“魚の研究者”というレアな背景が、今では自分ならではの強みに。

“魚の研究者”というレアな背景が、今では自分ならではの強みに。

“魚の研究者”というレアな背景が、
今では自分ならではの強みに。

このストーリーのポイント

  • 魚の病気の研究に打ち込んだ学生時代
  • バイオインフォマティクスの専門家として採用される
  • 学生時代に培った知見を活かし、自分ならではの貢献を続ける

「バイオインフォマティクス募集」の文字を見て決心した製薬会社への道。薬学部でないことに不安はあったものの、今ではむしろそのことが自分の強みになっていると感じる。どんな専門性でも発揮できるフィールドが、ここにはある。

PROFILE
日本新薬株式会社

研究開発本部 創薬研究所 探索研究部 生物研究一課

nippon-shinyaku-st01-02.jpg

2021年入社。海洋科学技術研究科修了。千葉県出身。愛媛県の大学の理学部で学んだ後、東京都内の大学院に進学し、魚につく寄生虫について研究する。入社を機に京都へ移り住む。観光地のイメージの強かった京都が、実はとても暮らしやすい街であることを発見し、大好きになる。休日には街歩きを楽しんでいる。

海洋生物の研究に打ち込む

海と魚が大好きです。
幼い頃は、よく父に水族館に連れていってもらいました。大きな水槽の前で魚たちを眺めて、過ごしたものです。父も海洋関係の大学出身なので、私の海好きは父から受け継いだものかもしれません。

高校卒業後は愛媛県にある大学の理学部生物学科に進学。海洋汚染がクジラにどんな影響を与えるのかの研究に取り組みました。その後、都内の海洋関係の大学院に進学。魚の病気について研究しました。具体的にはブリにつくハダムシという寄生虫の研究です。
ブリの養殖でハダムシは昔から大きな問題となっており、養殖が広がるにつれて被害も拡大してきました。そのワクチン開発を目指し、研究では遺伝子解析に取り組みました。

研究では標的分子を探すところから評価まで一貫して手がけました。共同研究のために、地方の水産試験場や養殖場にも足を運びました。
生来の海好きに加えて、こうした研究の面白さに夢中になったことから、将来は研究者か高校の生物教師になろうかと考えていたのもこの頃でした。

nippon-shinyaku-st01-03.jpg

門前払いへの不安はまったくの杞憂に

ハダムシは養殖業者にとっての大敵です。一方で経済的合理性も重視されます。養殖もビジネスですから、当然のことでしょう。研究を続けるうちにそうした現実に直面し、経済性の面から、ときにはあえてハダムシのついたブリを医薬品で治療しないという選択もあり得ると知りました。
もちろん人間の場合はそんなことはありえません。1人でも病気の人がいれば、絶対に助けようとするのが当たり前です。そうしたことから、せっかくならば自分が研究して得た知見を、人間の命を救うために役立てられないかと考えるようになっていきました。

そんな思いで製薬業界にも目を向けるようになったとき、目に飛び込んできたのが日本新薬の「バイオインフォマティクス研究員募集」という言葉でした。その瞬間私は「これだ!」と思ったのです。
バイオインフォマティクスとはその名の通り、バイオ(生物学)とインフォマティクス(情報学)という2つの学問分野にまたがる最先端の研究分野です。生命が持つ様々な情報を分析することで生命現象を解き明かすもので、日本語では⽣物情報科学や情報⽣命科学などとも呼ばれます。
ハダムシのワクチンを開発するために遺伝子の解析などに携わってきた経験を、製薬会社が求めている──。日本新薬こそ、私がこれから進むべき道だと確信しました。

一方で不安もありました。日本新薬は人間を対象とする薬の開発を行っている会社ですから、「人間と魚はまったく違う」と門前払いされるのでは、という不安です。
しかしそれはまったくの杞憂に終わりました。エントリーに対して一番早くコンタクトしてくれたのも、最初に内定が出たのも日本新薬。薬学部出身かどうかは採用の合否にまったく関係なかったことがわかりました。思い切って応募してよかったと胸をなで下ろしました。

nippon-shinyaku-st01-04.jpg

創薬の出発点である探索に携わる

現在私は創薬研究所の探索研究部に所属しています。薬になりそうな新規化合物をゼロから見つけ出し、マウスなどの実験動物に投与するなどして評価を行います。まさに新しい薬を生み出すための出発点を担うのが探索研究です。
もちろん新規化合物を新しい薬として世に出すことは決して容易ではありません。数万から数百万もの化合物を試し、その中からわずかながらも新薬となり得る可能性を秘めた化合物を見つけ出していくことになります。まさに夢のような話で、私の仕事は“夢のタネ”を見つけ出すようなものと言えるかもしれません。

印象的だったのは1年目にあるプロジェクトにアサインされたことです。ある疾患に対してこのような薬をつくったらどうかという検討テーマが立ち上がり、その初期に私も参加しました。まさしく何もないゼロの状態からのスタートです。可能性を見つけ出しては検討していく、そんな繰り返しでした。
実は高校時代から学生時代にかけて私が取り組んでいたのが、ロッククライミング。岩登りです。大学では海外まで遠征して、険しい崖を登りました。登っている途中は苦しくて、何度も投げ出しそうになります。そこを耐えて登り切ったときの達成感は、言葉では表せないものでした。 そんな岩登りの経験から培ったのが、どんなに苦しくても諦めない精神力です。探索研究も、険しい岩を連続して登るようなもの。うまくいかなくて当たり前なんです。自分の持ち味はこんなところにも発揮されていると知りました。

薬学部出身でないことが採用においてハンデにならなかったのと同様、仕事においても特に不利に感じたことはありません。もちろん薬学部出身ならば常識的なことが、私にはわからないことも多々あります。それについては先輩に質問すれば丁寧に教えてもらえますし、そのつど学んでいくことで吸収できました。
「薬学部でなくてもなんとかなる」。それが今の私の実感です。

nippon-shinyaku-st01-05.jpg

異色であることが、自分の武器に

現在、私はプログラミング系の業務をメインに担当しています。具体的には遺伝子の発現解析プログラムの開発に取り組んでいます。まさに学生時代に培った私の強みが活きる仕事です。
実はバイオインフォマティクスの枠で入社した社員は、私が第一号。そのため「バイオインフォマティクス関連ならまずあの人に聞けばいい」というふうに周囲では認識されているようです。
海洋科学技術研究というニッチな分野で、ブリの寄生虫というさらにニッチな研究に取り組んできたことが、今では私だけの強みにつながっているわけです。この実感は、とても嬉しいものです。

探索研究において、私のようにプログラミング技術を使って研究を進めることは「ドライ研究」と呼ばれています。まさにバイオインフォマティクスの手法は、ドライそのものです。一方で細胞や動物を用いて実験を繰り返して探索を進めることは「ウェット研究」と呼ばれています。製薬会社では多くの場合、研究者はこの「ドライ」か「ウェット」のどちらか一方を担当するのが一般的なようです。
私自身としては「ドライ」をやりつつ、今後は「ウェット」の技術も身につけていき、どちらもできる研究者になっていきたいと考えています。プログラミングをしながら同時に動物を使った実験もできる、そんな研究者になることがこれからの私の目標です。
こうした目標を掲げられるのも、バイオインフォマティクスという強みを持った私だからできることでしょう。そんな欲張りな挑戦をさせてくれるのも、日本新薬ならではです。

誰にでも自分ならではの強みや持ち味があります。薬学部出身かどうかは関係ありません。どんな専門性でも当社ならきっと発揮できるはずです。「自分の学んできた分野は製薬には関係ない」と決めつけずに、ぜひ挑戦していただけたらと思います。
もし私と同じように海洋技術について学んできた方が入社してくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

nippon-shinyaku-st01-06.jpg

TAGS

日本新薬についてもっと知りたい方はこちら

SHARE