
世界という舞台へ!技能五輪で夢を掴んだ挑戦ストーリー
世界という舞台へ!
技能五輪で夢を掴んだ挑戦ストーリー
このストーリーのポイント
- 技能五輪という舞台に挑む若者のひたむきな努力と成長
- 夢を追いかけることの素晴らしさと、その過程で得られるかけがえのない経験
- 訓練校や企業による若手育成のサポート体制
高校卒業後、訓練校で技能を磨き、国内大会を勝ち抜き、ついには技能五輪国際大会という夢の舞台に立った若者の物語。日々の厳しい訓練や初めての海外での挑戦、世界中のライバルたちとの切磋琢磨を通して、技術だけでなく人間としても大きく成長していく姿を描きます。困難を乗り越え、自分の力を世界で試すことの喜び、そして未来の後輩たちへの熱いメッセージをお届けします。
住友林業ホームエンジニアリング
浦山 正隆
第47回技能五輪国際大会 建築大工職種部門
日本代表(敢闘賞・世界7位)
幼い頃からものづくりが好きで、高校卒業後は訓練校に進学し大工の道を志す。日々の鍛錬を重ね、技能五輪全国大会で優秀な成績を収め、日本代表として国際大会に出場。世界という舞台で自分の力を試し、新たな目標を見つける。
技能との出会い、夢の始まり
「いつも誰よりも練習数をこなして誰よりもうまくなるという気持ちでずっと練習をしていました」浦山さんはそう語る。浦山さんの技能への情熱は誰よりも強かった。高校卒業後、大工という道を選び、訓練校の門を叩く。そこには、同じ目標を持つ仲間たちが集い、互いに切磋琢磨しながら技術を磨く日々がありました。
「同じものを作っている仲間として一体感が生まれ最終的にはみんな楽しい雰囲気で過ごしていました」「仲間との絆は、厳しい訓練を乗り越える大きな支えとなっていました。」
訓練校には、第34回の全国大会から連続出場し第39回大会から連続入賞という偉大な実績があり、浦山さんたちには大きな期待が寄せられていました。迎えた第60回技能五輪全国大会。プレッシャーを感じながらも、普段の訓練通りを心がけ冷静かつ懸命に課題に取り組んだ結果、見事建築大工部門で銀賞を受賞しました。
「国際大会に出るっていうのはずっと夢でもあったので嬉しかったです。」
この経験が、浦山さんの心に新たな炎を灯しました。
翌年、浦山さんは国際大会出場という新たな目標を掲げ、再び全国大会に挑みます。苦手な部分を何度も繰り返し練習することで浦山さんは確実に成長を遂げていました。第60回大会での成績により地方予選を免除されたものの、彼は決して気を緩めることなく、日々の訓練に励んだ。そして迎えた第61回技能五輪全国大会。
激戦を制し、ついに日本代表の切符を手に入れました。「ずっと夢でもあったので何よりです。ずっと訓練生として入校した時から五輪に出て金賞を取ることが目標でした。それが達成できたことがとても嬉しかったです。」
世界の舞台へ、初めての海外挑戦
2024年9月6日、浦山さんはついにフランス・リヨンへと旅立ちました。「海外に行くのが初めてなのでその現地の人々であったりとの交流も楽しみです。建物だったりお土産などを見るのもすごく楽しみです。」初めての海外、期待と緊張が入り混じる中、彼は技能五輪国際大会の会場へと向かいました。
開会式はさすがは国際大会開会式の様子。とても華やかです。世界各国から集まった若き技能者たちの熱気に圧倒されながらも、浦山さんの心は高鳴っていました。建築大工職種部門に課せられた課題は、課題図に示されたガゼボ(東屋)を制作するというもの。詳細な課題は当日発表されるため、高度な加工技術に加え、複雑な図面を読み解き、正確に組み上げる力も求められます。
競技が始まると、浦山さんはこれまでの訓練で培ってきた技術と集中力を発揮し、課題に没頭しました。「1日目の競技のポイントは数多くある部材を正確に付け、電動工具を使用して精度よく加工することです。しかし、海外の大会ならではの難しさにも直面しました。
「道具がそもそも形状とか仕組みが違っていて日本では評価されていたことが海外の大会になると評価されなくなる。そこに慣れるのがとても難しく感じています。」
それでも、「ボードを貼る前の停点組み立てるのは結構精度良くて他の選手に負けないんじゃないかなというぐらい良い精度が出てると思いますね」と、自身の強みを活かしながら、新たな環境に適応しようと懸命に取り組みました。
4日間の熱戦、そして得たもの
4日間にわたる競技は、体力だけでなく精神力も試される過酷なものでした。
連日の疲れや終了目前という焦りが出てくる中で、最後の力を振り絞り競技に集中しています。浦山さんは、与えられた時間の中で、一つ一つの作業を丁寧に、そして正確に進めていきました。「4日目の競技のポイントは板を生前と並べ美しく正確にビス止めすること。この日課題を完成させることができたのは13選手中8選手。中でも浦山選手は1番に完成し、訓練の成果をしっかり発揮していました。
競技中には予期せぬミスもありました。「競技ではミスをしてしまったんですけど、見つけた時には諦めず冷静に対応することができてなんとか最後まで作品を作り切ることができました。冷静な判断と諦めない心で乗り切ることができました。」
世界トップクラスの技能者たちが技を競った4日間、浦山さんは合計22時間の長時間におよぶ戦いを無事終えました。結果は、表彰台には届かなかったものの、建築大工職種部門で世界7位、左官職種部門の山﨑さんは世界8位という素晴らしい成績を収めました。
「教官、訓練生、会社の方々のおかげで最高の景色を見ることができました。」
大会を終え、浦山さんの心には感謝の思いが溢れていた。「今まで出会った色々な人々への感謝の気持ちでいっぱいです。今回の大会で競技できたのは厳しい訓練の中熱心に指導していただいたコーチやたくさんの関係者の方々の協力や励ましがあったからこそだと思います。世界中の仲間たちと技能を競い合った経験は、彼にとってかけがえのない財産となりました。」
一生に1度。選ばれし者しか立つことのできない大舞台での経験を経て心技体全てにおいて一段と頼もしく成長を遂げた様子でした。
未来へのメッセージ、高卒の君へ
技能五輪国際大会では、参加した全ての選手が「チャンピオン」と呼ばれます。先輩チャンピオンである浦山さんから、未来のチャンピオンを目指す高卒の若者たちへ、温かいメッセージが送られています。
「次に 出場する選手には自分よりもいい結果を残してほしいので自分にできることは何でもやりたいと思っているので是非頼ってほしいです。最初はできることも少なく先が見えず不安だと思いますが技術はどんどんついてくるものなので焦らずに自分と周りの人たちを信じて走り抜けてください。」