テクノロジーの進化が監査を変えていく。変革をけん引する、多様なプロフェッショナルたち
テクノロジーの進化が監査を変えていく。
変革をけん引する、多様なプロフェッショナルたち
このストーリーのポイント
- 多様なキャリアが活きる、開かれた監査部門
- データ分析・AI活用で、将来のリスク兆候を捉える監査へ
- 研修・資格取得支援を通じて、未経験から専門性を磨ける環境
三菱UFJ銀行の監査部では、キャリア入行者や社内公募制度を活用した行員など、多様なバックグラウンドを持つ人材がそれぞれの専門性を発揮している。本記事では「テクノロジーと監査」をテーマに、IT・サイバーセキュリティ領域のシステム監査を担う村上敬太と、データ分析・AI活用による監査品質の向上に取り組む山川真一郎が、監査の役割や仕事の醍醐味、キャリアの可能性を語った。
株式会社三菱UFJ銀行
村上 敬太
株式会社三菱UFJ銀行
監査部 監査グループ

2009年に独立系SIerへ入社し、システム開発プロジェクトを数多く経験。培った知見を活かし、より組織横断的な観点で関与できる業務に挑戦したいと考え、2023年にキャリア入行。現在はIT・サイバーセキュリティ領域を中心に、システム監査を担当する。
山川 真一郎
株式会社三菱UFJ銀行
監査部 企画グループ

2008年入行。営業店・本部で幅広い業務を経験する中で、内部から組織の改善と価値向上に貢献できる内部監査への関心が強くなり、2024年に監査部へ着任。現在はテクノロジーを活かしたデータ分析やAI活用の推進を通じて、監査品質の向上に取り組む。
組織の未来を支え、経営に資する監査へ
──お二人のバックグラウンドについて教えてください。
山川 私は、広く社会に貢献できる仕事に携わりたいと考え、三菱UFJ銀行に入行しました。以来、営業店や本部で経験を積む中で、30代後半に差しかかった頃から「自分の軸となる専門性を身につけたい」と考えるようになりました。特に関心があったのは、経営に近い立場から銀行全体を俯瞰する業務です。そのイメージに最も近かったのが監査部でした。
実際に監査部で働く先輩に相談したところ、高い専門性を持つ方が数多く活躍し、資格取得や継続的な学びを通じて成長できる環境があることを知りました。自分が思い描くキャリアの方向性とも重なると感じ、社内公募制度「Job Challenge」を利用して監査部に異動しました。
村上 前職は独立系のSIerです。三菱UFJ銀行のシステム開発にも携わり、リーダーとして複数のプロジェクトを主導してきました。10年以上システム開発に携わる中で強くなっていったのが、個別案件のシステム開発にとどまらず、組織横断的な観点で三菱UFJ銀行全体に関わりたいという思いです。大きなプロジェクトが一区切りついたタイミングで、キャリア入行を決意しました。
応募したのは、自分のスキルを活かしながら、銀行全体を俯瞰できるシステム監査のポジションです。山川さんが利用された社内公募制度のように、入行後も自らキャリアを広げるチャンスがあるなど、キャリアに多様な選択肢が用意されていることも決め手になりました。
山川 村上さんは異業種からのキャリア入行ですが、当初は“監査”という業務にどのようなイメージをお持ちでしたか。
村上 端的に言えば、遵守すべき基準や手続からの逸脱を把握し、是正を促すことで、三菱UFJ銀行全体をより良い方向へ導く仕事だと考えていました。
山川 私は営業店や本部で、監査を受ける側にいました。当時は「何か指摘を受けるのではないか」というイメージもあり、監査に対してやや硬いイメージを持っていました。実際には、監査部門は独立・客観的な立場から潜在的なリスクや統制上の課題を見つけ出し、先手を打っていくことが本質的な役割です。監査に対するこうしたイメージギャップを埋めることも、私たちの重要な使命だと感じています。

全量検証とAI活用で、リスクの兆候と真因に迫る
──それぞれのお仕事について詳しく教えてください。
山川 監査部は、独立・客観的な立場から、業務や管理体制が適切に機能しているかを確認・評価する「アシュアランス」と、改善に向けた助言を行う「アドバイザリー」を提供しています。MUFGグループのガバナンス、リスク管理、内部統制の有効性を評価し、その高度化を支援することで、グループの持続的な価値創造・保全に貢献することがミッションです。その中で私は、監査部企画グループのプロフェッショナル・プラクティスチームのデータ分析・AIラインに所属しています。
業務は大きく二つあります。一つはデータ分析です。かつての監査ではサンプルを抽出して確認する手法が中心でしたが、デジタル化の進展により、領域によってはデータを網羅的に確認する全量検証が可能になっています。数百万件、数千万件規模の取引データであっても、そのすべてを検証することが可能なのです。私たちはデータ分析の知見を活かし、監査人によるリスク把握や検証を支援しています。
もう一つは、AIを活用した監査の実効性向上と効率化の企画・推進です。既に監査の現場でもAI活用は始まっていますが、今後、組織としてどの業務にどのように組み込み、監査品質の向上につなげていくかを検討しているところです。
村上 監査機能の高度化は、近年の大きなテーマですね。全行的な課題や共通する真因を分析し、再発防止に貢献することが監査に期待されていると感じます。
山川 その通りです。AIやデータ分析を活用することで、監査人だけでは把握しきれなかった兆候に気づける可能性が広がります。将来のリスクを先回りして捉え、よりフォワードルッキングな監査につなげていきたいですね。
村上 楽しみですね。テクノロジーの進化によって、監査のあり方もさらに広がっていきそうです。山川さんは、そうした仕組みづくりを通じて監査人を支援されています。一方、私は監査人として、国内のシステム開発に関連する全行的な施策や、大規模なシステム開発プロジェクトに対する監査・モニタリングに携わっています。加えて、システム障害の発生・対応状況や、監査指摘に対する改善状況の確認なども担当しています。
入行当初は、基準に沿ってチェックし、不備を発見することが重要だと考えていました。しかし、本当に大切なのは、不備の背景にある理由を掘り下げて真因を分析し、被監査部門と一緒に対応を考え、三菱UFJ銀行全体のリスク管理の高度化につなげていくことだと学びました。個別の事象を点で終わらせず、「なぜ起きたのか」「なぜ防げなかったのか」「ほかの領域でも起こり得るのか」まで掘り下げることで、より本質的な改善につなげられるところに醍醐味を感じています。
山川 データ分析においても同様です。例えば取引データのモニタリングでは、ルールを逸脱した取引を見つけるだけでなく、なぜその取引が発生したのか、全量検証が可能な時代だからこそ以前よりも掘り下げて確認することができます。MUFGは銀行・信託・証券をはじめとするグループ各社、海外拠点、海外子会社などを通じて、幅広く事業を展開しており、グローバルに大規模な顧客基盤があります。だからこそ、真因を掘り下げる姿勢が重要です。

未経験から専門性を磨く、研修と資格取得支援
──これまでの経験は現在の業務にどのように活きていますか。
村上 前職ではSIerとしてシステム開発プロジェクトを推進する立場だったため、プロジェクトをどう進めるべきか、開発工程ごとにどのような作業が必要で、どのような成果物が求められるかを十分理解しています。その経験により、監査の場面でも課題やリスクの兆候を早期に捉えることができます。実際に開発の現場にいたからこそ培われた観点や感覚を、現在の監査業務で発揮できていると感じます。発見した課題やリスクについても、自分の経験を踏まえて根本原因の特定や解決策の検討につなげています。
山川 私の場合は、営業店や本部での経験を通じて、それぞれの部署がどのようなデータを必要とし、どのように活用しているのかを具体的にイメージできることが強みです。
監査業務におけるデータ分析やAI活用においても、現場の業務理解を土台に関係者と円滑に連携できていると感じています。
村上 一方で、入行後に戸惑ったのは、報告書などの成果物に求められる品質の高さです。前職でも報告書を書く機会は多くありましたが、銀行の監査では、システム領域以外の人が読んでも正しく理解できる内容・表現にしなければなりません。専門的な内容を相手に分かりやすく伝える力は、業務を進めるうえで欠かせないものだと感じています。
山川 確かに、監査では専門性と同じくらい「伝える力」も重要ですね。
村上 その点で心強かったのが、監査部内の研修の充実ぶりです。監査人として成長するための研修や学習機会が豊富に用意されており、研修ロードマップには推奨される研修や資格も整理されています。監査業務が未経験だった私にとって、とても心強い環境でした。
資格取得も部内で積極的に推奨されています。私自身も、監査・リスク管理分野の国際的な資格であるCIA(公認内部監査人)とCISA(公認情報システム監査人)を取得しました。取得に向けた研修も充実しており、学習を重ねる中で、監査に関する知見を深めることができました。
山川 私の経験を振り返っても、監査部の研修制度は非常に充実していると感じます。私は現在、監査人ではありませんが、データ分析を通じて監査人を適切にサポートするには監査の専門知識が不可欠だと考え、CIAを取得しました。部内の研修に加え、三菱UFJ銀行全体としても学習機会が整っており、異業種出身の方でも金融や銀行業務について基礎から学べる環境があります。

変革をけん引するのは、高度な専門性と「対話力」
──今後のキャリアの展望についてお聞かせください。
村上 三菱UFJ銀行に入行して約3年が経ちました。監査業務は初めてでしたが、チームのメンバーに支えられながら経験を重ねてきました。今後はさらに専門性を高め、リスクの本質を捉えた付加価値の高い監査を実践し、監査部の中心的な存在をめざしたいと考えています。
山川 私は現在、データ分析やAI活用を専門とするラインに所属しており、監査人ではありません。今後、監査業務をより深く理解するためには、監査人としての経験も必要だと感じています。次のステップとして、監査人の立場で監査業務に携わりたいと考えています。
村上 三菱UFJ銀行には、多様な専門性やスキルを持つ人材を積極的に受け入れる風土があります。入行後も多様なキャリアパスが用意されており、自ら選択し、挑戦できる機会があります。努力次第でやりたいことにチャレンジでき、その挑戦を後押ししてくれる環境が整っている点は、大きな魅力です。
山川 データ領域で働く方にとって、三菱UFJ銀行ならではの膨大なデータを扱える点は非常に魅力的だと思います。専門性を発揮できる環境があり、その力を監査品質の向上につなげていく面白さもあります。一方で、監査人や関係部署と対話を重ねながら物事を進めるためのコミュニケーション力も欠かせません。
村上 同感です。監査は一人で完結する仕事ではなく、チームで取り組むものです。監査人同士はもちろん、被監査部門とも丁寧に対話を重ね、相互理解を深めながら改善につなげていく力が求められます。
山川 国内のトップバンクである三菱UFJ銀行の監査部門の影響力は大きく、日本の監査業界をリードする存在の一つと言えます。その中で働くことは、組織の健全な成長を支え、社会に貢献している実感にもつながります。ぜひ多くの方に関心をお寄せいただければと思います。

MUFGのグローバル監査組織が、国や組織を越えてどのように連携し、経営に資する気づきと提言を届けているのか。監査部門の現在地と未来に迫るGlobal & Governance編は【こちら】からご覧ください。
