憧れたのは、現場で働く「かっこいい」背中。 厳しさを糧に、誰より品質にこだわる施工管理へ。

憧れたのは、現場で働く「かっこいい」背中。 厳しさを糧に、誰より品質にこだわる施工管理へ。

憧れたのは、現場で働く「かっこいい」背中。 厳しさを糧に、誰より品質にこだわる施工管理へ。

このストーリーのポイント

  • 現場で働く人たちがかっこいい。設計ではなく、あえて施工管理の道を選んだ理由。
  • 「全ての部屋を均等にチェックせよ」。新人時代の厳しい指導が育てた、プロの基礎体力。
  • 自分の住まいを作るつもりで挑む。受け継いだ品質へのこだわりを、次は後輩たちへ。

建設現場の最前線で、人とモノの流れをコントロールするのが施工管理の仕事。佐藤工業では若手にも責任ある仕事を任せ、マンションから公共施設、倉庫まで多彩な現場で経験を積むことができる。自らが工程を描き、建物が完成を迎えた時の達成感が、次の現場へ向かう原動力になる。

PROFILE
佐藤工業株式会社

溝呂木 菜々子

東京支店
2019年入社/生産工学部建築工学科卒

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祖父が設計事務所を経営していた影響で建築に興味を持ち、大学では構造の研究室に所属。入社後はマンションや図書館などの現場で施工管理を担当。現在の物流倉庫の現場では、内装工事を担当しながら、新入社員の指導にも携わる。

「かっこいい」が原動力。私が施工管理を選んだ理由。

建築に興味を持った原点は、祖父の存在です。設計事務所を営んでいた祖父のもとへ遊びに行くと、そこにはパースや図面、製図台が並んでいました。「何もないところから正確な図面を生み出す仕事はすごい」と子ども心に感銘を受け、自然と建築の道を志すようになっていました。

子どもの頃からの希望通り建築学科に進み、設計の授業では自らの手で図面を描く面白さを知りました。しかし同時に、周囲には突出した画力や独創的な着想力を持つ友人が多く、設計の分野で第一線を走ることの厳しさも肌で感じました。そこで私は、自分の適性を改めて見つめ直し、もともと得意としていた計算力を活かして建物の安全性を支える「構造」を学ぶ研究室を選びました。

就職活動では、組織の規模と仕事のスケールの「バランス」を重視しました。あまりに巨大な組織では個人の顔が見えにくくなる懸念がある一方で、自分の取り組んだことがはっきりとした形に残る大きな仕事に携わりたいという想いもあったからです。その両方の希望を叶えられる環境として出会ったのが、佐藤工業でした。

インターンシップは建設系の会社に5社ほど参加したのですが、その中でも佐藤工業のプログラムは特に印象的でした。現場見学だけでなく、図面を見ながら鉄筋の本数をチェックする実務体験をさせてもらえたからです。他社では説明を聞く座学が中心でしたが、佐藤工業には「学生も一人の技術者として見る」ような実践的な姿勢があり、そこに強く惹かれました。現場社員の方々の気さくな雰囲気も心地よく「ここなら自分らしく働けそうだ」と確信できた瞬間でした。

施工管理を選んだ理由を聞かれると少し照れくさいのですが、正直なところ「現場で働く人たちがかっこいいと思ったから」に尽きます。もちろん、学生時代から施工管理の仕事が大変であることは理解していましたし、友人たちが「ゼネコンの現場は大変そうだ」と話すのを聞いて、不安を感じたこともあります。それでも、大変だとわかっていながらあえてその環境に身を置き、「確かな形」として長く残る仕事をしている人たちの姿に、理屈を超えた強い憧れを感じたのです。

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息をするように「基本」を徹底する。それが私の強みになった。

入社後、最初に配属されたのは100戸以上の規模を持つマンションの建設現場でした。施工管理の役割は、単に工事の進捗を追うだけではありません。設計図という「理想」を、寸分の狂いもない「現実」へと落とし込むこと。そして、安全と品質を担保しながら、厳格な期限内に完遂させること。どれだけ優れた図面があっても、現場で指揮を執る私たちが機能しなければ、建物は決して完成しません。高い品質と効率性の両立こそが、プロとして求められる基準でした。

しかし配属されたばかりの当時の私は、その基準の重さを本当の意味で理解できていませんでした。「全ての部屋を、均等かつ徹底的にチェックすること」。 それが、直属の上司である副所長からの指示でした。100戸以上ある部屋の一つひとつに対し、膨大な項目を確認し、写真を撮り、少しでも不備があれば手直しを指示する。効率を優先したい気持ちがあった私は、内心で少し反発していました。「ここまでやる必要はあるのだろうか」と葛藤することもありました。それでも副所長は私に「高い意識を持って仕事をしろ」と言い、一切の妥協なく、高い基準での仕事を求め続けました。

その指導の真意に気づいたのは、次の現場に異動してからのことでした。新しい現場で業務にあたった際、以前なら見落としていたかもしれない細かな不備に、自然と目がいくようになっていたのです。副所長が求めていたのは「理不尽な厳しさ」ではなく、「プロとして持つべき基準」だったのだと痛感しました。あの時、妥協のない仕事を教えていただいたおかげで、今ではチェックすべきポイントを息をするように判断できるようになりました。

「基本」を無意識レベルで徹底できること。それはいつしか、私の最大の武器になっていました。協力会社の方から「溝呂木さんに聞けば確実だ」と頼っていただけるようになった今、当時の泥臭い経験こそが、私を技術者として育ててくれたのだと確信しています。

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「任された以上は、何があっても完遂する」。現場で培った、プロとしての覚悟。

これまでのキャリアの中で、自身の仕事観を決定づけた経験があります。それは都心部におけるマンション建設の現場でした。短工期に加え、近隣への配慮から17時以降の作業は一切許されないという、非常に制約の多い環境でした。私はそこで、内装工事という最終の仕上げ段階の施工管理を任されました。

現場では、予期せぬ事態が何度も発生しました。壁紙や天井といった内装の仕上げの工事の際に何度も手戻りが生じ、工期までの猶予は残り僅かとなってしまいました。しかし、プロとして工期が遅れることは許されません。私は工程全体を俯瞰して計画を練り直し、細部にわたる無駄を排除するとともに、協力会社へ仕上げの増員を要請するなど、あらゆる手段を講じて調整を図りました。

結果として工期内に完了させることはできましたが、余裕を持った管理ができなかった点では、自身の未熟さを痛感する経験でもありました。しかし、窮地においても次善の策を打ち続け「任された以上は、何があっても完遂する」という責任感は、私の中に確固たる信念として根づきました。予定通りにお客様への引き渡しを終え、そこで新しい生活が営まれていると知った時の安堵感は、今も忘れることができません。

完成後の建物に立ち入る機会は多くありませんが、以前手掛けた図書館を訪れた際、多くの市民の方々がその場所を利用している光景を目にしました。自分たちの仕事が、人々の暮らしや地域社会の基盤を支えている。その社会的意義の大きさを実感できる瞬間こそが、この仕事の真の醍醐味であると感じています。

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「もしこれが自分の家だったら」。その視点こそが、品質を守る大事な一歩。

1つの建築物が無事に完成を迎えれば、次なる現場へ向かいます。現在は、巨大な倉庫の現場で内装工事を担当しています。鉄骨造は初めての経験で、マンションとは勝手が異なり戸惑うことも少なくありません。それでも今は自分で計画を立て、その通りに現場が動いていくことが、この仕事の面白さとして捉えられるようになりました。 何百人が一斉に仕事をする現場で、私は「来週はこの作業をお願いします」「先にこの作業を行ってから、次の作業に移ってください」と細かな作業手順も含めて相談や連絡を欠かさないようにしています。小さなことでも漏らさず事前に共有することで、職人さんのパフォーマンスを最大限に引き出すためです。

また現在は、自身の業務に加え、新入社員の指導育成にも力を入れています。かつて私が上司から徹底的に鍛え上げられたように、新入社員たちに対しても、あえて厳しい基準を求めるようにしています。一見、厳格すぎると敬遠される場面があるかもしれません。しかし、今ここで妥協のない仕事を教え込まなければ、将来彼らがプロとして現場に立った時、施主様の期待に応えることができなくなってしまいます。彼らの将来を思うからこそ、言うべきことは臆せず伝え、プロとしての在り方を示し続けることが私の役割だと考えています。

ここまで品質へのこだわりを大切にするのは、常に「もしこれが自分の住まいだとしたら」という当事者意識を持っているからです。マンションであれば、購入されるお客様がいらっしゃいます。その視点を常に持ち、妥協のない管理を徹底すること。そして、その精神を後輩たちへ正しく継承していくことが、今の私の使命です。

大学時代の友人から「人々の暮らしの『当たり前』を最前線でつくる大切な仕事だよね」と言ってもらえるのが、私の密かな誇りです。この仕事に向いているのは、人と話すことが好きな人。現場にいる何百人もの職人さんと、毎日コミュニケーションを取りながら仕事を進めていくことが必要になります。最後までやり遂げるという責任感を持ち、途中で諦めない気持ちがあれば、完成した建築物を前にして大きな達成感が味わえるはずです。

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