人とのつながりを大切にしながらお客様に求められる商品を選び抜く

人とのつながりを大切にしながらお客様に求められる商品を選び抜く

人とのつながりを大切にしながら
お客様に求められる商品を選び抜く

このストーリーのポイント

  • 地元密着で、人々の生活に欠かせない食品を扱うマツモトに入社
  • 毎日店舗を巡回し、従業員の要望を聞き取る
  • バイヤーとして、マツモトにしかない商品を開発したい

日配担当、店長、バイヤーとキャリアを重ねるなかで、一貫して大切にしてきたのが人との関係性。現場の従業員や、仕入れ先であるメーカーの営業担当者との対話を欠かさずに仕事に向き合っている。

PROFILE
株式会社マツモト

大橋 慎司

日配バイヤー
2008年入社
法学部卒

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スーパーでのアルバイトで、売り場づくりに試行錯誤した経験をきっかけに、スーパーマーケット業界に関心を持つようになった。現在は日配バイヤーとして、パン・乳製品などの仕入れを担当。毎日店舗を巡回し、従業員の声を商品の選定に活かしている。

地元・京都に根ざしたスーパーで、長く働きたい

学生時代は、地元のスーパーマーケットでアルバイトをしていました。その時に特に印象に残っているのが、売り場づくりを任せてもらった経験です。

商品をどう並べれば、お客様の興味をひきつけられるか。アルバイトでありながら、自分なりに考えて売り場をつくり、その結果が売上としてすぐに反映されることにやりがいを感じていました。もし売上が伸びなかったらやり方を変えてみて、売上が伸びたら何が良かったのかを振り返る。そういった試行錯誤を繰り返せることも面白かったです。

就職先を検討する時、初めはさまざまな業界を見ていました。しかし、先ほど話した通りアルバイトに面白さを感じていたことから、スーパーで働くのが合っていそうと思うようになりました。また、スーパーが提供する食品は、人が生きている限り欠かせないものです。需要が大幅に減ることは考えづらいので、今後も長く安定して働けると確信しました。

なかでもマツモトに関心を持ったのは、地元に根ざしたスーパーであること。私は、生まれも育ちも大学も京都で、地元を出たことが一度もありません。これからもずっと、生活の基盤がある地元で働きたいと思っていました。

今振り返ってみても、この選択をして良かったです。住む環境が安定している分、心にゆとりが生まれて仕事にも集中できていると感じます。

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持ちつ持たれつの関係が、良い結果につながる

入社後は、日配部門(日持ちのしない加工食品を扱う部門)に配属。その後チーフ、副店長、店長を経て、現在は日配品のバイヤーを務めています。マツモトは、豆腐・漬物など和風の食品を「和日配」、乳製品・パンなど洋風の食品を「洋日配」と分類していて、私は洋日配を担当しています。

バイヤーの仕事でメインとなるのは、商品の買い付け、仕入れです。月に1回、各商品の仕入れ先であるメーカーの営業担当者と商談の場を設け、どの商品をいくらで、何個仕入れるかを決めていきます。

メーカーの営業担当の方からは、いつも仕入れている商品以外にも、さまざまな商品をご提案いただきます。そこでいつも大事にしているのは、「その商品が本当にお客様に求められているか」を見極めることです。実際に試食もさせてもらい、過去の類似商品の売上はもれなくチェックしたうえで判断した結果、やむをえず仕入れを見送る場合もあります。

一方で、「これはぜひ扱いたい」と思う商品があれば、先方からの提案を待たずにこちらから相談をすることもあります。

たとえば先日は、SNSで話題となっていたココアを新たに仕入れました。人気のあまり一時期生産が止まっていた商品で、今回販売再開になったと聞き、真っ先に仕入れました。各店舗の従業員に話を聞くと、非常に売れ行きが良いとのこと。こうした報告が聞けると、お客様が求めているものを仕入れられた実感がわきます。

何を仕入れるかと同時に、仕入れる価格も厳しくみるようにしています。私がバイヤーになりたての頃、上司からは「良いものをできるだけ抑えた価格で仕入れて、お客様に提供するのが基本だ」と教えてもらいました。同じ商品でも、競合スーパーの方が価格が安ければ、お客様は簡単に他店に流れてしまうでしょう。そうならないように価格交渉を進めるのも重要な仕事です。

とはいえ、こちらと相手が納得する価格の落としどころを見つけるのは、簡単なことではありません。一方的に要望を伝えるのでは当然受け入れてもらえませんし、無理を押し付けすぎると、相手との関係性が崩れてしまう可能性もあります。そこで大事にしているのは、できるだけ相手との距離を縮めていけるようなコミュニケーションです。

私の場合、商談時間の半分くらいは、たわいもない世間話をしています。休みの日に何をしているのか聞いたり、趣味の話を聞いたり。相手の営業担当さんの考え方や人柄を知れるような時間にしたいと思っているからです。たとえば先日は、育児休業から復帰した男性の方に、「どうでした?」と話しかけたりしましたね。

これはあくまで私のやり方で、この方法で毎回商談がうまくいくとは限りません。ですが、日ごろから一歩踏み込む姿勢を大事にしていると、プラスに物事が運ぶことが多いと感じています。たとえば、相手からより良い条件を提示していただけたり、少し無理なお願いも聞いていただけたり。その代わりに、こちらも相手の要望をできるだけ受けとめる。そんな持ちつ持たれつの関係性が築けると、お客様に満足いただける価格で商品が届けられて、メーカー側の売上も、私たちの売上も伸びる良い循環が生まれると実感しています。

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毎日現場を巡回。従業員の声を仕入れに活かす

バイヤーは机に向かって黙々と商談資料を準備して、メーカーの営業担当者と電話でやり取りをするイメージがあるかもしれません。しかし弊社では「すべての情報は現場にある」という考えのもと、バイヤーをはじめ本社のスタッフも、毎日午前中は店舗を巡回する方針を定めています。

私たちバイヤーは、商品の仕入れや価格交渉はできます。しかし、仕入れた商品を実際に販売して売り上げをつくるのは、現場に配属された従業員の皆さんです。ですので、現場の生の声は何よりも大事。各店舗を巡回しながら「今何が良く売れているのか」を都度ヒアリングしています。

従業員の方から寄せられた「この商品を扱いたい」といった要望も、できる限り反映するようにしています。これは、マツモトの全店舗が25店と比較的少なく、現場の声を拾いやすいからできることです。仮に100店舗以上を展開するようなスーパーでしたら、ここまで密に連携するのは難しいでしょう。現場の声をもとに商品を仕入れて、後日「売れました!」という声を聞けるとうれしいですね。

また、巡回の際は、仕入れた商品が現場で無理なく販売できているかも確認しています。もし販売が難しそうであれば、仕入れの数量や時期の調整がすぐにできるよう、積極的に連携しています。当然ですが、無理な販売計画では売上も伸びませんし、従業員の皆さんにも負荷がかかり悪循環です。バイヤーになる前は長く現場にいたからこそ、この感覚は大事にしています。

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バイヤーとして、マツモトにしかない商品を開発したい

各店舗の従業員との対話を欠かさないようにしているのは、バイヤーになってからではありません。現場にいた頃も、一緒に働く人たちとのコミュニケーションを何よりも大切にしてきました。

忘れられないのは、新しくオープン予定の店舗の店長を任された時のこと。オープンしてから数ヶ月後に、コロナウイルスが流行り始めたのです。

レジへのパーテーションの設置や、アルコール消毒の徹底、マスク・消毒用品の発注など、イレギュラーな対応に追われ続ける日々。当時一緒に働いていた皆さんからも不安が拭えない様子が伝わってきました。

なんとなく、店舗の一体感が薄れている感覚もあり、店長としてできることはないか、毎日考え続けていました。そこで基本に立ち返り、改めて大事にしようと決めたのが、一人ひとりへの声かけです。「この状況はすぐには変えられないけれど、今できることに集中しましょう」。たしか当時は、できるだけ前向きに仕事に取り組んでもらえるよう、そんな言葉をかけていたと思います。

そのうちに、良くも悪くも「コロナ」という共通の話題をきっかけに、以前より従業員同士のコミュニケーションが増えるようになりました。決して私の働きかけの影響だとは思っていませんが、店舗自体の雰囲気も明るくなっていって、ほっとしたのを覚えています。

こういった経験もあり、今後も関わるすべての人との対話をおろそかにしないと決心しました。仕事は、人と人とのつながりがあるからこそ成り立つもの。そんな意識を持ちながら、日々の業務に向き合っています。

今後のビジョンは、日配バイヤーとして、マツモトにしかない商品を開発することです。競合店がひしめくなかで、今後もお客様に足を運び続けていただくには、「マツモトだからこの商品が買える」といった付加価値を生み出すことが重要だと考えています。

商品開発は決して私一人のアイデアでできるものではなく、上司や他部署とも話し合いながら検討する必要があります。商品をつくるメーカー側の協力も不可欠です。道のりは決して簡単ではありませんが、今までに経験したことのない面白い取り組みができそうだとワクワクしています。いつまでも地元のお客様にマツモトを愛していただけるよう、これからも挑戦を続けていきます。

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