試練と学びが凝縮。タニコー新入社員研修で手に入れる本物のスキルとプロ意識

試練と学びが凝縮。タニコー新入社員研修で手に入れる本物のスキルとプロ意識

試練と学びが凝縮。
タニコー新入社員研修で手に入れる本物のスキルとプロ意識

このストーリーのポイント

  • 自ら考え行動するOJTの仕組み。だから自ら考える力がつく
  • 知識より体感。現場の「魂」に触れることで得た、プロとしての原点
  • 本気の衝突が、殻を破る。チームビルディングで起きた化学反応

タニコーでの新入社員の研修は約3カ月半。教わるという受け身ではなく、自ら考え、行動することで学びタニコー社員としての土台をつくる。この約3ヶ月半、人事担当者だけでなく、選出された先輩社員が“研修リーダー”として新人に伴走します。新人2名と、彼らを間近でサポートした研修リーダーが、そのリアルな軌跡を振り返ります。

PROFILE
タニコー株式会社

M.O.

関西事業部

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社会学部コミュニティマネジメント学科卒。2020年入社。タニコー採用担当者の人柄に“一目惚れ”して、この人と一緒に働きたいと思ったことが入社の決め手となった。「お客様は十人十色。そこが営業職の楽しさであり、難しさでもあります」と語る。


R.S.

九州事業部 

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法学部政治学科卒。2024年入社。顧客の喜びがダイレクトに伝わる「モノ売り」の道に強い関心を抱き、あえてその道を選ぶ。「モノ売り」ができる数ある企業の中でも、タニコーが「自分を一番必要としてくれる会社だ」と感じ、入社を決意。現在は営業担当として活躍。「障害物競走のように次から次へと現れるハードルを飛び越えたり、くぐったり、時にはコースを外れて迂回しながら、それでも前に進んでいる毎日です」と、困難を楽しむかのように力強く語る。


S.N.

九州事業部 

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経営学部経営学科卒。2024年入社。食文化に関わる仕事を志し、就職活動をスタート。「裏方として、利用する人々の生活を確実に支えたい」という強い想いをもって臨んだ結果、設計職として内定をもらい、入社を決意。「仕事の醍醐味は、CADで図面を描きながら実際にそれを使ってくださるお客様の動きや、そこで生まれる笑顔を想像すること」だと語る。


カタチではなく本質を学んだマナー研修

──入社前、研修が始まるときの心境などを振り返ってください。

S.N. 学生から社会人へと、全く違う環境に飛び込んでいくこと自体がとても不安でした。同期のみんなも同じだったようで、緊張した顔ばかりだったことを覚えています。

R.S. 私は、毎日決まった時間に起き、通勤するという、社会人としての生活リズムを維持できるかが一番の懸念でした。タニコーでは、研修期間が約3カ月半もあることに驚きました。学生時代の友人には研修期間が3日の会社に入った人もいて、それは極端だとしても、タニコーの研修が群を抜いて長かったです。

M.O. 2人とも不安が大きかったのですね。今回初めて研修リーダーを務めることが決まったとき、私は嬉しかったです。というのも、入社当時にお世話になった研修リーダー達はとても輝いて見えて、自分もあんなふうになりたいと思っていたからです。

S.N. M.O.さんと初めてお会いした時、「優しそうなお姉さんでよかった」と、正直ホッとしました。

M.O. 嬉しいですね、ありがとうございます!新入社員の皆さんに気軽に声をかけてもらえる雰囲気を大切にしたかったので、笑顔でいることは徹底していました。ですが、親しみやすさだけでなく、皆さんの成長を促す上で一つ軸にしていたことがありました。それは、「あえて答えをすぐには言わない」ということ。
迷ったり困難に直面したりしている時こそ、まずは自分で考え抜き、行動に移すという経験を積んでほしいと思っていました。

R.S. 最初の「基礎研修」で、マナーに関する研修が非常に印象に残っています。それまでの私は、マナーというと形式ばった言葉づかいや、かっちりとした態度といったイメージを持っていました。しかし、研修で学んだのは、「周囲を不快にさせず、円滑でスムーズな関係を築くことがマナーの本質」だということでした。この考え方は非常に実践的で、実際に仕事をすると「お昼の時間帯の電話は避ける」「終業時間ギリギリに訪問しない」といったことが、暗黙のビジネスマナー、あるいは常識として重要だと痛感します。形式ではなく、相手への配慮が基本であるという、本質的な気づきを得られた研修でした。

S.N. 大切なのはカタチではなく、気持ちですよね。「相手を思う気持ちが行動に表れていれば大丈夫ですよ」という言葉をいただいた時、肩の荷が下りて、とてもホッとしたのが印象に残っています。その一言のおかげで、形式に囚われず、人としてどう振る舞うべきかが理解でき、「社会人としてやっていけそうだ」という確かな自信を身につけることができました。

M.O. マナー研修は3カ月半の間に何度か繰り返し実施したことで、単に知識を教わって終わりではなく、ロールプレイングを通じて実践的に学び、行動としてしっかりと定着させることができたのだと思います。この反復があったからこそ、新入社員たちの中に、「相手を思う気持ちが大切」という考えが不動のものとなり、それが「これなら実務も怖くない」という、確かな自信と安心感につながったと感じています。

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納期の厳しさを、身をもって体験

──タニコーの会社案内を作成するというユニークな研修、製造現場でモノづくりを学習する工場研修はいかがでしたか。

M.O. 新入社員が3チームに分かれて会社案内を作成する研修では、社長や先輩社員へのインタビューを通じて、タニコーの魅力をパンフレットにまとめるという内容でした。

S.N. インタビューは非常に緊張しました。ですが、社長が私のチームテーマの「心踊る!」に沿って、ポジティブなお話をしてくださり、結果的に楽しく取り組むことができました。

R.S. S.N.さんのチームは本当に楽しそうでしたよね。逆に私のチームは、メンバー間の方向性が終始定まらずに進行した結果、最終成果物として一貫性に欠けるパンフレットになってしまいました。協力し合い、一つの目標を達成するというゴールにたどり着くことができず、課題意識が強く残りました。

M.O. R.S.さんのチームが悩んでいるのは、研修リーダーも見ていて感じていました。しかし、「安易に答えを与えない」という指導方針を徹底し、見守っていました。ここでは、困難な状況下でこそ、新入社員自らが考え、行動し、チームとして解決策を導き出す力を養ってほしかったからです。苦労は伴いましたが、期間内に最後まで取り組み、発表までたどり着いた点は素晴らしいと思います。この「課題意識が残る経験」こそが、実務においてチームビルディングやプロジェクト推進の要点を深く理解するための、極めて貴重なインプットです。この経験を通じて得られた学びは、今後のキャリアにおける大きな財産にもなると思います。

R.S. 「チームワーク」という言葉をよく口にしますが、実際にビジネスの現場で、多様な考え方や異なる価値観を一つの方向へ統合していくことは、想像以上に困難だと痛感しました。例えば、社長へのインタビューで全員が同じ情報を得ているにもかかわらず、パンフレット制作のために要点をまとめようとすると、人によって解釈や着目点が全く異なり、チームは迷走しましたが、期限内に完成させることも求められていました。複数人で一つのことを仕上げる難しさ、そしてどんな状況でも、必ず期限内に成果を形にしなければならないという、ビジネスにおける厳格な側面を学ぶことができました。

S.N. どんな仕事にも納期があって、それを厳守することは社会人としての絶対条件ですよね。私もそこが学生時代との大きな違いだと学びました。みんなの意見をまとめることは大切だけれど、それ以上に納期を守ることが重要なのだと思いました。

M.O. その通りです。万一私たちの仕事が遅れてしまうと、お客様のその後の工程が全部遅れていくので、とにかく納期は絶対に守らなくてはいけません。それを体験してもらうことも、会社案内作成の研修での狙いでした。

R.S. その後の工場研修も印象的で、福島県の工場で4日間、製造業務を学びました。

M.O. 工場はタニコーの原点です。自社工場があるから、アフターサービスまで一貫した高品質のサービスが提供できています。工場研修ではそうしたタニコーの強さの源泉と、工場の皆さんのモノづくりに込めた魂を知ってもらうことが目的でした。

R.S. モノづくりの工場に足を踏み入れたのは人生初でした。1枚の大きなステンレス板金を切り抜き、折ってシンクを作っていく様子は衝撃でしたし、機械ではできない繊細な作業が想像以上に多いことにも驚きました。私たちもステンレス製のペン立てを作り、溶接作業を体験させてもらいましたが到底うまくはいかず、先輩方の技術力の高さを肌で感じました。

S.N. とにかく“すごい!”の一言でした。洗浄機の製品検査を担当する社員から「お客様にお届けする“最後の砦”として緊張感をもってチェックしている」という言葉を聞き、大変なプレッシャーの中で仕事をしていることに感動しました。

R.S. 工場で勤務する皆さんは、モノづくりに対して強い誇りを持っているのですよね。その誇りが、製品の品質に間違いなく反映されていると思います。

S.N. 工場研修のおかげで、営業所で設計の仕事をしているときも、工場の皆さんの顔が浮かんできます。そして、皆さんがスムーズにモノづくりを進められるよう、図面を作成する段階でしっかりと考え抜かなくては、という気持ちになります。

R.S. 私は、工場研修を通じて製造現場の皆さんと強固な信頼関係を築けたことが、現在進行形で業務に役立っています。お客様との打ち合わせで「このような加工は技術的に可能か」といった専門的な問い合わせを受けた際、ためらうことなくすぐに工場へ相談し、迅速に回答を得ることができています。工場の皆さんはプロフェッショナルが多く、技術的な知見を共有くださるだけでなく、「おお、頑張っているな」と声をかけと声をかけてくださるので、励みにもなります。この研修で培った工場との密なコミュニケーションこそが、当社のスピード感ある顧客対応を支える基盤だと思います。

M.O. 私も新人時代に工場研修を受けましたが、今回は研修リーダーとして4年ぶりに製造現場に行き、自分自身の視点が劇的に変化したことを実感しました。新人の頃は、皆さんと同様に「製造現場の迫力」への純粋な驚きが主な感情でした。しかし、今回は「いかにしてお客様の多様なニーズに応えるための工夫がなされているか」「技術的な優位性や差別化要素はどこにあるのか」といった、戦略的かつ経営的な視点で現場を見るようになりました。この工場研修は、新人たちの成長を促すだけでなく、入社数年経った私の変化も確認する絶好の機会でした。

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葛藤の先に得た、チームワークの本質

──研修の集大成である「お店づくり研修」はいかがでしたか。

M.O. この研修では、「タニコー社員として」ではなく、「飲食店のコンサルタント」として新たな飲食店をプロデュースしていただきました。お客様の立場に立って考えるためには、お客様がどのようにして飲食店を出店されているのかを知るのが一番です。そのために、業態選定、メニュー開発、立地戦略、収益計画など、すべてをリアルに想定し、ビジネスとして成立させるための計画を練り上げ、コンペ形式で発表してもらいました。

R.S. 私のチームでは、日中はうどん屋さん、夜には居酒屋になる業態のお店をプロデュースしました。

S.N. 私のチームは和食屋をテーマにし、比較的和気あいあいとした雰囲気で取り組みを終えることができました。R.S.さんのチームは、最後まで大きな葛藤を抱えながら進めていたように見受けられましたが、いかがでしたか。

R.S. その通りです。出だしこそ「うどん屋でいこう!」とまとまったのですが、その後はメンバーの方向性がバラバラ。話が全くまとまらず、やる気はあっても空回りしている状態が続きました。メニュー担当、レイアウト担当と役割分担して進めるも、互いの情報共有を全くしておらず、それぞれの進行状況も一切見えていませんでした。

M.O. チーム内で意見の衝突が発生しましたね。

R.S. はい。当時の私たちは、チームワークを『表面的な調和』だと誤解していました。波風を立てることを避け、本質的な議論を避けていたのです。いわゆる「空気を読みすぎる」状態でした。しかし、研修も終盤に差し掛かり、「このままでは成果が出せない」という強い危機感が抑えられなくなりました。私は「現状を変えるには、もっと本音でぶつかるべきだ」と、メンバーに正面から意見を出しました。これがきっかけとなり、ようやく本音での議論が始まったのです。

M.O. その時、R.S.さんからより良いお店づくりをしたい、本質的な課題に向き合うべきだ、という考え方に変化が現れました。想いを行動に移したからこそ、自らの殻を破る第一歩につながったように思います。

S.N. 正直なところ、当時その様子を隣で見ていてハラハラしていました。意見がぶつかり合い、話し合いが難航していましたから。しかし、同時に少し羨ましさも感じていました。私のチームでは、そこまで腹を割って本質的な議論を交わすことができなかったからです。

R.S. 当時は困難なプロセスでしたが、「単なる仲良しチームではビジネスは成立しない」という極めて重要な学びを得たことは、大きな財産です。この衝突を乗り越えたからこそ、社会人として仕事で関わる相手に本気で向き合うべきであることを理解しました。

M.O. 最終的に完成したプランは社内向けに発表され、僅差ではありましたが、S.N.さんのチームが勝利を収めましたね。

S.N. チームリーダーとして、率直に嬉しく思いました。勝利したという事実だけでなく、発表後に厨房のプロである先輩社員の皆さんからいただいたフィードバックは非常に鋭く、その専門性の高さにも感動しました。社会人としての基準、プロフェッショナルとはどういうことかを肌で感じることができた瞬間でした。

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楽しみながら仕事に打ち込んでほしい

──研修を振り返っての感想と、今後の目標を聞かせてください。

R.S. 単に人と仲良くすることが本当のチームワークではないと学べたことが、よかったです。社会人のスタートに際して、研修を通じて衝突や挫折を経験できたことは、大きなプラスになりました。

S.N. 設計の仕事をしている中で、先輩からは常に「わかりやすい図面を」と言われています。つまり相手の立場に立ち、相手の目線で考えることが重要だということです。自分の言いたいことを言うのではなく、どう表現すれば相手に伝わるかを考えなくてはならないということを、研修を通じて実感しましたが、これは実務にも活きています。

R.S. 上辺だけのコミュニケーションでは意味がないと思いました。耳の痛いことでもしっかり言い合えてこそ、本当のコミュニケーションだと思います。

M.O. 実は私も同じです。研修期間中、皆さんがもがきながら、真のコミュニケーションを模索する姿を間近で見ていたことで、私自身も「本当の意味で相手に伝わるコミュニケーションとは何か」を深く再考するようになりました。この気づきを活かし、どうすれば相手に意図が正確に伝わるかを常に意識して仕事を進めたところ、上司からは「仕事に対する姿勢が変わった」と評価され、お客様からも「以前より仕事がやりやすくなった」という、大変ありがたいお言葉を頂戴しました。今回の皆さんの取り組みこそが、私自身の仕事への向き合い方に変化を加える貴重なきっかけになりました。心から感謝しています。

R.S. 将来についてですが、私が現在担当しているエリアは、インバウンドをはじめとした観光客が急増しているにもかかわらず、その需要に対して飲食店が圧倒的に不足しているという課題を抱えています。私は、このビジネスチャンスを活かし、このエリアでの成功を目指す意欲あるオーナー様と協働することができるのではと考えています。エリアのポテンシャルを最大限に引き出し、食の分野から街全体の活性化に貢献したいと考えています。

S.N. 私は設計職のため、営業職に比べると直接お客様と接する機会は限られています。その分、精度の高い図面を通じてお客様の事業をサポートし、日本の食文化の向上に貢献することを目標としています。現在はまだ学ぶことが多くありますが、将来は自身の知識や経験、考え方を活かした設計でお客様に寄り添い、しっかりと支えたいと考えています。設計職という専門性で事業の基盤を支える「縁の下の力持ち」となれるよう、日々の業務に丁寧に取り組んでいきます。

M.O. 日頃、お客様から「本当に楽しそうに仕事をするね」とお声をかけていただくことがあります。私たちが働くことを楽しんでいなければ、お客様も仕事を楽しめません。逆に私たちが前向きであれば、お客様もポジティブな考え方になり、お互いにより良い関係性を築くことができると考えています。研修で学んだ本質的なコミュニケーションを活かし、皆さんにもぜひ、仕事に喜びを見出しながら取り組んでいただきたいと思います。

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