“トンネルの佐藤”、その誇りを胸に。現場で育んだ信頼とともにさらなる高みへ。
“トンネルの佐藤”、その誇りを胸に。
現場で育んだ信頼とともにさらなる高みへ。
このストーリーのポイント
- 全国の現場を渡り歩き、トンネル工事の技術者として成長を遂げてきた
- 五感で感じるトンネル工事、現場にいるからこそのやりがいがある
- 会社と人が「個」の成長を後押しする社風がある
全国のトンネル工事で経験を積み、現場の最前線で技術と安全意識、信頼関係の重要性を学んできた。上司の助言や充実した研修制度に支えられることで成長し、「市毛がいる現場は安心」といわれる現場監督を目標に日々研鑽を重ねている。
佐藤工業株式会社
市毛 廉
札幌支店 土木作業所
2021年入社/理工学部 理工学科卒

神奈川県出身。工業高校・大学で土木工学を学び、佐藤工業へ入社。長野県・北海道・和歌山県など全国のトンネル工事に携わり、掘削から貫通までさまざまな工種を経験。特に北海道での生活が気に入り、現在は自ら志願して札幌支店の土木作業所に勤務している。
「心臓にまで響く轟音」。それが、“佐藤工業の一員”になった実感だった。
ものづくりの世界に興味を持ったのは高校生の頃です。自分の周りにはものづくりに携わる人たちが多かったこともあり、将来はものづくりに関わる仕事に就きたいと考えるようになりました。そして、高校を選ぶ際に、早くから建設分野に触れたいという気持ちから工業高校を選びました。建設科で学ぶうちに、建築か土木かで迷いましたが、より「スケールの大きさ」を感じられる土木に心を惹かれ、大学では土木系の学科へ進むことにしました。
大学では研究室の教授が佐藤工業のOBであり、その方から「市毛君の性格なら佐藤工業が合うんじゃないか」と勧められたことが会社を知るきっかけになりました。当時は別の企業もいくつか検討していたのですが、業界経験があり各社の社風も知っている教授の目から見ると、協調性を大切にする真面目なタイプの私には佐藤工業が合うだろう、と考えてくれたのだと思います。
そこで、佐藤工業の現場見学に参加し、先輩社員と会話をさせていただく中で、社員の皆さんの柔らかい雰囲気を感じ「ここで働きたい」と一気に志望度が高まりました。そこからは佐藤工業一本に絞っての就職活動だったので、内定をいただいた時は嬉しかったのと同時に、ほっとしたことを覚えています。
入社後は1ヵ月間の研修を経て、2つの現場と設計業務を経験するローテーション研修に入り、私は長野県のトンネルと北海道のトンネルの2つの現場を経験しました。
最初の配属先であった長野県のトンネル工事現場で受けた衝撃は今でも印象に残っています。佐藤工業といえば、「トンネルの佐藤」。その代名詞とも言える事業の現場に、最初の配属で携われることが決まった時は、素直に嬉しかったです。そして、初めて掘削中のトンネル内に入った経験は今でも忘れることができません。特に発破の瞬間、火薬が炸裂する、心臓にまで響く轟音は、教科書では決して知ることのできない迫力があり、「自分は佐藤工業の一員になったんだ」とあらためて実感した瞬間でもありました。

技術者だけが知る「抜けた瞬間」。黒部の伝説を継ぐ、「トンネルの佐藤」としての誇り。
かつて黒部川第四発電所工事において、黒部ルートの掘削を担当した佐藤工業は、トンネル貫通時のズレはわずか2㎝という当時としては驚異的な精度で世間を驚かせたそうです。これは先達が築いた「トンネルの佐藤」というブランドを表す象徴的なエピソードです。私は佐藤工業の一員としてこのブランドを守るために、「技術を磨き続ける」という使命感を持つと同時に、「現場の安全を守る意識」を強く持ち続ける姿勢も重要だと考えています。
掘削中は常に山という巨大な自然と相対し、崩落する可能性と対峙し続けるため、現場に立つためには緊張感を持ち続ける姿勢が必要不可欠です。トンネル工事現場の安全意識の高さを表す一例として、「切羽(きりは:トンネル掘削の最先端部分)に背中を向けるな」という鉄の掟があります。これは、切羽に少しでも変化があれば事故につながる前に退避できるようにするため、現場に立つ一人ひとりが常に切羽を視界に入れて変化を察知できるようにするためのルールです。そのため、誰かが背中を向けようとすれば、立場に関係なく「背中を向けるな!」と鋭く声を掛け合っています。
最初の現場では約半年の経験を積み、今お話したような安全への意識を体と心に刻みました。そして、次の現場として、北海道の山岳トンネルに移りました。通常、ローテーション研修はトンネルとトンネル以外の2つの現場を経験しますが、私の場合は連続でトンネルの現場に配属されたのです。「トンネルの佐藤」を体現する現場を複数経験できたことは、私にとっては幸運でした。この現場では、進捗管理や出来形の測量など、品質管理の基礎をしっかり学ぶことができました。
そして入社から1年半が経過し、いよいよ本配属の時期を迎えました。3件目となる現場は和歌山県のトンネル。掘削が半分ほど進んだ段階での着任です。この現場でトンネルの貫通まで携われたのは何物にも代え難い経験となりました。トンネルが貫通する瞬間は、工事関係者にとって何度経験しても格別の感動を覚えるものです。そのトンネルが貫通したのは夜中でしたが、当社現場職員・協力会社のほぼ全員が集まってその瞬間を見届けるほど、特別な出来事でした。事前の測量で確信を持っていても、実際に貫通して向こう側の景色が見えるその時までは図面通りに掘れているか不安が残ります。だからこそ、あの「抜けた瞬間」、坑内に差し込む光には現場に携わってきた人だけが感じられる、言葉には表せないような美しさが存在しました。黒部ルートの掘削に携わった先輩方も、同じ感動を味わったのだと思うと、時代を超えてトンネル工事の醍醐味を共有できていると感じました。
強い緊張感を維持し続けた先にある「貫通」というゴール、現場に立つ全員にとっての共通の目標があるからこそ、トンネル工事の現場には独特の一体感があります。そして、貫通した瞬間には「この仕事に携わることができて良かった」という気持ちで心が満たされました。

「弱音を吐いてもいい」塞ぎ込んでいた私を変えた、上司の厳しく、真剣な言葉。
和歌山での工事が終盤に差し掛かり、次の配属先を決める面談があった際、私は「北海道に戻りたい」と希望を伝えました。なぜならローテーション研修時代に経験した北海道での暮らしや風土がとても気に入っていたからです。その希望が叶い、現在は再び北海道の現場で働いています。今回の現場は工事の着工段階から携わることができ、ゼロから現場が動き出すプロセスを経験できたことは、私のキャリアにとって非常に大きな財産になっています。
トンネル工事はまず仮設備、つまり水や電気、換気、作業ヤードなど、掘削を始めるための準備からスタートします。その基盤が整って、ようやく掘削工事を始めることができます。このトンネル工事の工期は約46ヵ月。日々少しずつ掘り進めますが、進捗に応じてやるべき作業は刻々と変化していきます。現場は常に流動的で、同じ日は一日もありません。トンネル工事の魅力は、やはり貫通の瞬間に凝縮されていますが、日々の業務でも大きなやりがいがあります。特に、工事計画を自分で立て、それが円滑に進んだ時は大きな達成感を得ることができます。
もちろん難しさや壁に直面すること、協力会社の意見をまとめるのに苦労すること、初めての作業の計画に悩んだりすることもあります。経験を積めば積むほど「現場監督として自分の力でなんとかしなければならない」という気持ちの焦りも生まれました。また、自分の力では解決できない課題も多く、塞ぎ込んでしまうようなことがありました。そんな時に私を支えてくれたのが、ある上司の存在です。私が工事計画の作成に行き詰まっている姿を見て、その上司は厳しく、そして真剣に向き合ってくれました。その上司から言われた「弱音を吐いてもいい。分からないなら分からないと言いなさい」という言葉は、自分の気持ちを口に出すことが苦手だった私にとって大きな転機となりました。その日以降、仕事で行き詰まった際には周りの人の力を借りることを心掛けることにより、現場を円滑に指揮できるようになってきたという実感が生まれました。その上司には本当に感謝しています。

現場で学んだ「信頼」の価値。そして、未来の後輩たちへ。
佐藤工業は研修体制が充実しています。同期と集まる研修や、資格取得のための毎月のフォローアップなど、学ぶ機会に恵まれていると実感しています。私は一級土木施工管理技士をはじめとしたさまざまな資格を取得しました。資格取得に向けて、問題集や参考書などを会社から提供していただいたおかげで無事に合格することができたのだと思います。資格取得を会社が手厚く支援してくれるのは大きな魅力で、次はコンクリート技士の取得もめざしたいと考えています。
長いキャリアを見据えた時、経験、知識、資格取得といったさまざまな角度からのスキルアップは必要です。「市毛がいる現場なら安心だ」と言ってもらえるような現場監督、私自身が思い描く理想像に近づくためにも学ぶ姿勢を欠かすことはできません。また、現場のことが少しずつ分かるようになってきて、つくづく痛感させられるのは、現場で最も重要なのは社内外の方々との信頼関係だということです。佐藤工業だけでなく、さまざまな協力会社と工事完成という一つの目標に向かっていくためには、信頼は必要不可欠な基盤です。そして、信頼されるためには、まず自分が他人を信頼して素直に向き合うことが大切なのだとこれまでの経験から学びました。一朝一夕で身に付くものではありませんが、信頼される現場監督になるためにも人間力を鍛えていきたいです。
そうした私の目標を力強く後押ししてくれるのが、佐藤工業の環境です。魅力はなんといっても、業界水準よりも手厚い待遇の良さと、人の雰囲気の良さだと思います。給与は正直なところ、入社前にイメージしていたよりも多くいただいています。また、土木と聞くと体育会系をイメージしがちですが、実際は穏やかで優しい人が多い。職人さんたちも気さくで、こちらが「教えてください」と言えば、笑顔で丁寧に指導してくれます。さまざまな切り口で佐藤工業の良さを語りましたが、「人が育つ環境」が整っているという点に集約できるのではないでしょうか。
最後に、私自身がどんな後輩と働きたいかと聞かれれば「何事にも興味を持ってくれる人」と答えます。私自身、入社当初は分からないことばかりで、飛び交う専門用語も全く理解できませんでしたが、「教えてください!」と臆せず聞き続けているうちに、できることが着実に増えていきました。質問を恐れない姿勢が、成長の一番の近道だと思います。
これまで「トンネル一筋」でキャリアを重ねてきましたが、今後のキャリアでどのような現場が待っているのかと想像すると、期待に胸が膨らみます。自分が関わった現場を、家族や友人にも誇りに思ってもらえるような仕事をしていきたいですね。

