先進のテクノロジーを活用し、生産現場に寄り添って、支えていく。
先進のテクノロジーを活用し、生産現場に寄り添って、支えていく。
このストーリーのポイント
- 40年間働ける場所を求めて、成長力あるスズキへ
- 入社2年目の若さで新機種の立ち上げに携わる
- 生産現場の改善に向けてAIの活用に取り組む
40年間働きたいから、40年間成長を続ける会社へ。そんな思いで選んだのがスズキだった。現在はAIによる生産現場の改善に取り組む。夢は、日本と世界の架け橋になることだ。
スズキ株式会社
井上 真生
生産本部ものづくり推進部生技開発グループ
2015年入社。生産工学研究科機械工学専攻修了。40年間働き続けられる業界として選んだのが自動車業界。その中でインド市場に強く、さらなる成長が特に期待できると考えてスズキに入社する。車体組立生産部組立グループを経て2022年11月より現職。
決め手は、インドでの圧倒的な支持
高校時代に勉強にしっかり取り組まなかったことを後悔し、その分も頑張って勉学に励むつもりで大学に入学しました。目標は、全科目で最も高い評価の単位を修得すること。テスト前には図書館にこもってひたすら勉強をした記憶があります。
努力の甲斐があり、卒業式で成績優秀者として表彰されたことはよい思い出です。
就職活動に際して考えていたのは、この先約40年にわたって働き続けるのだから、40年後も成長し続ける業界であることでした。そこで選んだのが自動車業界でした。
100年に一度と言われる変革期を迎えている自動車業界ではEV、FCVなどの技術革新が進んでおり、今後も成長が見込まれると考えました。また、自動車業界には幅広い職種があり、多様な経験を積むことで自分自身も成長できるのではないかと思いました。
私自身、特にクルマが好きということはなく、あくまで自分の働く場としての将来性を重視したわけです。
スズキを知ったのは、大学に公募の案内が来ていたことがきっかけでした。実際に社員の方々に会ってみると、誰もが自分の仕事に誇りを持っていることに強く惹かれました。また世界最大級の人口を有するインドで圧倒的な支持を得ていることも、今後の成長に向けた大きなアドバンテージに感じました。
若手にも責任ある仕事を任せる
入社後の工場実習を経て、2年目より車体組立生産部組立グループでの業務に従事するようになりました。
製造ラインで、シートやタイヤなどの様々な部品を塗装した車体に取り付ける工程を組立ラインと呼んでいます。私は、クロスビーと新型スイフトスポーツの投入に伴う新機種の立ち上げを担当しました。
立ち上げではいきなり量産を目指すのではなく、何回か試作を行います。それによって早い段階で不具合を発見し、改善を重ねていくわけです。
言うまでもなく組立ラインはクルマの品質に直結する非常に重要な工程であり、入社2年目という若さでそうした工程を任されたことには、スズキらしいと感じました。チームにも「新人はそこで見ていろ」という雰囲気はまったくなく、重要な仕事を任せてもらえます。まずは自分で考えることが大切ですが、その上でわからないことは先輩社員に聞いて理解を深めます。聞きやすい雰囲気の職場であるため、一人で困ってしまうことはありません。少数精鋭のスズキならではの環境で、だからこそスズキでは若手の成長も早いのだと感じました。
次に担当したのがインドの生産工場のサポートです。インドには現地の生産技術者がいて、その技術的な支援を日本から行います。私が担当したのは車両通信設備の導入でした。 ここで感じたのはコミュニケーションの難しさです。
海外の場合、メールやWeb会議で調整をすることが多いため、現物を見て面直で話せない難しさを感じました。もちろんやりとりは英語です。私は決して英語が得意ではないのですが、技術者同士だと図面や部品を見れば通じるところがあるので、思ったほど苦労せずにすみました。
新機種がうまく立ち上がるかどうか、いつも不安です。この点は日本の工場もインドの工場も変わりありません。問題なく立ち上がり、うまく量産が開始できたときは、大きな達成感と安心感が得られます。
私が立ち上げに携わったクルマというのは、街中で見かけてもわかります。自分の関わった製品が世の中に送り出され、そして多くの人に愛されているというのは本当に嬉しいですし、ニュース番組などでインドを走るスズキのクルマが映ると、誇らしく感じます。
AIを活用したものづくりの革新
現在私は、生産本部ものづくり推進部生技開発グループに所属しています。異動したのは入社8年目のことでした。
生技開発グループは生産技術・生産現場で活用できる技術開発の戦略を立て、開発、実装させることを通じたものづくりの革新を目的としています。取り組んでいるテーマは、AIやデジタルファクトリ、ロボット、画像処理など8つあり、その中で私はAI開発を担うチームに所属しています。具体的には、人の動きを分析するAI開発を行って生産性向上させる取り業務と、生産設備に関するデータ分析を行ってAIで良否判定を行う業務を担当しています。
例えば生産ラインに起因する不具合が発生するリスクが高まるのは、そこで働く人が通常とは違う異常作業を行ったときです。あるいは非常に無理な姿勢を強いられるなど、作業負荷が一気に高まったときも、不具合発生につながります。そうしたリスクを、作業者の骨格の動きを通じて判定するプログラムを開発しています。さらにモノを落とすという行為も異常作業につながり、そこから部品をつけ忘れるようなミスにつながりかねません。それらの行為を検知し、AIが良否判定を行うわけです。
もちろん従来もこうした異常検知は行われていましたが、あくまで人の力に頼っていました。それをAIによって行うことになります。
骨格の動きから人の姿勢を推定するプログラムは、既存のものが発表されており、それを取り込んで、スズキのデータを追加学習させて、スズキ用AIに改善させて使っています。
もちろん世の中にはAIの専門家がいて、私たちよりはるかに豊富な知見を持っています。それに対して私たちは、実際に製造現場の近くにいて、そこで作業している人たちの声に耳を傾けながらAI開発が行えるという強みがあります。その製造現場も私たちのいる本社からクルマで気軽に行ける距離にあります。
現場に直接足を運び、現物を見て、生きた情報を入手できるのは同じ社内にいるからこそ可能なことです。ものづくりで重要なのは「現地・現物・現実」の三現主義。これはAIなどの先端テクノロジーを導入する際においても同様です。
先進テクノロジーのプロを目指す
現在の部署に異動するまでAIに携わったことはありませんでしたから、新しい知識の吸収は必須です。そのため自然と家でも勉強する習慣がつきました。以前は家に帰ってからだらだら過ごす時間をもったいなく感じていたので、よい変化が生まれました。チームのみんなも知識の吸収には貪欲であり、その姿に刺激を受けて、私もAI関連のE資格という資格取得の勉強を始めました。
最近は健康経営推進チームが立ち上げられるなど、スズキは社員の健康づくりに本気で取り組んでいます。私は40年間働ける場を求めてスズキに入社したわけですから、こうした取り組みは心から歓迎しています。働くのも、好きなことをやるのも、健康であることが大前提ですから。
家に帰って勉強するようになったおかげで、私の生活習慣も大きく改善されました。今では週に1回以上の運動も心がけています。
将来はAI・データを扱うプロフェッショナルになり、ものづくりを変えられるエンジニアに成長したいと思っています。近年、ビッグデータ、DXなどの言葉をよく耳にすると思いますが、これからはデータを扱う能力が必須になります。データを最大限に活用し、車づくりにおける困りごとを1つでも多く解決し、世界中の人たちにスズキのよさを共感いただけるよう、生産の立場から貢献していきたいと思います。
スズキは世界各地に工場を持っており、日本国内で成功した事例を横展開していくことが重要です。AIに携わっていると、特にそうした取り組みの重要性を感じます。いずれは日本の生産現場と世界各地の生産現場との架け橋になりたいと考えており、海外駐在にも挑戦するつもりです。スズキには年に1度、自分のキャリアの希望を伝える自己申告の機会がありますので、積極的にアピールしていこうと考えています。
中学高校と部活をする中で両親に送り迎えしてもらいましたし、家族で買い物に行くときもクルマは必須でした。
そんなふうに日々の生活をしっかり支えてくれる、インフラとしてのクルマづくりを、これからも続けていきたいと思っています。