もあったからです。そんな中で、IHI原動機が地球温暖化の元凶となる温室効果ガス(GHG:GreenHouse Gas )を排出しない『ゼロエミッション船』のR&Dを進めていることを知り、その先進性や環境貢献度に惹かれて、入社意欲が大きく膨らんでいきました。

ihi-st02-3.png

地球環境に優しい電気化を推進

入社してから3年間、漁船や給油船向けのエンジンプラントの設計や取りまとめを担当してきました。そして2022年から、現在の電気推進プラントの設計・とりまとめの業務に就いています。

従来の船舶は、大きなメインエンジンを中心に、発電用エンジン2台を擁搭載した構造が多く、それ自体が大きなスペースを占領していました。また、設置場所も自ずと限定されるので、船内設計レイアウトの自由度も制限されていたのです。それらが電気化されれば、船舶設計はエンジン配置の束縛から解放され、より効率的な船内レイアウトが可能になります。そして何よりも、CO2、NOx、SOx、煤煙など、環境に影響を与える要素を排除したゼロエミッション化が実現するのです。さらに、環境負荷の低減と同時に、騒音や振動なども抑制されるので、乗組員の日々の労働環境も向上。寄港地周辺の環境改善にも貢献することができます。

目下進行中の案件では、船主様のご希望もあり発電機は海外メーカー製を採用しています。海外とのやりとりは、メールやZoom、Teamsなどネット上のコラボレーションプラットフォームがメインとなりますので、言語はもちろん商習慣、ビジネス文化の違いなどもあり、なかなか難しい点もあります。しかし、最近では「主張すべき点は、しっかり主張する」という押し出しの強さが、身に着いてきました(笑)。

ihi-st02-4.png

ワールドワイドなプロジェクトの難しさ

海外サプライヤーとのやりとりは、いま述べた「押し出し」とともに、根気強く連絡を取り続け、こちらの「本気度」をどれだけ理解してもらうか……。ある種の「気合い」も大切なのです(笑)。

特に、私たちはエンジンメーカーであり、発電機を中心とした電気機器に関しては、専門メーカーとの連携が不可欠になってきます。今回の案件では、特に配電盤が他にはない独自性を発揮しており、それが選定理由でもありました。というのも、従来の配電盤は交流で動作していましたが、今回採用の発電機の配電盤は直流電源で動いているのです。確かに、船の電気化の中で、バッテリーから供給される直流電流をそのまま活かした方が、理に適っているとも言えます。いままでと異なる方式への知見やノウハウを蓄積していくためにも、さらにサプライヤーとの深い連携を強化していきたいと考えています。

開発~造船まで長い期間を費やす客船と違って、貨物や漁業のための船は、納期が短く、万一の遅れはお客さまのビジネスの機会損失を招いてしまいます、だからこそ、機能実現や進捗管理など、全てにおいてこちらの要望を理解してもらうために、丁々発止のやりとりを可能にする英語力を、さらに身に着けていきたいですね。

ihi-st02-5.png

各技術分野を鳥瞰しまとめる役を目指して

今回、2ヶ月間造船所に出向いて、船の完成をオンサイトで監督する機会をいただきました。現場には船主様もご臨席。さまざまなご要望が出されることでしょう。さらに、実際の船の乗組員さん達にもお会いし、そこで働く人たちの視点による評価を収集し、さらなる開発ベースにフィードバックしていきたいと思います。予想外のご要望が出てくるかも知れませんが、「臨機応変」を合い言葉に、柔軟な対応力を身に着けていきたいのです。

オンサイト立ち会いには、海外から発電機のサプライヤーもやってきます。ここで、より密度の高い意思疎通を図り、完成度の向上に努めていきたいですね。船は、さまざまな技術の結晶です。各技術専門分野のプロが結集して、初めて完成するものなのです。これからも、自分の得意分野をさらに深耕しながら、将来的には各技術部門が奏でる最上の演奏をまとめ上げて、美しいハーモニーに仕上げるーーそんなコンダクター役を担っていきたいと考えています。

ihi-st02-6.png

TAGS

IHI原動機についてもっと知りたい方はこちら

SHARE

Related Stories|関連ストーリー