お客様や前/後工程の人たちと協力し、 さらに学びを深めながら、自己を磨いていきたい。

お客様や前/後工程の人たちと協力し、 さらに学びを深めながら、自己を磨いていきたい。

お客様や前/後工程の人たちと協力し、
さらに学びを深めながら、自己を磨いていきたい。

このストーリーのポイント

  • 働く環境や人を大切にするエプソンの姿勢に惹かれ入社を決意
  • 捺染プリンターの領域でお客様の要望をカタチに変える
  • 官能的視点の依存が大きい「色」の評価測定で、定量化を目指す

従来の「版」を必要とするアナログ捺染印刷に対して、デジタル捺染印刷は「版」を使いません。そしてデジタル捺染印刷は、精細なグラデーションや微妙な色調の再現が可能。さらに多品種少量・短納期生産を実現し、環境負荷も低減することができる。黒岩は、そんな新しいテキスタイル・イノベーションを生み出すプロフェッショナルだ。

PROFILE
セイコーエプソン株式会社

黒岩 愛里

商業・産業企画設計部
2018年入社/総合理工学研究科 繊維学専攻 化学・材料分野修了

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「自ら学んだことは、決してムダにならない。必ずどこかで役に立つ」ーーそれが、私の信念です。学生時代から日本全国を旅行してきており、これからは全県制覇を目指したいと考えています。何事にもポジティブに挑むマインドは今の仕事にも活きています。

社風や企業文化に惹かれて…

私が学生の頃、ちょうど就職活動開始が前倒しになり始めた時期でした。そこで、すでに研究科への進学を決めていた大学4年生の頃、自分の研究領域に対してどんな企業が興味を持ってもらえるのかを探す思いで、学内の企業説明会などに参加しました。その翌年の修士1年次には、学外で開催される説明会やインターンシップに参加して、さらに企業研究を進めました。

当時から、自ら関わった製品が世の中に出ることに魅力を感じて、製造業を志望していました。特にエプソンは長野県出身の私にとって身近な存在であり、化学系出身なので「インク開発に自分の能力が活かせるのではないか…」という思いもあって、関心を抱いていました。また、周囲にもエプソンに就職した方がおり、結婚や出産など、さまざまな女性のライフイベントの中で、バリバリ仕事をしている姿を目にしていたこともあり好感を持っていました。さらに、インターンシップで指導していただいた女性部長の姿に、女性がのびのびと活躍できる社風を肌で実感しました。厚生労働省が、各種制度やその実施状況、勤務環境などを総合的に評価して、仕事と子育ての両立支援に取り組む企業を認定する「くるみん制度」の中でも、最高位の「プラチナくるみん」に認定されている(2021年4月1日時点)のも納得できました。そして「ここで働きたい」という意欲が膨らんでいったのです。

また、多くの企業が志望学生への通知をメールで行っているのに対して、エプソンは選考段階から内定に至るまで、必ず電話で合格連絡をくれました。志望者も多い中で、学生一人一人を未来のお客様として尊重し、大切にする企業姿勢が感じられ、さらに入社意欲が高まっていきました。

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お客様のご要望を具現化して提出

現在私は、「フォト・グラフィック」「サイネージ」「ラベル」「テキスタイル」など、商業・産業印刷市場向けプリンターの企画設計を担う部門に所属し、その中でテキスタイルに特化した「捺染用プリンター」を担当しています。これは、インクジェット技術を用いて顔料や染料で色や柄を布地へ直接印刷するプリンターです。

お客様が望まれる実際の布地に対して、ご希望のインクやデザインの組み合わせで、仕上がりを評価するためのテストサンプルを提出するのが、私の仕事です。そこで検討材料として、あらかじめ用意した既成の販促サンプルではなく、実際にお客様が商品化をお考えの布地やデザイン通りのサンプルを提出するケースが多いのです。というのも、布地は非常に種類が多く、インクとの組み合わせによって仕上がりの印象が大きく変わってしまうからです。如何にご要望通りの仕上がりを生み出す最適な組み合わせを実現するか…、その追求こそが、私の仕事の醍醐味です。

サンプルを提出するまでの一連の仕事は、それ以外にも幅広く多岐にわたります。まず、お客様のご要望を伺い、それに沿ったサンプルの印刷や前後処理を実施。さらに出荷前の画質確認会議を開催したり、提出サンプルの報告資料作成したり…。さらに海外のお客様の場合には、輸出手続きや海外販社のメンバーとの会議などを実施。このように仕事全体を鳥瞰的視点で捉えることを意識しています。

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海外研修で刺激を受け、士気も高揚

入社2年目の秋、世界のテキスタイルデザインや繊維工業を牽引するイタリアの捺染業界のリーディングカンパニー、Epson Como Printing Technologies S.r.l.社(当時For.Tex S.r.l.社、Fratelli Robustelli S.r.l.社)で研修を受ける機会をいただきました。また、エプソンが捺染印刷機の開発を進めるために、同社と設立したR&D施設・”Textile Solution Center”を視察。世界のトップランナーから直接指導を受けた経験は大きな刺激となり、仕事へのモチベーションも加速。以降、私を支えてくれる大きな財産となりました。

より高精度・高品質のサンプルを生み出すためには、お客様はもとより、営業部門や前/後工程の人たちとの連携が不可欠。仕事を取り巻く多くの人たちから学び、協力をお願いする姿勢が大切です。周囲の人たちと気持ち良く働くためには、何よりも相手が知りたい情報を提供する姿勢が重要です。私の依頼にはどのような背景があり、何を目的としたものであるのかを明確にして、納得・理解してもらうように心掛けています。この仕事のおかげで、知識とともに関連部門の方との関係の築き方が身に着き、より鳥瞰的視点で物事を見ることができるようになったのではないか…、と自負しています。

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仕事の深耕に自己の成長を重ね合わせて

「従来のアナログ捺染のデジタル化を進めていこう」というのが、テキスタイル業界の新たな潮流です。例えば、従来のアナログ捺染では、版下図に沿ってカットされた型紙を作り、それを布地に載せて染めていきます。多色染めの場合には一色ごとに版を作成し、色数の分だけ捺染を繰り返す必要があります。これに対して、インクジェットによるデジタル捺染ならば、一度の印刷で多色刷りが可能なため、サンプル完成までの期間を大幅に短縮することができます。

また、デザインは型紙ではなくデジタルデータ化されているので、型紙の制作コストや時間、保管スペースや管理負荷も削減できます。デジタルデータは、デザインや色の変更も容易で、市場ニーズに即応したアップデートも可能です。

さらに、染料捺染の場合には、後工程で大量の洗浄水が必要です。一方、超微小のインク滴を直接飛ばして捺染するインクジェットならば、廃棄物をほとんど出さず、後工程での洗浄水も最小限で完了。必要な時に必要な量だけの小ロット生産も可能で、工期短縮はもちろん、環境負荷の軽減にも貢献できるのです。さらに最近では、環境親和性の高いプランとして、洗浄水を必要としない顔料インクの活用をご提案するケースも少なくありません。

一方、「色」などの判定は官能評価に依存する部分も多く、今後、感性工学的視点を導入し、定量的な指針を確立していきたいと考えています。また、従来のアナログ捺染が、ベテランの「匠の技」に支えられてきたのも事実です。そこで、今後は布地ごとの発色や色の定着、インクの盛りなど、熟練職人さんのノウハウのパラメータ化にも取り組んでいきたいですね。

さらに、捺染の前/後工程や画像処理などの周辺技術にも精通したトータルな視点を確立していきたいと考えています。そのためにも、さらに研究と勉強が大切だと日々痛感しています。学びや努力は、すべて自己の栄養になっていきます。仕事の中に、そんな「楽しみ」を見つけて追求する姿勢を、これからも持ち続けていきたいと思います。

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