キャリア入行者が力を発揮するために。三菱UFJ銀行のオンボーディングの現在地
キャリア入行者が力を発揮するために。
三菱UFJ銀行のオンボーディングの現在地
このストーリーのポイント
- 即戦力としてのプレッシャーや不安に寄り添い、力を発揮するための土台をつくるオンボーディング
- 悩みを共有できる「同期」の存在。本音でつながるWelcome Day
- 支援された人が次の支援者へ。広がり始めた受け入れのカルチャー
三菱UFJ銀行では、2025年度に800名を超えるキャリア人材を採用した。多様なバックグラウンドや専門性を持つ人材が増える中、キャリア入行者一人ひとりが早期に力を発揮し、活躍できる環境づくりが重要なテーマとなっている。そこで力を入れているのが、キャリア入行者のオンボーディングだ。今回は、オンボーディング施策を担う土屋と、自身もキャリア入行者である伊藤に、現在の取り組みや実際に感じたこと、今後の展望について聞いた。
株式会社三菱UFJ銀行
土屋 勇人
人事部
採用キャリアグループ

2014年、新卒入行。支店での法人営業、法人・リテールアカデミーを経て、2024年4月より現職。キャリア入行者向けの研修をはじめ、各種オンボーディング施策に携わる。
伊藤 優花
人事部
採用キャリアグループ

新卒で入社した大手人材サービス企業で約5年間勤務した後、2025年に入行。メンター制度運営やリファラル採用・ダイレクトリクルーティングなどキャリア採用関連業務に携わる。
キャリア入行者ならではの不安やプレッシャーに寄り添う
──三菱UFJ銀行が近年、キャリア採用に力を入れるようになった背景を教えてください。
土屋 2021年度には100名未満だったキャリア採用数が、2025年度には800名を超え、新卒採用を上回る規模となりました。背景にあるのは、銀行を取り巻く事業環境の大きな変化です。社会や産業の構造が変われば、金融機関に求められる役割も変わります。AIやDXをはじめ、高度な専門性が求められる領域も広がっています。こうした変化に対応し続けるためには、行内で蓄積してきた知見に加えて、異なる業界や領域で培われた専門性や新たな視点を取り入れていくことが欠かせません。多様な経験を持つ人材の知見を組織の中で掛け合わせ、新たな事業やサービスにつなげていく。そのために、キャリア採用を強化しています。
伊藤 私は前職で人事の仕事を経験する中で、人の成長には本人の意思だけでなく、育成の仕組みや組織風土、挑戦を後押しする環境も大きく影響すると感じるようになりました。そこから、人と組織が持続的に成長するための人材育成や組織づくりについて、より深く学びたいと考え、転職を決めました。三菱UFJ銀行に興味を持ったのは、長い歴史と大きな組織基盤を持ちながら、年間数百名規模のキャリア採用を進めるなど、変革を加速させている点です。既存の強みを活かしながら、新しい知見や人材を取り入れていく。その変化の中心で人や組織づくりに関われることに魅力を感じました。
土屋 私は新卒で入行したため、キャリア入行者がどのような不安や難しさを感じるのか、実感として分からない部分もあります。伊藤さん自身は、入行前にどのようなことを考えていましたか。
伊藤 最も大きかったのは、キャリア入行者として早期に価値を発揮しなければならないというプレッシャーです。自分にはどのような役割が期待されているのか、これまで培ってきた経験や専門性が新しい環境でも通用するのかという不安がありました。また、金融業界で働くのは初めてだったため、銀行特有の業務や専門性を理解した上で、人事として各部門の仕事内容や採用ニーズを正しく捉えられるのかという不安もありました。
土屋 キャリア入行の方々の前職や経験は本当に多彩です。金融業界以外の出身者も多数いらっしゃいます。だからこそ、私たちはオンボーディングを単に「銀行に慣れてもらうための期間」とは捉えていません。キャリア入行者一人ひとりが持つ専門性や経験をMUFGのフィールドで最大限発揮し、新たな価値につなげていくための土台づくりだと考えています。

「歓迎」の想いはダイレクトに。同期の絆を深める大規模イベント
──具体的には、どのようなオンボーディング施策を行っているのでしょうか。
土屋 まず、入行時には3日間の「導入研修」を対面で実施しています。三菱UFJ銀行の歴史、事業、カルチャーについて理解してもらうとともに、金融機関で働く上で欠かせないコンプライアンスや社会規範、リスクに対する考え方について学ぶ研修です。特に、高い専門性を持つ方ほど、前職で築いてきた仕事の進め方や判断軸を持っています。それらを否定するのではなく、MUFGで求められる考え方やルールを理解した上で、自身の専門性を発揮してもらう。そのための共通基盤をつくることを重視しています。
伊藤 私自身が特に印象に残っている施策の一つが「Welcome Day」です。多い時には約400名のキャリア入行者が、入行後半年ほど経ったタイミングで集まります。頭取やCHROからのメッセージに加え、トークセッションやグループワークなどを通じて、入行後の振り返りや仕事で感じていることを共有するとともに、これからのキャリアや挑戦について考える機会になっています。
特にグループワークでは、前職との違いに面白さを感じている方もいれば、これまでのやり方がそのままでは通用せず悩んでいる方もいて、本音で交流できたと思います。
土屋 数百名のキャリア入行者が一堂に集まり、対面で交流できることも「Welcome Day」の大きな特徴です。
伊藤 私もそう思います。これだけの場を用意してもらったことで、「私たちキャリア入行者は歓迎されている」「受け入れてもらっている」と、強く実感しました。
土屋 「Welcome Day」は文字通り、キャリア入行の皆さんに対するウェルカムの気持ちを込めて開催しています。また、同期入行の仲間が一堂に集まれる機会はなかなかないため、そこで生まれたネットワークを、その後の仕事にも活かしてもらいたいと考えています。
参加者からは「横のつながりをつくりたい」という声をよく聞きます。壁にぶつかった時や悩んだ時に、同じキャリア入行という立場で話せる仲間がいる。「一人ではない」と感じられることは、大きな支えになると思います。
「Welcome Day」はまだ始まったばかりの取り組みです。参加者の声も踏まえながら、どのような内容であれば、より多くの気づきや学びにつながるのかを考え、改善を重ねています。

何でも聞けるメンターの存在が、次のサポート役を育てる好循環へ
──入行後のフォローの一つに「メンター制度」がありますね。
伊藤 先輩行員がキャリア入行者のメンターとなり、1on1などを通じてフォローする制度です。希望するキャリア入行者が利用でき、必要に応じて継続的なサポートを受けることもできます。また、複数のメンター、メンティーが対面で交流する機会もあり、新たなネットワークづくりにもつながっています。
土屋 メンターとメンティーは異なる部署に所属する、いわば行内をまたがる“斜めの関係”です。伊藤さんご自身もメンティーを経験されましたね。
伊藤 はい。私には支店の営業課の方がメンターとしてついてくださいました。土屋さんのおっしゃるとおり“斜めの関係”ですので、業務上の直接的な相談というより、資料の探し方や承認の手順など、「ちょっとしたことだけれど、誰に聞けばよいか分からない」といった疑問を相談していました。遠慮なく何でも相談できる方がいることは、大きな安心につながりました。
また、1on1でメンターから問いかけてもらうことで、現在の状況を振り返り、自分自身を客観的に見つめ直す機会にもなりました。
土屋 社会人経験がある皆さまですが、会社が変われば、仕事の進め方やルールも大きく変わります。だからこそ、直属の上司や同じ部署のメンバーとは異なる立場の人に、必要な時に相談できる関係があることに意味があると考えています。
伊藤 メンターに支えてもらったことで、「今度は自分がメンターとしてキャリア入行者を支えたい」と考えるメンティーも多くいます。支えてもらった経験が新たな支援者を生み出す。そうしたよい循環の中で、組織全体でキャリア入行者を受け入れ、支えようとする意識が少しずつ広がっていると感じます。
──キャリア入行者本人だけでなく、受け入れる部署への支援も行っているのでしょうか。
土屋 「オンボーディングハンドブック」を制作しています。必要となる情報や、オンボーディングを進める上で意識してほしいポイントをまとめています。
伊藤 このハンドブックには、キャリア入行者ならではの視点による実感や疑問を「三菱UFJ銀行あるある」としてまとめました。以前から働いている人にとっては当たり前になっていることでも、外部から入った人だからこそ気づけることがあります。そうした視点を共有することで、受け入れる部署にも新たな気づきが生まれればと考えています。
土屋 キャリア入行者向けには専用のポータルサイトも設けています。研修資料や各種案内など、入行後に参照する情報を一つに集約し、スムーズにアクセスできるようにしています。

過渡期だからこそ挑める。自分の挑戦でキャリアの道を示したい
──今後のオンボーディング施策について、お聞かせください。
土屋 現状のオンボーディング体制が完成形だとは考えていません。前職の業界や専門領域、経験によって、必要とする支援も異なります。どのタイミングで、どのような支援を提供するのがよいのか、今も改善を重ねているところです。キャリア人材が今後ますます重要になっていくことは間違いありません。三菱UFJ銀行を選び、入行した方々がそれぞれの力を発揮できるよう、より充実した体制を整えていきたいと考えています。
新しい施策の一つとして、「フォローアップ研修」も立ち上げました。業務に慣れ、所属部署で経験を積んだタイミングでいったん立ち止まり、自身の仕事やキャリアを振り返ること、そして新たなつながりをつくることを目的としています。
伊藤 私自身はキャリア入行して1年半が過ぎました。今後、異動なども経験していく中で、自分の専門性をどのように深めていくのか、あるいは新たな領域と掛け合わせていくのか、模索しているところです。これまでの経験を活かしながら、新しいフィールドへ役割を広げていくことも、キャリア入行者だからこそ描ける選択肢の一つだと感じています。
土屋 採用という“入り口”は大きく広がりました。一方で、その後のキャリアについては、まだ事例が十分に蓄積されているとは言えません。キャリア入行者がどのような経験を積み、どのように専門性や役割を広げていけるのか。多様なキャリアのあり方を可視化していくことも、今後の重要なテーマだと考えています。
──最後にキャリア入行をお考えの方に向けて、メッセージをお願いします。
伊藤 私自身がそうだったように、異業界から転職する方は、自分の経験や専門性が新しい環境でも通用するのか、不安を抱かれることと思います。ただ、実際に働いてみると、キャリア入行者に求められるのは、即戦力として成果を出すことだけではないと感じています。
まずは、三菱UFJ銀行の文化や価値観、仕事の進め方を理解しようとすること。その上で、これまで培ってきた経験や知見を掛け合わせながら、新しい環境でも柔軟に挑戦していく。そうした姿勢が大切にされていると感じています。
土屋 三菱UFJ銀行の魅力の一つは、専門性を発揮できるフィールドが非常に広いことです。私自身、入行して10年以上経ちますが、まだ知らない領域がたくさんあります。それだけ、専門性を活かせる領域や、新たに挑戦できるテーマが幅広いということだと思います。
一つの専門性を深めるだけでなく、異なる領域と掛け合わせながら役割を広げていけることも、この環境ならではです。オンボーディングを通じて、そうした挑戦を支える環境もさらに進化させていきたいと考えています。

