国際線の客室乗務員から大学職員に転身。さまざまな業務に従事し、東北大学のさらなる国際化・多様化に貢献する。

国際線の客室乗務員から大学職員に転身。さまざまな業務に従事し、東北大学のさらなる国際化・多様化に貢献する。

国際線の客室乗務員から大学職員に転身。
さまざまな業務に従事し、東北大学のさらなる国際化・多様化に貢献する。

このストーリーのポイント

  • 自分の強みを活かせる仕事と判断し、新卒で海外の航空会社に入社
  • コロナ禍を機に新たなキャリアを模索。東北大学の職員となる
  • 業務を通じて、国際性・多様性を重視する東北大学で働く喜びを実感する

世界とのつながりを大切にしたい一方、地元宮城をもっと活性化させていきたいと思っていた。一旦は海外で働くものの、友人との会話をきっかけに東北大学の職員が国際性と多様性、社会貢献、そのすべてを実感できる仕事だと知る。大学にはさまざまな業務がある。入職後はそれらを一つひとつ経験する中、ゼネラリストへの道を歩み始めている。

PROFILE
国立大学法人東北大学

佐藤 勝偉

総務企画部基金・
校友事業室基金係
2021年入職(中途)

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宮城県出身。何事にも本気で取り組むのがモットー。高校時代は野球部のキャプテンを務める。大学では人間学部に在籍。英語や中国語の習得にも励み、中国語検定の最高級にも合格した。新卒で海外の航空会社に入社。コロナ禍になってからは勤務できない日々が続き、新たな活躍の場を求めて東北大学に転職する。留学生サポート担当を経て、現在は学生の挑戦プロジェクトを支援する。

日本と世界の架け橋になりたいと、海外の航空会社に入社

大学3年次に交換留学生として、中国の温州大学で1年間学びました。その経験は、私の人生にとって大きな出来事となります。それまでは、大学を卒業したら地元の中学か高校の英語教員になろうと思い、教職免許の取得を目指していました。海外で暮らすうちに、「もっと自分の強みを活かした仕事があるのではないか」と気づき、将来を見つめ直したんです。

「自分の強みとは何か」を考え、導いた結論がコミュニケーション能力と語学力でした。中国ではさまざまな人々と接しました。また元々、英語は得意でしたが留学したことで思いのほか中国語も上達していました。それらを活かせる仕事として、新卒でアジア系の大手航空会社に入社。「日本と世界との架け橋になりたい」という想いを持って、国際線の客室乗務員として勤務しました。

航空会社での最初の2年間は、充実していました。世界を駆け巡る日々が続いていたからです。転機となったのが、新型コロナウイルスの感染拡大でした。フライトのキャンセルが続き、会社は休業状態。私自身も、一年半ほど自宅待機を余儀なくされてしまいました。

正直言って不安でしたね。「復帰の目安が一切見えない」「解雇されてしまうのでは」…。そんな気持ちに苛まれたからです。「今後のキャリアを考えれば、思い切って転職した方が良いのでは」という葛藤も徐々に生まれてきました。そのため、たまに転職サイトを眺めることもありました。

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友人の勧めをきっかけに、東北大学での仕事に興味を抱く

東北大学に興味を持つきっかけとなったのが、友人のアドバイスでした。「自分の強みを活かして将来は、地元宮城の国際化・活性化に貢献したい」と、私が志を語った時に「東北大学の職員にはこういう業務がある。大学として今、国際化に積極的に取り組んでいる。応募してみたらどうか」と薦めてくれたのです。実は、その彼も当時は東北大学の職員。自分の仕事ぶりを生き生きと語る姿を見て、「東北大学で働く道もあるのか」と気付くことができました。

ただ、「チャンスがあるなら自分でもやってみたい」という気持ちがあったものの、すぐには踏ん切りが付きませんでした。「大学職員は何をするのか」が今一歩イメージできなかったですし、前職とのギャップもすごくありそうだと思ったからです。

自分に合うか、合わないかを判断するためにも、まずは東北大学がどんな大学なのかを色々調べました。最終的な決め手となったのが、多様性に富んだ環境でした。東北大学は、1913年に日本で初めて女子大学生を受け入れた大学です。国際性に配慮したキャンパス整備も進めており、大学のランキングを見ても、国際化への取り組みが高く評価されています。加えて、優秀な研究者も多数揃っています。前職での経験や留学経験を活かし、東北大学のさらなる国際化に貢献していきたいと考えたのです。

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クラウドファンディング業務に従事

東北大学に転職して最初に配属されたのが、教育・学生支援部留学生課国際交流サポート室です。外国人留学生を対象とする、在留資格認定証明書(COE)の代理申請や住宅情報、生活情報の提供などが主な業務でした。私も留学経験があったので、留学生が何に不安を抱くかがわかっていたこともあり、新たな仕事にスムーズに入ることができました。

半年後、総務企画部基金・校友事業室基金係に異動しました。基金・校友事業室とは、「創立100周年記念事業募金」を原資として2008年に創設された「東北大学基金」における渉外活動を推進する部署です。具体的には、大学基金の管理やクラウドファンディングを活用した支援、同窓生を含めた「東北大学コミュニティ」の連帯意識の醸成・強化などの業務を行っています。

私が主に担当しているのは、学生の挑戦を応援する未来共創型クラウドファンディング企画「ともに・プログラム(ともプロ!)」の事務局業務です。これは、本学を応援してくださる方々に支援をいただきながら、学生の持つ豊かな発想力を活かしたプロジェクトの実現をバックアップしていこうというプログラムです。学生がプロジェクトに公募し、審査を通過したら、本学独自のクラウドファンディングプラットフォームを活用して目標とする資金の獲得を目指せる他、それぞれのニーズに合わせた広報支援やネットワーク構築支援を得ることができます。同じ業務を担当する先輩職員と一緒に、「ともプロ!」の企画・運営や学生へのサポートを推進していくのが私の主な役割です。

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学生に最後まで伴走。プロジェクトの数だけ感動を味わえる

当初は私自身、クラウドファンディングの知識は全くありませんでした。「どうやってお金を集めれば良いのか」、「どのように発信したら相手の心を惹きつけ応援してもらえるのか」なども分からない状態だったため、最初は苦労の連続でした。

とは言っても、先輩方に教えてもらってばかりというわけにもいきません。まずは、自分で考えてみる。その上で、「こういう表現ではどうでしょうか」と確認を求めると共にアドバイスをいただき、少しずつコツを習得していきました。改めて実感したのは、事実を並べるだけではなく、学生が頑張っている姿をアピールすることが何よりも大事であるということ。学生がひた向きにチャレンジしている姿は絵になるし、人々に刺さりやすいと感じました。

また、業務を進める上では、前職での経験やスキルも大いに役立っています。例えば、臨機応変な対応力です。学生はプロジェクトにおいてさまざまな悩みや課題に直面します。それらの声を聞き、伴走していくことも私の仕事です。また、実際に寄附をしていただける方や「ともプロ!」に興味を持ってもらえた卒業生への対応もすごく重要になってきます。一つひとつ丁寧に耳を傾け、迅速に対応できているのも、客室乗務員として多少なりとも培ったものがあるからだと思っています。

「ともプロ!」にはこれまで2年間携わりました。初年度は8プロジェクト中、7つのプロジェクトで目標金額をクリア。自分が考えたこともない位の金額を学生たちと一緒に集めることができ、とても感激しました。さらに二年目は、初年度の反省を踏まえて、参加する学生向けの説明会を開き、よりクラウドファンディングに入りやすい環境を構築したり、過去の寄附者や卒業生に向けて約10万件にも上るDMを発送しました。その甲斐もあって、初年度の約1.7倍もの資金を獲得することができました。
目標金額の達成も嬉しいのですが、それぞれのプロジェクトに伴走し、学生の自由な発想の実現をサポートできた時には大きなやりがいを感じられます。見事にやり遂げることができた時には学生と喜びを分かち合えています。プロジェクトの数だけ、感動を味わえると言って良いでしょう。

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「ともプロ!」を社会にインパクトを与えるプログラムに

これまで20近くものプロジェクトを応援した中で、最も印象深いのは「隠れフードロスを特産品に!捨てるを活かす、農家応援プロジェクト」です。これは、規格外野菜として廃棄される食材を回収・活用して新商品として開発し、農家も消費者にも笑顔になってもらおうという試みです。
プロジェクトを発案した学生から、「農家とコネクションを持ちたい」との相談が寄せられたため、私が学内の先生方に聞き回り、山奥の農家を紹介してもらい、学生と一緒に訪問しました。現地では、私も農家の方々や学生と一緒になって、吹雪の中ニンジンを掘り起こし、規格外の野菜を収穫するお手伝いをさせていただきました。大学職員として吹雪の中、学生や農家の方々と会話をしながら野菜掘りをするのは初めてのことであり、不思議な気分でした。でも、学生は嬉しそうでしたし、「佐藤さんのおかげで新しいスタートを切ることができました」と温かい言葉が寄せられた時には感無量でした。

「ともプロ!」を通じて、バイタリティーに溢れる学生らと接し、プロジェクトやクラウドファンディングをどう戦略的に進めていったら良いかと幾度も協議を重ねた経験は、私にとっても貴重でした。相手のニーズを把握するスキルが一段と高めることができた気がします。また、地域にも貢献できているのではと思っています。
これからは、「ともプロ!」を社会にもっともっとインパクトを与えるようなプログラムにするのが目標です。「ともプロ!」をきっかけにして、いつの日か日本を代表する起業家を輩出することができたらと思うと、ワクワクしてきます。そのためにも、引き続き学生が参加したくなるような企画にすることが、今の私の課題です。

東北大学と海外との窓口として活躍できることを期待

大学職員としては、まだまだ駆け出しの私ですが、東北大学で働く面白さは実感できています。大学職員といっても、業務はさまざまです。それぞれにやりがいがあり、転職をしなくても多岐にわたる業務を経験できます。それに、色々な分野の先生や学生と関われるので、多角的に物事を捉える力を養えます。ゼネラリストとして成長していくには、格好の職場であると言って良いでしょう。
私自身の今後の目標は、まずは海外からの寄附の強化です。現状では、国内からの寄附が大多数を占めています。卒業生の中には、世界を舞台に活躍されている方も多いので、そうした方にも改めてアプローチしていきたいと思っています。
さらにその先のキャリアとしては、国際系の業務にも興味があります。東北大学と海外との窓口となる部署で、各国大使館の視察対応、学術交流協定や各種コンソーシアムによる海外大学との連携を推進していくこと。そうした仕事にも関わり、東北大学のさらなる国際化・多様化を支えていけるよう、語学力のアップはもちろん、業務の遂行力や戦略の構築力も磨いていきたいと思っています。

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