第60回技能五輪全国大会|建築大工職は22年連続の入賞。昨年敢闘賞だった堀口選手が、今年『金賞』を受賞するまでのストーリー

第60回技能五輪全国大会|建築大工職は22年連続の入賞。昨年敢闘賞だった堀口選手が、今年『金賞』を受賞するまでのストーリー

第60回技能五輪全国大会|建築大工職は22年連続の入賞。
昨年敢闘賞だった堀口選手が、今年『金賞』を受賞するまでのストーリー

このストーリーのポイント

  • 住友林業建築技術専門校の卒業生も地方予選を勝ち抜き、12名が本大会へ出場
  • 技能五輪全国大会とは原則23歳以下の若者たちが技能の日本一を競う大会
  • 昨年敢闘賞だった堀口選手は見事、『金賞』を受賞

2022年11月4日いよいよ第60回技能五輪全国大会が始まりました。ものづくりの未来を支え、技能の日本一を決める大会です。出場資格は23歳以下。まさに一流への登竜門です。全国からトップクラスの技術を持つ若き匠たちが集まります。

住友林業建築技術専門校の卒業生たちも全国各地で開催された地方予選大会を勝ち抜き12名が本大会へ出場。この日に備え、出場選手たちは再び訓練校に集まり猛特訓を重ねてきました。過去25年連続全国大会出場、21年連続入賞という実績がある専門校からの出場という大きな期待とプレッシャーがかかる中、若き匠たちの熱い戦いが始まります。

技能五輪全国大会

技能五輪全国大会とは各都道府県から選抜された原則23歳以下の若者たちが技能の日本一を競う大会で年に一度開催されます。選手は企業に所属している従業員と特殊系工業系の高校、各種専門校の生徒たちです。第60回となった今年は42競技職種1,014名の若き匠たちが、都道府県を代表して競技を行いました。

住友林業建築技術専門校からは建築大工職種部門8名、左官職種部門4名が出場しました。出場が決まり、課題発表から当日までの約3ヶ月間、大工職と左官職の卒業生は日々の仕事をこなしながらも訓練に取り組んできました。

ここで昨年の大会で敢闘賞を受賞し、今年も出場する2人の選手に意気込みを聞いてみましょう。

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自分的には銅や銀などを狙っていたので悔しいなという思いがありました。次は金賞を取るというのが今年の目標です。

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去年は自分のミスで悔しい部分があったので、今年は本当にミスをなくして上に行けるようにしたいです。これから1ヶ月ますます頑張っていきたいと思います。金メダルを取りたいです。

いよいよ競技当日。いつも練習している環境と違い大会特有の緊張感が漂う中、技能日本一に挑みます。

築大工職種部門の競技課題はこちらの柱建て小屋組みです。制作工程は原寸図の作成部材の木拵え、墨付け加工、仕上げ加工。技術の高さと速さが問われる競技です。

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競技1日目がスタート

建築大工は基準となる柱の高さが前日に公表され、それにより部材の長さや形状が決まります。専門校の選手は皆様々な柱の高さを想定し対策をしていたため落ち着いたスタートが切れたようです。

競技2日目は1日目に引き続き柱立て小屋の組みの制作です。2日目は加工、仕上げ、組み立てと一気に完成まで持っていきます。各部材は部位によってきつくした方がいい箇所と、若干緩くした方がいい箇所があります。のこぎりのみで、墨線のどこを確保するか、墨を払う、墨を残すまたは墨をまたぐを使い分けることでぴったりと合う微妙な調整が可能となります。

技能五輪は時間との戦いでもあります。選手たちは手を休めることなく課題に取り組んでいきます。そんな中、専門校出身の生徒たちは一つ一つの作業が終わるたびに作業場をきれいにしていきます。決して余裕があるわけではありません。これは専門校や現場で染み付いた習慣なのです。作業場をきれいにすることで常に作業がしやすい環境を保っているのです。

終了30分前になると次々に組み立てが始まりました。木槌の音が会場に響き渡ります。ひとたび組み立てを始めると微調整のための加工をすることができません。よって加工作業は寸分の狂いも許されない精度が求められるのです。組み立て順序は自由ですが順序を間違えるとヒビが入ったりする部材もあるので慎重に進めていきます。こうして建築大工職種の課題である柱立て小屋組みが完成しました。

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大会を終えた選手たちにインタビューしました。

心残りはあるんですが自分のピークの状態まで持ってこれたのですごく良かったなと思います。

正直練習通りのものが作れなくてすごく悔しい想いはあるのですが、やりかった感がすごくあります。

最初は全然できなかったので、周りについて行くのはとても大変でした。後半では、途中伸びなくなってきたので精神的にも厳しかったです。

周りの5人の先輩方に支えてもらってここまで来れたなと思っています。

選手は皆清々しい表情でこの数ヶ月間の訓練の成果を出し切ったという達成感に満ちていました。2日間の協議を見守った教官も笑顔でした。翌日いよいよ緊張の結果発表です。

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結果発表

建築大学部門
金賞1名銀賞2名銅賞1名敢闘賞3名入賞しました。建築大工職は22年連続の入賞です。
昨年の大会で敢闘賞を受賞した堀口選手は、今年は見事、金賞を受賞しました。

堀口選手のコメント

自分としては練習通りに出来て結果も出せて大満足です。嬉しい気持ちもあります。今まで支えてくださった教官や先輩方に感謝の気持ちでいっぱいです。去年に比べて図面の精度がより大事だと思いました。自分は去年図面で点数を引かれてしまったので、今年は図面で負けないぞという気持ちでたくさん練習したのでそれが良かったと思っています。

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他の選手のコメント

自分の中で理想の先輩像みたいなのが二人の姿を見たら浮かんできて、先輩方にしていただいたように後輩にもまた同じようにしてあげて今度は正々堂々と勝って次は金を取りたいと思います。

自分も訓練生の時にうまくいっていたというわけでもなかったのですが、努力し続けたらここまで来れると言えるので、そういう気持ちで訓練に取り組んでほしいなと思います。

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第60回技能五輪全国大会は無事閉幕しました。選手各々が日頃磨いてきた技能を競い合った2日間。熱い戦いが繰り広げられました。練習期間から本大会を通じて感じた喜びや悔しさそして1つのことを成し遂げるという力、それは今後の人生において必ずプラスとなっていくものだと思います。この経験を糧にこれからの日本のものづくり産業を支えていってくれることでしょう。

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