三井住友海上の初代CMO(チーフマーケティングオフィサー)。人生の選択肢はいつも自分の手の中にある。

三井住友海上の初代CMO(チーフマーケティングオフィサー)。人生の選択肢はいつも自分の手の中にある。

このストーリーのポイント

  • 文系営業としてスタートし、データサイエンティストを志す
  • 多様な職業を通じて徹底的にビジネス力を磨く
  • 自分基点で三井住友海上のイノベーションを牽引する

30歳までは文系出身営業として活躍。転職を繰り返す中でデータサイエンティストを志すようになり、「ビジネス力」を強みとして自らの道を開く。40歳を前にして三井住友海上に入社し、初代CMO(Chief Marketing Officer)として自ら変革の波を起こしながらDX推進の原動力として活躍する。

-profile-

木田 浩理

三井住友海上火災保険株式会社

経営企画部 部長 CMO(チーフマーケティングオフィサー) CXマーケティングチーム長
慶應義塾大学 政策・メディア研究科修了

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大手通信キャリア、政治家の秘書、ITサービスベンダー、ECプラットフォーマー、老舗百貨店、通販会社等を経て2018年、三井住友海上にデータサイエンティストとして入社。2021年10月より現職。一般社団法人データサイエンティスト協会理事。UXインテリジェンス協会所属。共著に『データ分析人材になる。』(日経BP社)。健康のために毎朝5km、週末は10km走っている。

“現場”で実感した、データ活用の真価

新卒で入社したのが大手通信キャリア。文系出身営業としてのスタートでした。以来、重ねた転職は8回を数えます。金融業界での経験はありません。こんなバックグラウンドの人財を採用し、しかも最年少部長というポジションを与えてくれるのですから、三井住友海上とはなんと懐の深い会社なんだろうと思います。
保険業界自体が大きな転換期を迎え、生き残っていくためには当社も自ら変わっていかなくてはなりません。そうした危機感が私を迎え入れ、自由に暴れさせてくれる土壌につながったのでしょう。

せっかく入った通信キャリアを1年目で退職して政治家の秘書になったときは、周囲から呆れられました。私としては純粋に面白そうだと思ったからやってみただけです。自分がやりたいこと、興味のあることに真っ直ぐに突き進んでいくのは、私にとってごく当たり前のことでした。秘書の重要な仕事に支持者固めがありますが、履歴データを分析して講演会への案内状を送るのはまさにCRM。データを分析して活用する面白さに気づいたのはこのときでした。
その後、外資系IT企業に営業として入社しました。ここでは見込み客に対して提案をしようとしても、カネにならないからというのでエンジニアが手を動かしてくれませんでした。そこで私はマニュアルを見ながら独学で分析ツールを操作して顧客に提供。たいへんに喜ばれました。この体験が私をデータサイエンティストの道へと導いてくれたのです。

大きな転機となったのは次に老舗百貨店に入社したことです。CRMの担当という話だったのですが、実際に配属されたのは婦人服売場。研修を兼ねてのことだったものの、右も左も分からないまま売場に立つというのは強烈な経験でした。
売場ではお客様の生の声を浴びました。「ほつれていた」「臭いがついていた」というクレームだってくる。そうした声は決してPOSデータには反映されてません。毎日何百人というお客様の声を浴び続けた結果、次第に私はPOSデータを見るとお客様の顔や思いが浮かぶようになりました。接客を通じて顧客理解の方法を学んだことで、机上で考えがちなデータサイエンスの思考に“顧客”を前提とした思考方法を身につけることができたのです。

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データサイエンティストに必要なのはビジネス力

三井住友海上との出会いは、たまたまです。データサイエンティストとして道を開いていこうと考えたとき、損保業界という堅いイメージの企業がデジタル戦略部を発足させ、新しいチャレンジとしてデータサイエンティストを募集していると知ったことがきっかけでした。
それまで何度も転職を繰り返してきて様々な業界で業務経験を積み、取引先を通じて多様なビジネスを見てきました。一方では独学でデータサイエンスを学び、通販会社ではチームビルディングや新事業開発にも挑戦してきました。保険業界どころか金融業界で働いたことはなかったものの、積み上げてきた経験や知見を携えて新しいフィールド、それも日本を代表する大企業でチャレンジするのも面白いと考え、転職に踏み切ったのです。
当時38歳。失敗したらどうしようとはまったく考えなかったし、会社はいくらでもあるし、どうにでもなるという自信はありました。

面接の雰囲気はとてもよかったです。私の転職続きの経歴を面白がってくれ、身につけてきたビジネス力について前のめりに耳を傾けてくれました。
データ分析に重要なのは「ビジネス力」です。人を巻き込む力、コミュニケーション力、プレゼンテーション力は泥臭いビジネスの現場で培われるものであり、データ分析や活用に不可欠です。「分析が高度であること」と「ビジネスで活用すること」は比例するものではありません。三井住友海上もそのことに気づいていたから、ビジネス寄りのデータサイエンティストである私の採用に踏み切ったのでしょう。
つまり転職を重ねてきたことが、実は私にとって大きなアドバンテージになっていたということです。

面接の場で聞かされたのが、三井住友海上の取引先企業の膨大なデータをお預かりしてその分析支援を行いたいというプロジェクトのことでした。多種多様な取引先に対して私の豊富な業界知識と分析経験が活かせると感じ、新しいビジネスを起ち上げたいと思ったことも入社の動機となりました。
このプロジェクトは当社の新たなサービス事業「RisTech」として誕生。自然災害の発生予測や自動車事故発生予測などのサービスを生みました。
「これは面白いことになりそうだ」という好奇心は、私を動かす原動力の一つです。

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自分基点でイノベーションの荒波を起こす

三井住友海上に入社後は驚きの連続でした。
前職は部長職でしたが、三井住友海上では課長代理職でのスタートとなりました。新しい職場でのルール、カルチャーの違いに戸惑うことは多く、最初はなかなか慣れませんでした。
私はまず自分基点でカルチャーを変えていくことを決心。もっと自由な風土をつくろうと、8時58分に出社して17時過ぎたら退社、スーツではなくて限りなくカジュアルに近いビジネスカジュアル、スニーカーで過ごすようにしました。ドレスコードがフリーになってからは、真っ先にジーンズとTシャツで出社し始めました。周囲は驚いたでしょうが“新しい文化をつくります”という私からの宣言でした。
根底にあったのは日本企業の忖度や横並びなどの古い文化がDXを邪魔しているという思いです。社会が変わり、市場が変わっていく中で、企業も変わらなければならないのに、変革を阻害する文化が残っている。このままでは当社もFinTech企業に負けてしまう。だから我々は変わらなくてはならない、社員ひとりひとりが「出る杭」にならなてくはならない、というメッセージを自ら発信して行動しようと考えたのです。社外セミナーの講演や記事の取材なども積極的に受け、書籍も出版しました。社内だけではなく社外にも「新しい三井住友海上」を発信したかったのです。
次第に若い世代を中心に広がった共感のさざ波はいつしか大きな波となり、今振り返るとこの3年半で当社の文化は驚くほど変わりました。古い大きな企業でも、誰かが動き出せば必ず変えられるのです。今私はダメージジーンズで経営陣に会います。数年前ならば考えられないことでしょう。

現在私は新たに誕生したCXマーケティングチームの責任者を務めています。
チームのミッションは、三井住友海上を知らない顧客を“知っている”に変える、商品が欲しくない顧客を“欲しい”に変える、解約したい顧客を“続けたい”に変えることです。この3つに関わるあらゆる顧客行動を、オンライン・オフラインを問わず分析し、ボトルネックを発見して組織横断的に解消していくことが仕事です。顧客にとって組織なんて関係ありません。だから顧客視点で問題点を見つけ出して解決していくわけです。
同時にASEANを中心にグローバルな市場での認知を高め、ブランド価値を上げていくことにも取り組みます。

今後市場がシュリンクする中、当社が顧客に選んでもらえる会社となるためには、生活に寄り添うようなビジネスを広げていく必要があるでしょう。そのときに「知らない会社」と思われないようにすることが、これからのチャレンジです。
こうしたすべての施策の起点となるのは顧客視点です。顧客視点を徹底することで、顧客に寄り添うための創意工夫が生まれ、結果として当社に対する顧客の視点はポジティブなものになっていくでしょう。データサイエンティストはデータを見るのではなく、顧客を見なくてはなりません。文系営業としてスタートし、常に顧客を見て仕事をしてきた私の経験がここに活かされています。
今後、顧客体験価値向上のために、マーケティング上の課題を洗い出して施策を実施していくことになります。当社にとって新しいチャレンジです。

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最も大切な資質は顧客に寄り添う心

私は小学校6年生から中学校3年生まで、父の仕事の関係でスイスのジュネーブに暮らしていました。現地の学校に日本人は私1人。フランス語が全く話せない状態でも仲間に入っていくには、自ら声を上げ、動かなくてはなりません。最初は拒絶されても、何度も働きかけることでやがて仲間に入れてもらえるという体験をしました。自分が起点となり、決めたことは必ず貫くという原点は、ここで培われたと思います。だから顧客視点を貫く姿勢も、絶対にブレないんです。
もちろん自分の道は自分で開いていくし、選択肢はいつだって私の手の中にあるんです。この思いは、例えば毎朝4時に起きて勉強をしたり、1年200冊以上の本を読んだりといった習慣に裏付けられた自信から生まれています。無論現状に満足することなく、この先さらに自分を磨いていくつもりです。

人財育成も私にとって大切なテーマです。
基本的には現場での体験を通じ、考えながら学ぶことを徹底したいと思っています。私自身、新しい会社に移るたびにそうして学んできましたから。
当然、その過程では失敗もするでしょう。それでいいんです。私は失敗を許容しますし、絶対にとがめません。同じことを何度繰り返して質問しても大丈夫です。いつでも臆することなくコミュニケーションして欲しいと思います。人の成長速度はそれぞれですから。
求めるレベルは高いですが、失敗したからといって決して切り捨てることはしません。顧客に寄り添う心さえ忘れなければ。

文系だからデータサイエンティストになれないということはまったくありません。初めから自分には無理と諦めている人が多いことが、私はとても残念に思います。顧客に寄り添う心を持ち、専門分野のドメイン知識を持ち、ビジネス力を持っているならデータサイエンティストとして活躍できるでしょう。Pythonなどのプログラム言語が理解できなくてもGUIツールを活用すれば問題ないし、あえて言えば技術力は後付けで十分なんです。それよりも会計や財務や組織論、マーケティングなど、ビジネスの基礎スキルを学んでおいて欲しいと思います。その知識がデータを分析する切り口の新たな視点になります。
三井住友海上は、専門職人財に対して門戸を広く開けています。一方で多様な人財が活躍できるフィールドも用意されており、例えばジョブ型雇用の「スペシャリスト社員」区分も新設して、専門領域を極めたい社員が具体的なキャリアのイメージを描きやすいようにしました。
多様な価値観を持つ人財がそれぞれの志を大切にしながら変革に挑む、そんな風土こそ三井住友海上らしさだと考えています。

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