“異端”であることを誇りに、技術者としての信念のもとで挑戦を続ける。

“異端”であることを誇りに、技術者としての信念のもとで挑戦を続ける。

“異端”であることを誇りに、
技術者としての信念のもとで挑戦を続ける。

このストーリーのポイント

  • 負けず嫌いをバネに、目の前の壁を乗り越えることで成長した
  • チャレンジャーだからこそ大胆で尖った挑戦ができる
  • 街の中で、海外で、自分が設計した機械が活躍する喜び

長年オフィス用プリンターの開発に携わり、現在は商業用プリンターの新しい市場開拓に取り組む。自ら挑戦することを大切にするカルチャーの中、技術者としての枠を超え、新たなステージでの成長に挑む。

PROFILE
京セラドキュメントソリューションズ株式会社

M.O.

技術本部
DPS統括技術部第53技術部
2002年入社

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工学部機械工学科卒業。入社後、技術本部に配属。一貫してプリンター、複合機、インクジェットプリンターの機械設計に携わる。2018年より現部署の責任者。

車が好きだから、車とは関係のない仕事を

私の祖父が技術屋でした。
部屋には大量の書籍があって、幼い私はそこで物理や化学の本に囲まれながら、祖父の話に目を輝かせたものでした。何でも自分の手でつくってしまう人で、その姿を見ながら育った私が理系に進んだのも当然のことだったのかもしれません。

工作も好きで、特に車や自転車などの乗り物をいじるのが大好きでした。そのため、将来は自動車メーカーで働きたいと考えたのは、ごく自然なことでした。
ただし父や友人に言われたのが「車好きが自動車メーカーに行くと、趣味が趣味でなくなるからやめておけ」ということでした。私が自動車メーカーでやりたいと思ったことは、例えばテストドライバーや、車体の開発などの仕事です。しかしどんなに志望しても、自らの希望した仕事に就けるのはごく限られた人ということを教わりました。人生設計を考える上で、ものづくりに携わりたいという思いは変わらなかったため、自動車メーカーで働くことにこだわらず、違う選択肢を持つ方が、趣味と仕事の両方を楽しめる道があるのではないかと考えるようになりました。

では、プリンターが好きだから当社に入社したかというと、実は決してそうではありませんでした。
当時、私の親戚が京セラ本社のすぐ近くに住んでいて、遊びに行くたびに「将来はあのビルで働くんだよ」と言われ続け、自然とその気になっていったのです。京セラは地元・関西の有名企業ですし、創業者の稲盛和夫氏は一般市民からも尊敬されていました。そうしたことから親戚は私に、京セラを勧めたのだと思います。
ただ親戚の勧めた京セラ本社には、研究開発の仕事はありませんでした。そこで地元で技術者として研究開発に携われる道を探したところ、当社を見つけたわけです。
そんな不思議な縁で入社した会社ですが、以来、20年以上も楽しく働けているのですから、私にとって幸せな出会いだったと思います。

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リーダーの期待を超えるために

これまでの仕事で印象深いのは入社10年目の頃に担当した、複合機『TASKalfa』シリーズ初代開発ならびに、その数年後に開発した第2世代の開発です。
この『TASKalfa』シリーズ以前は低速機から高速機まで、印刷速度に合わせて別々にエンジンを開発していました。それを1つのエンジンで幅広いラインアップを構築しようと、いわゆるプラットフォーム&モジュール戦略を当社として初めて導入しました。幅広い速度レンジを同じプラットフォームでカバーするという、難しいテーマにチャレンジすることになりました。
このプロジェクトを率いることになった当時のリーダーが非常に強い推進力を持った人で、「もっと私の創造を超えるものを考えてくれ」とよく言われました。当社にとって初めての開発手法ですから、誰かが答えを知っているわけではありません。
私はリーダーの期待を超えることを目指して苦しみながら試行錯誤を重ねていきました。この経験が技術者としての私を大きく育ててくれたのは間違いありません。

祖父の影響もあってか、私には負けず嫌いなところがあります。そのためリーダーからNGが出ても折れるわけでもなければ、落ち込むわけでもなく、むしろもっと良いものを提案して認めてもらいたいと、燃えました。逃げずにこの壁を乗り越えなくては、自分は先に進めないんだという思いが強かったです。
今思えば、リーダーは私のそうした性格を見抜き、私を成長させるために「自分の期待を超えるものを」という高いハードルを課したのだと思います。

当社には、チャレンジ精神を大切にする文化があります。何も挑戦せず現状を維持するよりも、何かに挑戦して失敗する方が評価される風土です。だから若手にも大胆なチャレンジをさせてくれるし、失敗しても個人の責任で終わらせるのではなく、チーム全員でリカバーします。
この文化の背景には、業界でチャレンジャーのポジションにいることが大きく影響していると思います。他社と同じことをやっていては勝てないし、勝つためには技術的に他社を圧倒するぐらいでなければなりません。そのことを技術者はみんな理解していますし、尖ったことにも大胆に挑戦しています。その点で当社は業界の中でオリジナリティのある、社会に貢献できる製品を創り出せる異端児なのです。技術者にとってこんなにエキサイティングな環境はありません。

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信念を持って、図面の全面書き直しに踏み切る

当社は、オフィス用・商業用・産業用という3つのエリアでプリンターを開発しています。その中で、私は長らくオフィス用のプリンターを担当していましたが、入社15年目から商業用デジタルインクジェットプリンターの設計開発、および新製品検討を担当しています。
この商業用プリンターの市場は激戦区で、競合他社も製品開発に力を入れています。当社は商業用プリンター市場の中では後発となるので、お客様が本当に求めていることは何かを徹底的に見極め、そこに特化した製品開発をすることになりました。それまでオフィス用プリンターの開発で経験を積んできた私にとって、新たな挑戦となりました。

私が商業用プリンターの開発メンバーに加わったとき、既に設計は進んでおり、試作機をつくる直前でした。しかしその図面を見せてもらったところ、直感的に「この図面のままでは量産の実現は難しい」と感じました。それまで多くの機種開発に携わった経験があったからこそ、その図面の不完全さに気づけたのだと思います。
そこで私は当時のプロジェクトリーダーにその旨を伝え、全面的に図面を書き直すので3ヵ月ほど時間が欲しいと伝えました。もちろん、このタイミングで図面を書き直すと開発計画が遅れ、その後の試作検証や量産スケジュールにも影響が出るということは理解していました。しかしこのまま進めても、お客様に喜んでいただける製品を世の中に送り出せません。私のそんな思いに対してリーダーは、OKを出してくれたのです。まさに英断でした。

書き上がっていた図面を全て書き直すなんてことは、一般的に考えれば考えにくいことでしょう。しかし当社は、根拠を伝えてロジカルに説明すれば、こんな大胆なやり直しも認めてくれます。技術者が信念を持って取り組むことを真正面から受け止めてくれる、そんな文化は当社の大きな魅力です。
もちろん図面の書き直しは私1人で進めたのではありません。仲間の力があったからこそ実現できました。大きな舵を切ったとしても、信頼できる仲間がいれば、絶対に前に進むことができる。そんな思いで取り組みました。

結果的に、この図面の大幅な変更は、その後の製品開発にも大きく貢献しました。
商業用のデジタルインクジェットプリンターは無事に完成し、現在では主に欧米の印刷会社で使っていただいています。コロナ禍が明けたことでようやく私たちも海外に行って、お客様に会えるようになりました。
アメリカやヨーロッパでは、実際にこのプリンターを使ってくれている印刷会社のオペレーターから「とても使いやすい」「小型だけれどしっかりしている」「メンテナンスも楽」という言葉をいただきました。
自分の設計した製品が、海を越えて使われ、喜ばれていることがリアルに感じられ、設計者冥利に尽きると思いました。

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無限の可能性に挑戦したい

これまでの経験を振り返って本当によかったと思うのは、新しい機種の構想段階から量産まで、一貫して開発に携わってこられたことです。当社の中でも全員が同じような経験ができるものではありません。他のメンバーの仕事を途中から引き継ぐことはなく、ほぼ関わった製品すべてでものづくりの最初から最後まで携わることができたのは幸運だったと感じます。自ら望んだわけではなく、たまたまそういうタイミングで仕事を割り当てられたと思いますが、とても恵まれていたと感謝しています。
私たちの仕事はものづくりです。自分の構想したものがカタチとなり、息づいて、ずっと残っていく。そんな本質的なものづくりの醍醐味を楽しみながら、歩んでこられたと思っています。
街中のさまざまな場所では、私が開発に携わった製品が使われています。いくつもの機種がありますが、それぞれに大変思い入れがあり、実際にそれらを目にすると「頑張っているんだな」と嬉しくなります。
自分の生み出した機械がそんなふうに街の景色に溶け込んでいるって、いいものです。

オフィス向けプリンターの分野ではペーパーレスが進んでいますが、商業分野・産業分野ではまだまだ印刷の文化が根強く残っており、さらなる市場開拓は今後の大きなテーマです。私は現在管理職ですので、チームを率いてそうした市場開拓に取り組んでいきたいと考えています。設計者という枠を超え、ビジネスそのものを動かしていく立場にあり、私にとってこれは新しい挑戦です。
ヒントを見つけるために社外の方々にもたくさんお会いしますし、自分のアイデアをカタチにするために自分の判断で動いています。これは非常に楽しいですよ。ワクワクします。

プリンターには無限の可能性があります。特にインクジェットの用途は広がっていく一方で、これから数多くの新しいことを発見し、創造する喜びが味わえるでしょう。
若い人材に大きなチャレンジをさせてくれるのが当社ですから、こうした喜びはこれから入社される皆さんにもぜひ味わっていただきたいと思います。このポジティブな領域で、ぜひ一緒に挑戦してみませんか。

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