ルーティンではない現場だからこそのやりがい。動物と飼い主に寄り添う姿勢が夜間救急を支える

ルーティンではない現場だからこそのやりがい。動物と飼い主に寄り添う姿勢が夜間救急を支える

ルーティンではない現場だからこそのやりがい。動物と飼い主に寄り添う姿勢が夜間救急を支える

このストーリーのポイント

  • さまざまな獣医師の症例への向き合い方に触れられて、診療の引き出しが広がった
  • 中部エリア初の夜間救急拠点を立ち上げ、現場を牽引
  • 24時間診療体制を目指し、夜間救急への挑戦意欲のある仲間と一緒に働きたい

夜間救急の現場では、限られた時間の中で今取るべき対応を見極め、初めて出会う飼い主にも安心してもらえるよう対話を重ねる姿勢が欠かせない。臨機応変な判断が求められる一方で、毎回異なる症例に向き合うからこそ獣医師として成長できる手応えがある。

PROFILE
イオンペット株式会社

熱田 典亮

ペテモ動物病院ナゴヤドーム前院長
兼北中部エリアマネージャー
名古屋西動物夜間救急医療センター責任者
2008年入社/日本大学生物資源科学部 獣医学科卒業

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個人病院で勤務医として経験を積んだ後、「自分を試したい」という思いからイオンペットに転職した。院長、エリアマネージャーを経験したのち、中部エリア初となるイオンペットの夜間救急拠点の立ち上げに従事。現在は責任者として夜間救急の現場に立っている。

多様な獣医師との出会いによって視野が広がった

もともとは、神奈川の自然豊かな山間部にある個人動物病院で勤務医として働いていました。当時は担当する診療件数がとても多く、繁忙期には半日で100件以上の診察にあたることも。もちろん私一人ではなく、複数の獣医師で手分けして対応していましたが、忙しい環境の中で確かな経験を積むことができました。

入社してから4年目の頃、ふと「新しい環境で、自分の力を試してみたい」と考えるようになりました。勤めていたのが個人病院だったこともあり、診療の進め方や治療方針には、院長先生の考えが大きく反映されます。別の環境で、また違った診療のあり方にも触れてみたいと思ったのです。

もう一つ、新しい環境に目を向けるきっかけになったのが、整形外科への関心でした。手先を使う細かな処置が得意だったので、将来的には整形外科を専門分野として深めていきたい思いもあったのです。

ちょうどその頃、イオンペット発足前のアテナ動物病院に、整形外科の技術に長けた先生が在籍していると知りました。その先生のもとで働きたいと、転職を決断。先生が所属するエリアの病院に配属になり、ここで技術を磨いていこうと意気込んでいました。

しかし、しばらくして配属先の院長先生が退職されることになり、思いがけないタイミングで私が院長を任されることとなりました。院長になると診療だけでなく、スタッフのマネジメントや院内の体制整備など、担当する業務が大きく広がります。そのため、外科の領域に関してじっくりと学ぶ時間を確保するのが難しくなってしまいました。

ですが後悔はなく、むしろ転職して良かったと思っています。特に良かったのは、転職前に期待していた通り、さまざまなバックグラウンドを持つ獣医師の診療の進め方や、症例との向き合い方に触れられたことです。

たとえば、同じ症例に対しても、先生によってアプローチの仕方は異なります。その違いを間近で見たり、考え方を聞いたりするなかで、診療の引き出しが少しずつ増えていく感覚がありました。これは、入社当初に限った話ではありません。経験を重ねた今でも、後輩の獣医師から新たな知見を得ることがあり、日々刺激を受けています。
この『互いに学び合い、支え合う』風土は、夜間救急の現場でも同じです。経験豊富な獣医師やスタッフがチームでフォローする体制が整っていますので、未経験の方も安心して一歩を踏み出してください。

こうした学びが得られるのは、全国に50以上の動物病院を展開し、さまざまな経験を持つ獣医師が在籍するイオンペットならではの強みだと感じています。私も個人病院に勤めていた頃とはまた違った経験ができ、おかげで視野が大きく広がりました。

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中部エリアに夜間救急拠点を。想いから始まった新たな挑戦

その後は中部エリアへ異動し、名古屋市内のイオンモール内にある病院で日々診療にあたるようになりました。そこで次第に感じるようになったのが、「中部エリアにも夜間救急拠点が必要なのではないか」ということです。当時、イオンペットの北海道や関東、関西エリアではすでに夜間救急体制が整っていました。一方、中部エリアではまだ夜間救急を実施する拠点がなかったのです。

なお、中部エリアにもイオンペット以外で夜間救急に対応している施設はあります。それでも、夜中に頼れる拠点が増えることには大きな意義があると感じていました。イオンペットに通院してくださっている方々はもちろん、ほかの動物病院に通う飼い主さんや動物たちにとっても、診療時間外に相談・受診できる選択肢が増えることは、安心につながるからです。

夜間救急拠点を、中部エリアで立ち上げたい。そんな思いを社内の関係者に何気なく話したところ、周りも同じ課題を感じていたようでした。そこから「やりましょう」とトントン拍子で話が進み、名古屋西動物夜間救急医療センターの開設へとつながっていったのです。

イオンペットへの転職が最初の挑戦だったとすれば、夜間救急施設を立ち上げ、その現場に立つことは、私にとって二度目の「自分を試す」大きな挑戦でした。開設に向けた準備を進めていき、2025年8月に名古屋西動物夜間救急医療センターがスタート。私は当センターの責任者として新たな一歩を踏み出しました。

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日中診療にも必ず活きる学びがある夜間救急の現場

現在、名古屋西動物夜間救急医療センターでは、21時〜23時までの時間帯で診療を受け付けています。診療時間が限られているため、対応件数は平均して1〜2件、多い日で5〜6件ほどです。私自身も夜間救急に入る日は、日中の診療を午前中で切り上げて、夜の診療に備えています。

この夜間救急の現場には、獣医師として成長できる2つの大きな魅力があります。一つは、さまざまなバックグラウンドを持つ獣医師の診療に触れ、互いに学び合うことで、自身の診療の引き出しを広げられること。もう一つは、限られた情報と時間の中で瞬時に判断を下す経験が、日中の診療における即応力として必ず活きてくることです。

もちろん、難しい判断が必要な場面では、私や経験豊富な他の獣医師がしっかりとフォローします。チームで支え合う体制が整っていますので、夜間救急が初めての方も、ぜひ安心して飛び込んできてください。

診療対象としているのは犬・猫で、症例として多いのは異物誤食といったトラブルです。ほかにも嘔吐や下痢、発作などのさまざまな症状を抱えた動物が来院されます。

いずれも、かかりつけの病院が閉院後に急な症状が現れたケースがほとんどです。当センターの夜間救急では、まずその場で必要な対応を行い、動物の状態を落ち着かせること。そして翌朝以降は、かかりつけの病院へお返しするといった「リリーフ診療」を徹底しています。

夜間救急を始めて、およそ8ヶ月。改めて難しさを感じるのは、来院する動物たちのほとんどが、初めて診るケースであることです。

イオンペットのかかりつけでなければ、これまでのカルテは手もとにありません。過去の病歴や服用中の薬、普段の様子などを飼い主さんに一から確認する必要があります。その一方で、現場では一刻も早い処置が必要です。限られた情報と時間の中で、今取るべき対応を見極めなければならないことに、夜間救急ならではの難しさがあります。

診療技術だけでなく、短い時間で飼い主さんに安心していただくための説明力も求められます。たとえば、症状をより正確に把握するために、レントゲンや血液検査などをご提案することがあります。しかし、なかには検査や治療にかかる費用面から、検査を希望されない飼い主さんもいらっしゃるのです。

そういった場面では、飼い主さんの意向を尊重しながらも、「なぜ今の状態で検査が必要なのか」「行わなかった場合にどのようなリスクがあるのか」を丁寧にお伝えする必要があります。限られた時間の中で最善の獣医療を提供するためにも、ご納得いただけるまで言葉を尽くすことを心がけています。

緊張感のある現場だからこそ、いつも大切にしているのは「どんな症例でも受け入れる」というマインドです。獣医師が「この症例は難しそうだ、対応できるだろうか」という迷いを見せてしまったら、周りのスタッフも不安になるでしょう。だからこそ、どんな症状にもまず向き合う姿勢を、日頃からスタッフに示すようにしているのです。そうした姿勢が現場の安心感につながり、いざという時の連携もスムーズになると考えています。

その場での判断力や対応力が試される緊張感はありますが、毎回異なる症例に向き合うからこそ、常に新しい学びがあります。その積み重ねが、ほかの現場では得がたい大きなやりがいです。まだまだ試行錯誤の連続ではありますが、これからも目の前の動物や飼い主さんに精一杯向き合いながら、現場に立ち続けます。

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信頼される施設作りと、24時間体制への挑戦

信頼される夜間救急施設であり続けるために、診療以外でも大切にしていることがあります。それは、飼い主さんに少しでも安心していただけるような院内の雰囲気作りです。

夜間に来院される飼い主さんは、大きな不安を抱えています。だからこそ、スタッフの何気ない振る舞い一つが、不信感につながってしまうこともあると思うのです。たとえば、飼い主さんに症状を説明している最中は、周囲で別の会話を控え、静かな環境を保つ。そういった当たり前のことこそを、現場では徹底するようにしています。

また、ほかの夜間救急施設の口コミにも目を通し、飼い主さんが何を求めているのか、どのような対応に不安や不満を感じるのかを把握するようにもしています。今後も必要だと感じたことはすぐに現場に取り入れ、改善を繰り返していきます。

現在の診療時間は2時間ですが、今後は段階的に診療時間を延ばしていく予定です。まず次のステップとして目指しているのは、深夜2時までの診療。そして将来的には、24時間体制で診療できる環境を整えていきたいです。

もちろん、診療時間を拡充していくうえでは、働くスタッフの健康管理と生活リズムの維持を最優先にした組織的な体制構築が不可欠です。単なるシフトの工夫に留まらず、適切な人員配置や、長期的に安心してキャリアを築ける環境整備を組織として徹底していきます。また、イオンペットには希望休や連続休暇を気兼ねなく取得できる風土があるため、ワークライフバランスの面でも万全のサポート体制を整えています。

体制を広げていくうえで欠かせないのが、夜間救急に携わってくれる仲間の存在です。この記事を読んでくださっている方の中には、「夜間救急は、激務や重症例に常に追われるのではないか」と不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、今の私たちの現場は少し異なります。
診療時間が限られている今のフェーズだからこそ、多くの症例に追われることなく、一つひとつの症例とじっくり向き合いながら夜間救急の臨床経験を積み重ねていくことができます。急な対応が必要な場合でも、私や経験豊富なメンバーがしっかりとフォローしますので、「夜間救急に興味はあるけれど、自分に務まるだろうか」と迷っている方こそ、ぜひ飛び込んできてください。今このタイミングで一歩を踏み出すことは、獣医師としての引き出しを広げる絶好のチャンスです。動物を思いやる気持ちと、飼い主さんに親身に向き合う姿勢さえあれば、必ず活躍の場があります。

限られた時間の中で判断し、診療にあたる夜間救急の経験は、日中の診療にも必ず活きてきます。獣医師としてさらなるステップアップを目指している方とぜひ一緒に働きたいです。

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