組織の知恵を結集し、スケールの大きな現場を動かす。佐藤工業のローテーション教育で培う「連携力」。
組織の知恵を結集し、スケールの大きな現場を動かす。
佐藤工業のローテーション教育で培う「連携力」。
このストーリーのポイント
- 入社後は、2つの異なる工種を経験する15ヵ月のローテーション教育を実施
- 2・4・7・10年目以降の集合研修や、専門知識を学べる研修も豊富
- 社員の本音を反映させることで、進化し続ける教育制度
「建設品質。」を掲げ、真摯なものづくりに挑み続ける佐藤工業。高品質な構造物を造る会社を支えるのは人材であるといった考えのもと、研修制度の整備、拡充を続けている。本記事では土木職向けの研修・教育制度を特集。約1年半かけて2つの現場を経験する新入社員教育を中心に、特徴的な制度を紹介する。
【新人教育・ローテーション】1年半で2つの現場を経験。「応用力」のある技術者の土台をつくる。
トンネルや道路、高架橋など、人々の暮らしを支える社会インフラ整備を担う土木の仕事。数年がかりでものづくりをするそのスケールの大きさに、「どんな役割を担うのか」「何から身につけていけばいいのか」イメージがわかない人も少なくないでしょう。佐藤工業では、土木職の皆さんが一歩ずつ着実に成長できるための研修を段階的に設計しています。ここからは入社後の流れに沿って、その内容を紹介していきます。
入社後は、まず1ヵ月間導入研修を行います。前半の2週間は、建築職や事務職など他職種も集まった新入社員全員で集合研修を行い、ビジネスマナーなど社会人として必要な基礎知識を身につけてもらいます。
後半の2週間は、現場配属前に必要な基礎知識を身につけてもらえるよう、土木職の社員のみで分科会を実施。測量や地盤・コンクリートに関する基礎学習や基本実習に加え、設計・製図ツール「CAD」の使い方を学んでもらいます。さらに、近年の施工現場で不可欠となりつつある「ドローン測量」もカリキュラムに導入しています。例えば土工事の際にドローン(無人航空機)を使うことで、上空からの撮影による出来形管理(構造物の位置や寸法等がそれぞれ基準を満たしているかの確認)や、掘削・盛土の進捗管理が効率的に進められるようになりました。ドローンに触れるのが初めてでも心配はいりません。段階的に指導し、導入研修が終わる頃には現場で活用できる基本操作を習得できます。
また分科会では、現在施工中の現場の見学も実施しています。現場の所長から、工事のプロセスについて説明を受けるとともに、現場の熱量を直に感じることで「働く自分の姿」を具体的にイメージしてもらうことが狙いです。
導入研修修了後のゴールデンウィーク明けからは、いよいよ計15ヵ月間にわたるローテーション教育が始まります。ローテーション教育とは、2つの土木工事現場を6〜8ヵ月程度ずつ経験する研修です。また、最初に配属された現場から次の現場に移るまでの間に、設計部で1ヵ月間設計研修を行います。
土木工事は、建設する構造物の種類によって、施工方法が大きく異なります。トンネルと高架橋では当然大きく異なりますが、同じトンネルでも山岳トンネルと都市部のシールドトンネルでは、工法はもちろん、測量の方法、品質管理で注意すべきポイントなどは大きく異なります。ローテーション教育では、こうした施工方法の異なる現場を経験できるよう配慮しています。
あえて複数の現場をローテーションする狙いは、工種ごとに工事の進め方がどう違うのかを実務の中で感じてもらうためです。上述したように、工種が変わることによって、施工管理の方法や注意すべきポイントは大きく変わりますし、現場の雰囲気、天候トラブルの種類なども現場ごとに特徴があり、それが経験の幅を広げます。
また、設計研修では、型枠支保工や土留支保工などの仮設構造物についての計算や、構造力学、土質力学といった基本的な知識まで幅広く学びます。仮設の設計は、本社の設計部に限らず現場の施工管理職が担うことがあるため、知識とスキルの習得は欠かせません。
ローテーション教育中は配属された現場によって経験できる業務に違いがあるため、「何をどこまで習得できているか」定量的に把握することが難しくなります。そこで、習熟度を可視化する仕組みとして、「測量」「写真撮影」などの項目ごとに到達目標を設定し、達成度を定期的に振り返る機会を設けています。達成度は配属先の上長のフィードバックがあるため、習得できた項目と、まだ習得できていない項目を客観的に見つめ直すことが可能です。その振り返りを次につなげてもらい、さらなるステップアップをめざしてもらいます。
新入社員のうちにさまざまな工種に携わった経験は、今後どの現場に配属、異動したとしても活きてきます。実際、新入社員からも「2つの現場での違いを比較できて勉強になった」「施工管理の基本知識や技術を身につけられて成長できた」という声が多くあがっており、研修での経験が、この先現場で活躍するための揺るがない土台となっていることが伺えます。

【年次別・専門研修】創業の地・富山で学ぶ。技術と共に継承される佐藤工業の「DNA」。
ここからは2年目以降に開催される階層別研修について紹介します。階層別研修は、2年目、4年目、7年目、そして10年目以降と、年次に合わせて求められる知識や技術を習得できる集合研修としています。研修の目的は、単にスキルの習得に留まりません。同期とのつながりを維持し、一体感を形成する、いわゆるエンゲージメント向上に貢献する研修も実施しています。
なかでも社員から高い評価を得ているのが、佐藤工業創業の地である「富山県」で行う集合研修です。単なる座学や見学にとどまらず、佐藤工業ゆかりの地で会社のルーツに触れ、「自分たちがどのような歴史の上に立っているか」を肌で感じ、会社への誇りや愛着を感じてもらうとともに、全国で活躍する同僚との「絆」を再確認できる貴重な機会となっています。
富山での研修のうち、入社2年目の夏に実施されるプログラムでは、創業の地で会社の歴史に触れ、佐藤工業で受け継がれてきた技術と精神を学びます。この研修で大きな意味を持つのが、配属後の約1年間、それぞれの現場で経験を積み、成長した同期たちとの再会です。初めての現場で壁にぶつかり、悩みながらも乗り越えてきた経験を共有し合う時間は、何にも代えがたい「安心感」と「活力」を与えてくれます。「また明日から頑張ろう」。富山の地で深めた会社とのつながりと同期との絆は、若手技術者たちの心を支える大きな財産となっています。
キャリアを重ね、仕事の面白さと厳しさが身体に染み込んできた入社11〜13年目の社員を対象とした研修では、より実践的な「佐藤工業の魂」に触れる場所へと向かいます。行き先は、佐藤工業が施工を手掛けた富山県の「仙人谷ダム」です。当時、仙人谷ダムを建設するために造られたトンネルの地下には高熱の断層が通っており、「高熱隧道」と呼ばれるまでに現場の温度は上昇。史上類を見ないほどに過酷な環境下での作業は歴史的な難工事となりました。今なお周辺には湯気が立ちのぼっており、当時の工事がいかに過酷だったかが伺えます。「自分なら、この難局にどう立ち向かうかを想像する良い機会になった」と、感銘を受けている社員もいました。仲間との絆を深め、この仕事をする意義を改めて振り返る機会は、技術力の向上と同じく重要です。佐藤工業で働くことに誇りを持ち、長く活躍してもらえる様、こうした研修も大切にしています。
ここまでは、全員が受講する新入社員研修や同期研修を紹介してきました。これらに加え、現場で求められる専門性をさらに磨きたい社員に向けて、積算やICT分野を学ぶ選抜制の研修を実施しています。研修は一定期間ごとに受講メンバーが入れ替わるローテーション形式で行っており、対象は30歳以下の若手社員です。積算研修は6ヵ月間、ICT研修は3ヵ月間のプログラムで実施しています。
積算研修では、大きく分けて2種類の積算業務を学びます。1つが「官積算」で、施工内容や仕様に則った適正な工事費を算出する計算方法です。官積算は、基本的には発注者が算出するものですが、受注者側でも計算の考え方を理解できていると、提示された金額の内訳やその根拠が読み解けるようになります。
一方、発注者から提示された価格を踏まえ、私たちが「実際に工事するのにいくら掛かるのか」を把握するために欠かせないのが、2つ目の「ネット積算」。官積算で算出された予定価格を目安にしながら、原価を積み上げ利益も見込んだ工事予算を計算する方法です。所長になるには欠かせないスキルですが、若手のうちから身につけておくことで、協力会社への見積もり依頼の際に予算を意識しながら適切な金額を検討できるようになり、コストの面からも工事を支える力が養えます。
またICT研修では、最先端のドローンの操縦や、3D・CADの操作方法を実習します。最先端のデジタル技術に触れてもらい、現場の生産性や業務効率をさらに高めてもらうことが狙いです。これらの研修をローテーションすることで、より多くの社員に専門知識を身につけてもらい活躍してほしいと考えています。

【海外研修】シンガポールで半年間の実務。海外への適性を確かめ、新たな視点を日本に持ち帰る。
「いつかは世界を舞台に仕事がしてみたい」。そんな漠然とした憧れを、確かな自信に変えるチャンスが佐藤工業にはあります。入社2年目以降の社員が、半年間シンガポールで勤務する海外研修制度です。
この研修は、決して「海外勤務者」を選抜するものではありません。「海外でやっていけるか不安」「まずは少しだけ空気に触れてみたい」。そんなシンプルな動機から参加する社員も少なくないのが特徴です。
異国の地で、言語も文化も異なるスタッフと汗を流す半年間。そこには、日本の現場の常識が通用しないもどかしさもあれば、多様な価値観がぶつかり合うからこそ生まれる柔軟性もあります。ここで得られるのは、語学力や技術だけではありません。「日本ならこうするのに」という枠を取り払い、「こういうやり方もあるのか」と柔軟に最適解を導き出す力です。
半年後、参加者が日本に持ち帰るその「新しい視点」こそが、これからの日本の現場を変革する鍵になります。世界を知ることで、日本のものづくりがもっと面白くなる。そんな体験を、若手のうちから味わって欲しいと考えています。

【資格取得支援】「1級土木施工管理技士」合格は、現場全員のプロジェクト。
建設現場の最前線で指揮を執る「監理技術者」。佐藤工業ならではのスケールの大きな仕事に中心となって挑み、その責任ある立場を任されるために必要となる資格が『1級土木施工管理技士』です。
より高いキャリアを目指す社員にとって、資格取得は重要なステップです。しかし、その道のりは容易ではなく、日中の現場作業に加えて夜間は資格勉強を行う、という厳しい日々を乗り越える必要があります。そんなハードな日々を、佐藤工業は決して社員一人に背負わせません。
資格取得は「個人の孤独な戦い」ではありません。佐藤工業では、これを「現場全体で挑むチーム戦」と捉えています。具体的には、勉強時間を確保するための環境面の整備と試験のための学習支援を行っています。
試験が近づくと、会社から各現場へ正式に協力要請が出されます。これを受けた上司や先輩社員は、受験者が勉強に注力できるよう業務量を調整し、時間を捻出するなど現場全体で受験者をバックアップする体制を構築しています。
また学習面では、合格に向けて模擬試験問題の配布や、外部講師を招いた講義の実施などの支援を行っています。模擬試験の結果が返ってくれば、すでに資格を持つ先輩たちが自分のことのようにアドバイスをくれることもあります。こうした協力体制が、次なる成長への一番の原動力になるのです。
さらに万全の学習環境に加え、コンクリート技士や技術士など会社指定の推奨資格の取得時には褒賞金を支給。あなたの「学びたい、成長したい」という熱意を、確かな制度と報酬で強力にバックアップします。
さらに、土木職では一度取得した資格を形骸化させないようCPDS(継続学習制度)を取り入れています。これは、土木施工管理技士などの有資格者が、関連分野の学習を継続していることを記録、証明するものです。CPDSに認定された講習を受講することで、土木の最新技術や工法などを学ぶ機会が増えるため、技術力や専門性の向上にもつながります。

【連携力】ローテーションで築ける「つながり」がライフラインに。組織の力で巨大な建設に挑む。
トンネル、ダム、橋梁。私たちが向き合うのは、地図を変えてしまうほど巨大で、数年がかりで挑むプロジェクトばかりです。自然相手の土木現場に、二つとして同じ条件はありません。時に、現場に集った社員が知恵を出し合って前例のない難題に挑んでいくことが求められます。このような環境下で高いパフォーマンスを引き出すためには「社内で協力し合える仲間を作ること」が不可欠です。これまでに紹介した各研修や制度で共通した大きな狙いもここにあります。
仕事を続ける中で、マニュアル通りにはいかない想定外の事態や、判断に迷う瞬間に何度も直面するでしょう。そんな時に最も身近で気軽に頼れる存在が、ローテーション教育で出会った「仲間」たちです。
「この地盤のトラブルなら、あの現場の先輩が詳しいはず」「以前教わったあの人に聞いてみよう」。そうやって顔が浮かび、迷わず聞ける関係性こそが、佐藤工業における最強の武器です。部署や年次を超えて「知恵を貸してほしい」と言える。そして、その声に誰もが応えてくれる。この安心感があるからこそ、若手社員であっても恐れずに難局に立ち向かえるのです。
組織の知恵と経験を結集して、一人の力では到底動かせないものを動かしていく。そんな土木ならではの「スケール」と、チームで成し遂げる感動を、ぜひここで味わってください。

【人材育成の核心】完成形はない。社員の声で「進化し続ける」教育制度。
私たちが掲げる「人間尊重の経営」。この言葉に込めたのは、社員一人ひとりの声を何よりも重んじるという決意です。そのため教育制度の内容は、各社員の意見を直接ヒアリングしつつ随時内容をアップデートしていきました。現場の声を聞き、時代に合わせて柔軟に形を変えていくことこそが、佐藤工業の教育の在り方であると考えています。
その象徴と言えるのが、それぞれの集合研修後に実施している「本音の座談会」です。土木事業のトップと膝を突き合わせて開催されるこの場では、若手からの忌憚のない意見が飛び交います。実際に、好評を得ている「2年目の富山研修」も「同期との繋がりをもっと持ちたい」という参加者の「本音」から生まれました。
本音で語り合える「横の繋がり」に加え、私たちが次なるステップとして掲げているのが、世代を超えた「縦の繋がり」の強化です。
具体的には、これまで中堅社員が中心となって、工種やテーマ別に年次を横断して行われてきた技術者間の情報共有・意見交換の場である「部会」に、若手社員も参加できる体制を整えました。
専門性の高い議論の場に若手社員があえて参加し、先輩たちと意見を交わす。こうした取り組みを通じて、技術や精神が次の世代へ直接継承されていくことこそが、個人の成長、そして100年先の「建設品質。」を支える基盤になると信じています。
佐藤工業には、あなたの挑戦を全力で支える環境があり、喜びも苦労も分かち合える仲間がいます。ぜひ佐藤工業で、形にも心にも残る仕事を一緒に成し遂げましょう。

