
ナイスクラップの魔法は「やってみたら?」。私が「雑貨バイヤー」と「ブランドディレクター」になるまで。
ナイスクラップの魔法は「やってみたら?」。私が「雑貨バイヤー」と「ブランドディレクター」になるまで。
このストーリーのポイント
- 店舗でお客様からいただいた声が、商品部での仕事の財産に
- 海外へ買い付けや展示会、最新トレンドのリサーチ
- 「こんな商品が欲しい」個人の想いが、新ブランドになる会社
地道な顧客分析で入社2年目にバイヤーへ抜擢。さらに自身の「こんな商品が欲しい」という想いを、新ブランド設立という形で実現させた。個人の熱意を「やってみよう」と後押しする社風が、想像を超えるキャリアを可能にしている。大切なのは自分の足跡を刻みたいという強い想いだ。
株式会社ナイスクラップ
岡田 梨花
BIRTHDAY BAR
商品企画、バイヤー、SAHIRディレクター
2019年入社
ホスピタリティ・ツーリズム学科卒。ものづくりを通じて人の役に立つ仕事がしたいと雑貨のバイヤーを志し、入社。「BIRTHDAY BAR 新宿店」「BIRTHDAY BAR ラクーア店」勤務後、2年目に商品部に異動し、念願のバイヤーに。入社6年目には自ら新ブランド「SAHIR(サヒール)」を立ち上げ、ブランドディレクターとして新たな挑戦の舵を切った。
一つの夢を手放した日。代わりに手にしたのは、365日分の笑顔を贈る仕事。
大学時代、私が打ち込んでいたのは英語の勉強でした。将来は客室乗務員(CA)になりたいという、明確な目標があったからです。残念ながら体調の理由でその道は叶いませんでしたが、この経験を通して「人の役に立ちたい」という想いは、以前よりもずっと強くなりました。
就職活動では、洋服も好きでしたが、それ以上に心惹かれたのが「雑貨」の世界でした。雑貨のバイヤーとして、多くの人の日常に笑顔を届けたい。その想いを叶えられる場所として出会ったのが、当社だったのです。決め手は、「BIRTHDAY BAR」が掲げる「365日ある誕生日。誰にでも訪れる誕生日はプレゼントのチャンス」 というコンセプト。ギフトに特化したこのお店でなら、私も365日、誰かの役に立てるかもしれない、と思いました。
内定承諾後、「一日も早く仕事を覚えて会社に貢献したい」という想いが募り、大学4年生の8月から「BIRTHDAY BAR 新宿ミロード店」で内定者アルバイトを始めました。当時はお寿司屋さんでもアルバイトをしていたので多忙な日々でしたが、それ以上に、これから始まる仕事への期待感で胸がいっぱいでした。
店舗では、お客様と一緒になって真剣に悩み、最適なギフトを探し出すプロセスに、大きなやりがいを感じました。心を込めてラッピングしてお渡しした時のお客様の笑顔は、私にとっても最高のプレゼントでした。
こうした私の「誰かの役に立ちたい」という気持ちの原点は、これまでの経験にあります。大学1年生から続けていたお寿司屋さんのアルバイトでは、幅広い年齢層のお客様と接することで、柔軟な対話力が培われました。また、中学・高校とソフトテニス部で部長を務め、多様な考えを持つメンバーを一つの目標に向かってまとめていった経験は、店舗でチームとして働く上で今も大きな糧となっています。
武器は、日々のメモ。入社2年目の私が、商品部に抜擢された理由。
入社後は「BIRTHDAY BAR 新宿ミロード店」で、販売の仕事に従事しました。12月や3月といった繁忙期は、目が回るほどの忙しさですが、チーム一丸となって乗り越え、その努力が「数字(売上)」として実を結ぶ手応えは、大きな充実感をもたらしてくれました。困難を共にする中で、チームの団結力も格段に高まったと感じています。
特に当時の店長の提案力は素晴らしく、売れ筋の商品を組み合わせたオリジナルのギフトボックスを企画し、売上を大きく伸ばしていました。同じ商品でも、見せ方や伝え方の工夫一つで、これほどお客様の心を動かし、結果が変わるのか──。その奥深さに触れられたことは、私にとって大きな学びとなりました。
一方で、店舗での仕事にやりがいを感じながらも、新たな目標が芽生え始めたのもこの頃です。店舗では、どうしても目の前にある商品でお客様に提案するしかありません。「もっと商品の幅が広がれば、提案の可能性も無限に広がるはず」。そんな想いから、商品部の仕事、特にバイヤーへの憧れが日に日に強くなっていきました。この気持ちは店長や同僚にも話していましたが、当時はまだ、そこへ続く具体的な道筋は見えずにいました。
そんな時、突然目に飛び込んできたのが、社内公募の案内でした。商品部の新たなメンバーを募るという、当社として初めての試みです。メールを見た瞬間、「このチャンスを逃すわけにはいかない」と、迷わず応募を決意しました。幸いにも、その熱意を受け入れていただくことができました。
入社2年目で商品部への異動は、社内では異例の抜擢だったと後から聞きました。直接の評価理由は分かりませんが、思い当たるのは、販売スタッフ時代から続けていたある習慣です。私はお客様の声を細かくメモに残し、「今、どんな商品が求められているか」「『BIRTHDAY BAR』に足りないものは何か」と、常に潜在的なニーズを探り続けていました。
以前、そうした姿を見ていた経営陣から「君は『BIRTHDAY BAR』にぴったりの人材だね」と声をかけていただいたことがあります。一人ひとりの日々の仕事ぶりをしっかりと見て、そのポテンシャルを評価してくれる。そんな風土が、当社には間違いなくあると感じています。
店頭で磨いた「カン」を武器に、ゼロから市場を創り出す。ヒットすると思えた確信は、お客様と向き合った日々がくれた贈り物。
2年目の6月に商品部へ異動し、アシスタントを経て、半年後にはバイヤーとして独り立ちしました。お客様が「あったらいいな」と思う商品を発掘し、メーカー様から仕入れるのがバイヤーの仕事。私はそれを、既存のメーカー様との取引と、新規メーカー様の開拓という2つのルートで進めています。
異動後すぐに、大きな成功体験となった忘れられない商品があります。SNSで「これは絶対に売れる!」と確信した商品をメーカー様と交渉し、仕入れたものです。結果、その商品は多くのお客様から圧倒的な支持をいただくヒット商品に。「ゼロから自分で市場を創り出した」という、大きな達成感を得ることができました。ヒットするという確信は、今思えば「カン」でしかありません。ですが、そのカンは、店舗スタッフとしてお客様と接し、ニーズを肌で感じてきた経験で磨かれたものだと断言できます。
新規開拓では韓国のメーカーから仕入れたフレグランスが印象に残っています。これもSNSで見つけたブランドで、日本市場でも絶対にヒットすると確信し、メーカーに問い合わせをしました。狙い通り、商品はSNSで大きな話題を呼んで、今なお売れ続けるロングセラーとなっています。まさに、自らの裁量で海外へ渡り、大きな予算の中で次のヒット商品を発掘するバイヤーの醍醐味を味わいました。
当社は少数精鋭だからこそ、若手にも大きな裁量権(やる気さえあれば誰にでもチャンス)が与えられます。私も韓国出張へ同行し、商品の買い付けを一任されました。動かせる予算規模も大きく、メーカーとの交渉から取引金額の調整まで、自分にゆだねられている部分が多くあります。さらに買い付けた後も、複雑な輸入手続きの確認や社内での承認プロセスなど、商品を店頭に並べるまでには多くの課題を乗り越える必要があります。会社の代表として臨む交渉には大きな責任が伴いますが、その緊張感こそが仕事への集中力を高め、大きなやりがいへとつながっています。
こうして大きな裁量と責任のもとで選び抜いた商品を、お客様が笑顔で手に取ってくださる瞬間の喜びは、まさに格別です。自分の力でビジネスを動かし、商品を届けられたという大きな達成感。これこそが、バイヤーという仕事の最大の醍醐味だと感じています。
私はもともと負けず嫌いで、困難な課題に直面するほど燃えるタイプです。どうすれば乗り越えられるか、したたかに戦略を立てて実行していく過程が好きなんです。そんな私の持ち味を最大限に発揮できる場を与えてもらえていることに、心から感謝しています。
夢で見た一夜の光景が、やがて一つのブランドになる。私の「欲しい」が、誰かの「嬉しい」に変わるまで。
現在はバイヤー業務と並行して、「SAHIR(サヒール)」というブランドのディレクターも務めています。このSAHIRは、2024年に私がゼロから立ち上げた新しいブランドです。
きっかけは、私自身の「BIRTHDAY BARのロゴが入っていない、シンプルな商品が欲しいな」という、一消費者としての純粋な想いでした。BIRTHDAYという単語がが入ると、どうしても誕生日のみを連想させると考えたからです。その気持ちを当時の上司に伝えたところ、返ってきたのは「それなら、岡田さんが新しいブランドを立ち上げたら?」という予想外の言葉。「そんなこと、本当にできるんですか?」と半信半疑のまま、ネーミングやコンセプトを考え、その勢いで社長にプレゼンしたところ、「面白いね、やってみたら」と承認をいただくことができたのです。入社6年目の一社員に、ゼロからブランドを創造する機会を与えてくれる。これこそ、当社ならではの懐の深さだと感じています。
「SAHIR」というブランド名にも、ちょっとしたエピソードがあります。コンセプトを考えあぐねていたある晩、不思議な夢を見ました。私がインド風の雑貨店で買い物をしているのですが、そのお店の名前に「SAHIR」という言葉が含まれていたんです。その瞬間に目が覚め、忘れないようにとスマホにメモをして、再び眠りに就きました。
朝、メモを見返すと、とても響きが良く、美しい言葉の並びに見える。これだ!と、ネーミングが決まった瞬間でした。まさに「降りてきた」という感覚で、だからこそ、このブランドにはひときわ強い思い入れがあります。SAHIRは、日常に「自分らしさ」をプラスするライフスタイルブランド。「シンプル以上、クセ未満」をテーマに、商品のデザインも私が手がけています。ECサイトでの予約販売も順調で、自分の力で生み出したブランドが、今まさに大きく一歩を踏み出そうとしているのを見守っているところです。
当面の目標は、このSAHIRを成功させること。そして将来的には、バイヤーとブランドディレクターという二つの軸で、さらにキャリアを深めていきたいです。いずれは当社の経営の一角を担う存在として、会社に貢献できたらと考えています。
経験年数に関係なく、誰にでも大きなチャンスがある。そして、自ら道を拓いていくことができる。それが、当社の最大の魅力です。私の背中を追いかけて、新たな挑戦をしてくれる方に会える日を、心から楽しみにしています。