入社後の不安を「現場で動ける力」に。佐藤工業の伴走型OJTと集合研修で、迷いを自信に変えていく。

入社後の不安を「現場で動ける力」に。佐藤工業の伴走型OJTと集合研修で、迷いを自信に変えていく。

入社後の不安を「現場で動ける力」に
佐藤工業の伴走型OJTと集合研修で、迷いを自信に変えていく。

このストーリーのポイント

  • 研修ノートによって、仕事の基本であるPDCAを回し続ける習慣が身に付く
  • 海外でキャリアを積みたい社員を、海外研修制度でバックアップ
  • 一級建築士の取得強化に向け、協力要請を行い集中学習時間を確保

佐藤工業は160年を超える歴史の中で、国内に加え海外でも技術力を活かした建築事業を手がけてきた。本記事では建築職の研修・教育制度に焦点を当て、研修ノートを使った独自の指導方法や、一級建築士の取得支援をはじめとする独自の取り組みを紹介する。

【OJT・新人研修】あえて「手書き」にする理由。日々のPDCAで仕事の基本を体に染み込ませる

建築の仕事に興味を持つ皆さんは、街の景色に残るものづくりに関われる期待がふくらむ一方で、「何から覚えればいいのか」「現場で通用する力をどう身につけるのか」などのイメージがつかみにくいと感じる人も多いはずです。佐藤工業では、現場で必要な考え方と業務を段階的に身につけられるよう、さまざまな教育制度を整えています。ここからは、入社後の流れに沿いながら、どんな研修があるのかを順番に紹介します。

まず新入社員の皆さんには、全職種合同の全体研修を終えた4月中旬から2週間、導入研修を受けてもらいます。この研修は配属後に現場でスムーズに動けるよう、必要最低限の知識を集中的に身につけてもらうことを目的としており、前半の1週間は東京で実施します。ここでは施工管理の要となるQCDSE(品質・原価・工程・安全・環境の5つの要素)の考え方や設計図の基本的な読み方を学ぶといった座学に加え、測量・墨出し・工事写真の撮影といった実務や、フルハーネス(墜落防止器具)の正しい装着方法なども学びます。

あわせて、当社がこれまで手がけてきた建造物の見学や、施工中の現場で工事を担当する社員の話を聞く機会を設けているため、配属後の働き方をより具体的に思い描くことが可能です。
後半の1週間は、佐藤工業創業の地である富山県で実施します。ゆかりのある建造物を巡りながら佐藤工業の歴史を振り返り、会社や事業への理解を深めてもらう機会としています。

導入研修が終了すると、5月からは現場配属となり、OJT担当の先輩社員やOJT管理者の上長の指示のもとで実務に取り組みます。この期間中、新入社員は「研修ノート」を活用し、その後、約5ヵ月間にわたるOJTを受けることになります。

配属直後、実際の業務を先輩に教えてもらいながら経験することは非常に大きな学びとなりますが、同じ業務に改めて向き合った時に前回の経験を思い出して対応するということが実はすごく難しいことなのです。この問題を解決し、一つひとつの経験を成長の糧とするために有効なのが「研修ノート」です。

この研修ノートは、仕事の基本サイクルであるPDCAのステップに沿って、日々の業務を整理し、次の行動に活かす習慣を身につけてもらうことを目的としています。

具体的には、前日までに翌日の行動計画をノートに記入し(Plan)、翌日に実行した内容(Do)、それに対する評価(Check)、さらに改善点(Act)までを記録するように指導しています。

例えば、翌日の作業が「配筋の写真を撮る」だったとします。この写真は鉄筋が設計図通りに配置されているかを確認する目的で撮影します。ここで前日に何をすべきかというと、まずは写真の撮り方を調べること。どんな写真を撮る必要があるのか、何に留意すべきなのかを自分なりに調べ、ノートに計画を立てる。そして翌日は、前日に立てた計画通りに現場で実際に写真を撮影し、撮影後には写真が工事写真として適切かの評価を受ける。問題点があった場合は、次回への改善策を検討し、そのことをノートに残すプロセスを繰り返します。

ノートは先輩社員や上長が毎日目を通し、コメントや直接指導を通じて、より的確に改善へ導くようサポートするほか、月に1回本社でも内容を確認して指導体制の適正化を図っています。実際にノートを見ていると、新入社員が日々の業務に問題意識を持ちながら取り組んでいる様子や、その内容が月を追うごとに深化していくことがうかがえます。

研修ノートの大きな特徴の一つが「手書きで記録を残す」というルールです。パソコンやタブレットのようにコピー&ペーストができない分手間はかかりますが、自分の言葉で整理して記すことで、日々の学びをより深く、着実に落とし込めると考えています。また、手書きの文字には、その時の本人の心理状態や性格が色濃く表れます。「先月は丁寧だったのに、今月は字が乱れている。余裕がなくなっているのかな?」と、周囲が新人の変化に気づく重要なシグナルとなり、積極的な声かけにつながっています。

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【フォローアップ研修】配属後も続く同期との絆。それがモチベーションの源泉に

配属後は、それぞれ異なる現場で業務に取り組みます。自身の担当業務に集中するあまり視野が狭くなりやすく、「今の自分に何が身についていて、何が不足しているのか」という全体像がつかみにくいと感じることもあるでしょう。そこで佐藤工業では、年次ごとの同期研修を継続的に実施しています。各年次に習得すべき業務の基礎を学べるだけでなく、できるようになったことや、次に習得すべきことを確認する機会としても有効です。

たとえば1年目の8月には、現場業務の基礎固めを目的に、設計図・躯体図の読解や、製図、鉄筋の組み方などについて、実技を交えて学ぶ場を設けています。この研修を通して、今自分が「どこまで理解できているか」を客観的に把握することができます。

さらに、配属から半年が経過した12月には、研修ノートを通じて実践してきたPDCAの内容を共有する発表会を実施します。これは、半年間の学びの集大成となる機会です。自らの取り組みを言語化して振り返ることで、これまでの学びを整理でき、次の目標も明確になります。また発表を通して同期が今どんな業務に向き合っているかを知ることができる貴重な相互理解の機会でもあります。配属現場の条件は全員が同じではありません。基礎工事担当、仕上げ工事担当など持ち場が異なる同期の発表を聞くことで、自分の現場経験では得られない気づきや学びを持ち帰ることができます。
同期の活躍に刺激を受けて「自分も頑張ろう」と意欲的になる社員も多く、一人ひとりのモチベーションをさらに高める機会にもつながっています。

1年目以降も継続的な成長を促すプログラムが整備されています。2年目には現場での実務を着実に遂行してもらうために、足場の組み立て方や、積算業務などを学ぶ技能講習会を実施。3年目には、数名のチームで土工事の計画を立案するグループワークを行います。計画を立てるだけでなく、最後にプレゼンテーションをしてもらい、建築事業本部の社員が質疑応答やフィードバックを行うことで、今後の実務に活かせるようにしています。その後も6年目・9年目・11年目以降と節目ごとに研修を用意しているため、これまでの学びを都度振り返りながら着実にステップアップすることが可能です。

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【海外研修】「海外で働く」をリアルに体験。2ヵ月の現地実習が不安を自信に変える

佐藤工業は、シンガポールやマレーシアなど海外の現場での施工実績も多くあります。国内だけでなく、海外に視野を広げ、異文化や多様な価値観の中で成長をめざす方には、海外赴任のチャンスがあります。海外へはいきなり赴任するのではなく、まずは「海外研修」として現地の業務や生活を体験してもらいます。その後、本人が赴任を希望した場合に、正式に決定する仕組みです。この研修は入社3年目以降の社員が対象で、希望者の中から選抜されます。最初の2週間は本社で語学を含めた事前研修を実施し、その後海外の実際の現場で業務を経験します。この研修には海外の仕事のやり方を学ぶという意図もありますが、最大の目的は海外勤務への適性を自ら確認することです。海外で働くということは、海外に年単位で暮らすということ。「日本とは全く違う環境で自分がやっていけるのか?」を見極めてもらいたいと考えています。

実際に海外研修制度を活用し、シンガポールへの赴任が内定した社員もいます。研修を経て、特に食事などの生活習慣への不安が解消されたようです。また、現地のローカル社員と日々協働する中で、コミュニケーション力にも自信がついたと話しています。彼の今後の活躍が今から期待されます。

今回紹介した社員以外にも、海外研修を経て「海外勤務にチャレンジしたい」と志願する社員は多くいます。こうした傾向からも、海外研修制度が社員自身の価値観を広げ、さらなる自己啓発に励む意欲を高める機会になっていると考えています。

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【資格取得支援】難関資格への挑戦を孤独にさせない。組織全体で各種資格の取得をバックアップ

「もっと幅広い仕事に挑戦したい」「より大規模なプロジェクトに携わりたい」と望む方にとって、資格取得は将来の可能性を広げる重要な一歩です。当社では、社員の資格取得を全面的にバックアップする体制を整えています。

特に建築職で取得を奨励しているのが、「1級建築施工管理技士」と「一級建築士」です。「1級建築施工管理技士」の資格を取得することは、施工管理のスペシャリストであることの証明です。取得することで、「監理技術者」という現場の技術的な責任者として活躍できるようになります。そのため模擬試験問題の配布や社内勉強会の実施などを通じ、全建築社員ができるだけ早く資格を取得できるよう支援しています。

また、合格難易度が高い「一級建築士」の資格取得については、現場業務との両立による勉強時間の確保が大きな課題となっていました。そこで当社では、一級建築士の取得をめざす社員の中から支援対象者を選抜し、集中的にサポートする体制を構築しました。

支援対象者は全社員の模擬試験成績に基づき選抜されます。一定基準以上の社員にはヒアリングを実施し、本人の意欲と支援内容への理解を確認して最終決定します。
選抜された社員を社内で周知し、業務調整などのサポートを徹底することで、勉強時間の確保に努めています。また、週ごとに就業状況を確認し、時間が確保できていない場合は所属部署へ改めて協力要請するなど、継続的にサポートしています。
加えて、受験前の追い込み期間となる一次試験直前の1週間は現場業務から離れ、本社周辺で集中的に勉強する期間を設けることで万全の態勢で試験に臨めるように支援しました。

その結果、今年は選抜者の約7割が一次試験に合格しました。支援を行う前に比べて、合格率が大幅に上がり、選抜社員からも「周りからの理解が深まり、応援してもらえたことがモチベーションにつながった」「現場を離れた1週間は、頭を整理しながら勉強に集中できた」といった声が寄せられています。

今後もこうした支援策をさらに手厚くする予定です。一級建築士未取得者を対象に、模試を複数回実施して学習機会を設けたり、製図の作成が中心となる二次試験の対策を社内で行うことも検討しています。

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【環境整備・DX】タブレット活用から女性活躍推進まで。現場の声(ボトムアップ)で働き方を変革

これまでにご紹介した教育研修・資格取得支援に加え、現場で働くうえでは、業務効率化や安心して働ける環境づくりも重要な要素です。佐藤工業では、職場環境の整備における施策も推進しています。

業務効率化に向けた取り組みの柱となるのが、施工現場におけるデジタル化(DX)の推進です。タブレット端末で図面の確認や、写真撮影・管理、現場でチェックすべき項目の管理などをすべて実施するのは当然のものとなっており、現場のニーズに即した、出来形管理アプリという建築関連のアプリを積極的に採用することで、利便性の向上と業務時間の短縮を実現しています。

DX化の推進に加えて、女性の働きやすさ向上を目的として、昨年には女性施工管理職の社員を対象にしたワーキンググループを発足させました。昨今、日建連(日本建設業連合会)の「けんせつ小町」の取り組みなどで建設業に従事する女性を取り巻く環境は改善されていますが、一方で当事者である女性社員にとっては配慮が足りないと感じる場面が多くあります。業界全体の変化を待つだけではなく、当社独自に女性施工管理職の意見交換会や、日建連や日建協(日本建設産業職員労働組合協議会)の活動に参加した社員による報告会なども実施しています。さらに、単なる働き方改革にとどまらず、知識や技術を共有し高め合う「技術研鑽の場」としても定着しています。

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【私たちがめざす組織】「仲間」がいるから「成長」できる。私たちがエンゲージメント向上を大切にする理由

佐藤工業が人材支援に注力する最大の目的は、社員のエンゲージメント向上にあります。社員一人ひとりが熱意を持って業務に取り組み続けるためには、このエンゲージメントの向上が不可欠だと考えているからです。

エンゲージメントを高める要因は、事業の将来性、仕事への貢献実感、処遇への納得感など多岐にわたります。その中で、充実した研修・教育制度は「仲間意識の醸成」と「自身の成長の実感」の2点に大きく寄与すると捉えています。

まず、「仲間意識の醸成」についてです。入社後は、それぞれ異なる現場で、さまざまな人と関わりながら業務にあたります。時には壁にぶつかって悩んだり、不安を抱くこともあるでしょう。そこで心強い存在となるのが、同期を中心に定期的に開催される研修です。日ごろの悩みや不安を気兼ねなく相談、共有できる場所でもあるので、「決して一人ではない」という安心感が確保されます。また、研修ではプレゼンやディスカッションの機会も設けています。さまざまな意見を交わし合うことも、強固な信頼関係の構築につながると確信しています。

次に「自身の成長の実感」について。たとえば冒頭に紹介した研修ノートを使った指導は、先輩・上長からのフィードバックを受けながらPDCAを回すことで、日々の成長を実感できます。「自分はここまで習得できた」と実感できれば自信につながり、次の学びにも意欲的になれるでしょう。

こうした考えに基づき、多様な研修・教育制度を整備していますが、それらを最大限に活かす鍵は「主体的に学ぶ姿勢」です。自ら学ぶ意欲があれば、学びを自分事として深く理解し、それを日々の業務に活かす行動が自ずと生まれます。

当社は、今後も個々の成長を力強く後押しするための環境を惜しみなく提供し続けます。自発的に学び、当社と共に成長していきたいと願う皆さまのエントリーを心よりお待ちしています。

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